ゲームマーケット2018秋、出展者向けアンケート結果:第二弾
間に別の記事を挟みましたが、アンケート結果の集計結果第二弾です。
第一弾はこちらを参照ください。
経年比較結果
アンケートも今年が三年目。
ゲームマーケットの規模が大きくなることで変化があったか?ということで経年の変化を比較しましたが、あまり大きな変化は見られない内容も多くありました。
ゲームマーケットの規模が大きくなっているにしては、その内容自体はそれほど変わらないということですね。
グラフは色々作ったのでザッと並べます。
まずは出展者の内訳から。
今回のアンケートでは「ゲームを作り始めて何年目か」という項目を追加しましたが、以前のアンケートでは「ゲームマーケットの出展回数」しか質問していなかったため、比較できるデータは出展回数のみとなります。
全体の3割弱が新規参入組という構成は変わらず、ベテラン勢は残っているため、全般的に2~6回の中間層が小さくなる感じです。
この傾向は続きそうなので、今回から出展回数は「10回以上」と上限を変更しました。
それにしても規模が大きくなっても新規参入比率が変わらないのは大した物です。
販売数・金額・赤字/黒字の結果を比較したところ
傾向があるというには微妙な値なので、ここから無理に読み取ろうとしない方がいいかな?という感じです。
傾向が出ていそうな集計結果
傾向が出ているな、というのはこちら。
赤字/黒字比率は徐々にですが改善しているようです。
以上が経年比較になります。
クロス集計
では今年のデータを使って、この比率の内訳をクロス集計しました。
それぞれ制作を始めてからの年数と、それぞれの赤字/黒字の件数を積み上げ表示しています。
緑の折れ線はそれぞれの赤字比率を示しています。(下に行くほど黒字が多い)
「制作年数10年以上」で赤字サークルが多いのですが、これは本当に昔から趣味で細々と作られている方が複数いらっしゃるのでしょう。
(実際そういう方が何名かパッと思いつきますし、詳細を見ると売上金額としても小さいですし、そもそも売ってないところもあります)
しかし全般的には年を追って赤字サークルの割合が減少しています。
とはいえ黒字サークルの数も減っているので、こうした制作活動は、黒字であっても続けること自体が大変だと分かります。
ええ、大変ですとも。
同じく出展回数ごとのデータ。
こちらの方がはっきりと数字が出ています。
「初めてのゲームマーケットでは73%が赤字」
当然ですが厳しいですね。
逆に2回目以降は大きく増減があり、一定しません。
ここから傾向は読み取らない方が良いでしょう。
初めてのゲームマーケットで黒字化したサークルの方は、かなり自信を持って良い、と思います。
では制作年数が長いと販売金額も多いのか?という点ですが、これは分析すると個々の母数が少なく、特定できてしまう可能性があるため、グラフは割愛させて頂きます。
ただ、グラフから読み取れることだけはコメントとして列挙します。
- (6年目まで)売り上げの中央値は徐々に上昇する
- 5年目~6年目では売り上げ5万円未満のサークルは存在しない
- 100万以上の売り上げサークルは、制作年数に関わらず存在する
- 10年以上の所は全然売り上げていないところも複数
ということで、10年以上選手はちょっと別枠で考えた方が良いですね。
また中堅は「売れる」と言っても、ボトムが上がっているだけであって、極端に売れるところは年数に関係ありません。
「しぶとく堅実に最低限の売り上げ(利益)は確保できるのが中堅」というところですね。
確かに周りを見渡してもそうだな・・・
試遊って、意味あるの?
試遊の有無、一般/企業ブースでまとめました。
(土日・タッグもすべて一般としています)
分かりにくいですが、全般的には「試遊する方が売れる」として良いのでは?と思います。
ただ、それほど有意な差が出ているわけではありません。
また、一般ブースの場合、極端に売れているのは、むしろ試遊の無いところです。
これもゲームマーケットを思い出せば当然で、大行列を作るような人気ブースは試遊なんてするヒマもないんですよね。
ああなりたいもんですが、我々のような、それ以外の下々は「試遊があった方が(ちょっとは)売れる」という認識で良いかと思います。
でも試遊って手間もお金も掛かるよね・・・
ということで大事な収益で分析したのがこちら。
こちらは結構はっきり出ました。
「一般」で見て貰うと分かりやすいですが、試遊有りの方が赤字が出ています。
これも非常にぶっちゃけた話になりますが、「コストの掛からない試遊無しのほうが、利益は出る」ということですね。
売り上げの差に比較して、かなりはっきりとした差が出ているので、やはり試遊までやって利益を確保するのは難しいということですね。
とはいえ、アンケートからの統計的な資料なので、実際の売り上げや利益にはゲームの特性も大きく絡みます。あくまで一つの参考事例と考えてください。
サークルに最適人数はあるか
今回、サークルの人数もヒアリングしたので、その結果も報告します。
サークル人数と、利益について。
人数が少ない5人以上は集計上まとめています。結果として、大きな赤字/黒字サークルはメンバーの人数が1~2人のところだけ、という結果になりました。
黒字はともかく、赤字も少人数のサークルというのは驚きでした。
人数が多いと、良くも悪くも堅実になるのでしょうか?
それでも、人数が多くて目立っている所もあるので、黒字幅も少ないのは、単純に人数が多いとそれだけ費用がかかるという話でしょうか。
後は折角集計したので「地域別利益」も。
母数の多い関東・近畿・中部以外はまとめています。
ちなみに母数はそれぞれ
- 関東:93
- 中部:10
- 近畿:12
- その他:9
とクロス集計で出せるギリギリという数字です。
もっと地域差が出ると思ったのですが、大きな差は出ませんでした。
やはり遠征するならこれぐらいの売り上げと利益を確保しないと、と遠征組は考えるからでしょうか?私も大阪出展と東京出展だと全然事前準備が変わってきますし。
という所で今回のアンケート結果報告とさせて頂きます。
ボードゲーム制作に関わりたいと思われている方の参考になれば幸いです。
今回も「やって欲しい」という声を複数頂いたのでやりましたが、これ、いつまでやればいいですかね・・・