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ゲームマーケット2019秋、出展者向けアンケート結果:第二弾

前回の記事に引き続き、集計結果のご報告です。

 

前回の記事はこちら。

roy.hatenablog.com

 

前の記事は取ったままのデータを公開しましたので、今回はその分析データの報告です。

とはいえ、4年目ともなると大きな内容に変化はなく、時系列で並べても変化は誤差程度です。

 

時系列での実績データの推移

まずは昨年も集計した販売数・売り上げ・利益の推移をまとめます。

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多少の変化はあるものの、元のデータ数から考えれば誤差範囲と思われます。

「おおよそ出展サークルの半分が黒字」「販売数の数量の中央値は100個程度」という傾向は変わりません。

ただし販売金額はじりじりと上がっているように見受けられます。

とはいえ、利益は変わっていないため、「原価や出展費用の上昇に伴い、平均売価が上昇しているが、利益には結びついていない」というのが実情と思われます。

 

制作年数と利益

これも昨年も出した分析。

ゲームマーケットへの出展回数と「トータルで赤字だったか/黒字だったか」を聞いた質問のクロス集計。

初回出展ではおおよそ70%が赤字なものの、出展回数を重ねるごとに黒字のサークルが多くなっています。とはいえ、「黒字のところしか継続できない」という生存バイアスを示しているだけとも捉えられるので、「長く続ければ黒字になる」という単純なお話でないことはご注意ください。

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上の集計が「ゲームマーケットへの出展回数」での集計ですが、こちらは「製作を始めてからの年数」での質問。

ゲームマーケットは年に3回あるので、製作を始めて1年目でも、ゲームマーケットへの出展は1~3回目まで幅が出ます。

そうした違いの結果、なんと制作を始めて1年目の方のトータルが「50%黒字」という結果になりました。

昨年は40%が黒字だったので、大きく改善しています。

ゲームマーケットがメジャーになり、制作環境が整い、また情報も増えることで、より無理のない形で制作ができるようになっているのでしょうか。

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たくさん売れればいいのか?

ゲームマーケットでたくさん売れれば嬉しいですが、たくさん売りたいからと安くしすぎては大赤字です。

元の質問が選択式なので粗いデータになりますが、「売上個数」と「売上金額」のクロス集計を行いました。結果は以下のようになります。

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グラフの左下「1万~3万未満」から、右の「401~500個」あたりに向かって回答数の多いエリアが並んでいることが分かります。

例えば回答数の多い「10~20万未満:51~100個」の部分。

それぞれの回答の中心値「15万:75個」あたりのサークルが多いと考えると、平均単価は「2,000円」となります。

もう一つ、「50~100万未満:201~400個」も回答が多いです。回答の幅が広いので中心値で考えて良いのか分かりませんが、中心値は「75万:300個」、この場合平均単価は2,500円となります。

外れ値を省くと、売れ筋のゲームはこの辺の価格帯なのかな~という一つの目安と考えて頂ければと思います。

ちなみに私のゲームで言えばイベント価格3,800円の「卓上ヘボコン 対戦キット」、同5,500円の「BLOCK. BLOCK」がありますが、その売れ行きは・・・推して知るべし。

BLOCK.BLOCK - ペンとサイコロ -Pen and Dice-

卓上ヘボコン 対戦キット- ペンとサイコロ -Pen and Dice-

 

とはいえ製作者として売れてたくさんの人の手に渡るというのは、それだけでも嬉しいものです。

そしてもちろん、たくさん売れるほど利益も大きく・・・なるのか?

ということで、販売個数と利益をクロス集計してみました。

結果がこちら。

縦軸が販売個数(上に行くほどたくさん売れている)

横軸がイベントでの収益(右なら黒字、左なら赤字)

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「売れているほど利益も出る」なら、グラフは先のように右上に向かう直線になるはずなのですが、そうなっていません。

それなりに売れている数字である「201~400個」のところでも、黒字・赤字両方にピークが見られます。

散々「黒字/赤字が半々」と言っていますが、売れないから赤字なのではなく、このデータを見ると「単価設定やコスト管理が悪いから赤字」と言えます。

もちろん趣味でやっている制作のイベントなので、出展費用はお祭りだからパーッと使う、というのなら構いませんが、単価を安く設定しすぎて赤字、という場合は見直しても良いのでは?と思います。

 

頑張れ!地方勢!

最後にちょっと意外だった結果を一つ。

同じく収益を地域別に分類した結果です。

母数が1~2となる地域は集計のためまとめさせていただきました。

正直なところ、「関東は利益が出ているけど、地方勢は利益が出しにくい」という結果が出るかと思いきや、意外や意外、イベント収支の地域差はあまり出ませんでした。

※ほぼトントン(プラスマイナスゼロ)にハイライトを入れています

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どの地域でもおおよそ半分が黒字という結果です。
地方勢頑張ってる!

 

以上、アンケートの分析結果報告です。

趣味である以上、まずは「作りたい」が初めにある方が多いと思いますので、利益の出る/出ない、あるいは売れる/売れないも本質ではないと言えばそうかもしれません。

ただ、長く続けるには制作費の他に出展費や交通費も出せる状態を続けなければいけないと考えています。このため、面白いのは売り上げには大小がありますが、それでも利益は大体「トントン(プラスマイナスゼロ)」が中心になるということです。

「利益を上げたい」というより、「赤字にはしたくない」というコントロールをされる方が多いのかな~という印象です。

 

今年は「アンケートを参考にしました」という、ことしゲーム制作を始めたという方の声を複数頂きました。

長く続けてきた意味があったかなと嬉しい限りです。

今後もこのアンケートを継続するかは分かりませんが、またご要望があればご意見ください。