ボードゲームのデザインの基礎の基礎:3 並べ方
ボードのデザインと予告しておきながらタイトルが「並べ方」になっていますが、言いたいことは同じです。
企業が作るしっかりしたボードのゲームでは、綺麗なボードに枠が書かれていて、「ここにカードを置く」といった指示がされています。
これならまぁ、普通の人は間違えずに遊べると思います。
しかし個人制作ではなかなかそうもいかず、「このカードをこう並べてください」とルールブックに説明するだけで終わっていることも多いと思います。
文字で説明しても、分かってくれない
複雑なカード配置をどれだけ文字で説明しても、プレイする人が読み取るのは難しいと思いましょう。
最低でも絵での解説、できればカードの配置を指示するボードやマットがないと、たくさんの人が適切に遊んで貰うのは難しいです。
そもそも大前提として、ボードゲーム、カードゲームは「面倒臭い」です。
世の中には便利な娯楽がたくさんあり、スマートフォンのゲームなら指一発で起動して、ルールを間違えずに遊べます。
ルールを読んで、きちんと準備しなければ遊べないボードゲーム・カードゲームというものそれ自体が不親切な娯楽である、という大前提は、少なくともゲームを作る人間としては持っておく方が良いかと思います。
遊んでいても、寝ていても、スマホを見ていても、ボードゲームをしても一時間は一時間です。
自分の作ったゲームで遊んで頂くその時間は、そうしたありとあらゆる他の娯楽に比する物か。そうした視点で考えれば、少しでもプレイする上で、あるいはその準備をする上で分かりやすく作ることはどれだけやってもやり過ぎることはないと思います。
直感に対して指示をする
例えば複数のカードがあり、それを適切に配置してゲームを進行させる。
それをどう伝えたら良いでしょうか。
私の作ったゲームではありませんが、シンプルなのに綺麗にデザインされている例として米光一成さんの「はっけよいゲーム」を挙げさせて頂きます。
言いたいことはこの下の写真一枚でほぼ網羅されているのですが、このゲームでは
「はっ」「け」「よ」「い」と「のこった」のカードがそれぞれあり、配られたカードから、まずは「はっ」「け」「よ」「い」をいずれかの場所に配置します。
今、「い」が一枚配置されていますが、それでは手元カードから「はっ」「け」を出した時、それぞれどこに配置したら良いでしょうか?
上にある土俵カードは、他のカードと同じサイズのカードですが、この周囲に「はっ」「け」「よ」「い」とその色が表示されることで、「カードをどこに配置するべきか」「どの部分がすでにカードで占められているか」がパッと分かるようになっています。
また、「のこった」カードは他と違う配色なので、「これは別の用途で使うんだな」と分かりますし、それぞれのカードの左下には、そのカードの総数がドットで表示されているので希少性(レアリティ)も分かります。
シンプルですが、意外に情報量が多く、またゲームのルールがこれだけでも直感的に推測できる、素晴らしいデザインです。
また「お邪魔物」は「スタートカードから、カード7枚分空けてゴールカードを配置する」というルールになっています。
この「カード7枚分」を簡単に調整するため、ルールブックの側面がカード7枚分の幅を示す定規にもなっています。
(写真はドイツ語版)
大きなボードで丁寧に説明出来れば理想ですが、カード一枚、ルールブック一枚でも分かりやすく説明をすることは可能です。
今回は「カードゲームでどう位置の指示や説明をするか」について、工夫された例を取り上げてみました。
あー、そもそも「ボードのデザイン」じゃ無くなってましたね。
そこはご愛敬ということで。
ちなみにこの記事を投稿した本日2018年9月8日10:00~、BOOTHサイト上でWEB上のアナログゲームイベント「BOOTH Festivalアナログゲーム回2」が開催されます。
米光一成さんもBOOTHで「はっけよいゲーム」を販売されているので、このイベントに合わせて特別な何かがあるかも知れませんし、弊「ペンとサイコロ」もイベントに参加します。
台風一過・地震一過の週末に、ボードゲームはいかがでしょうか?
次回は「勝利点」について。多分次はちゃんと話します。
多分。