冷蔵庫の仕組み
「冷蔵庫って何?」
Suica冷蔵庫 / kayakaya
そう聞かれたら、なんて答えますか?
「中の物を冷やす機械」
正解です。
でも、実際には
「キッチンの真ん中にあって、飲み物や食品を主に冷やす装置で、冷蔵と冷凍の機能がある」
というのが正しいと思う。
なぜこんなことを言うかというと、
「一定温度に保つ」という機能に立ち戻れば、もっと他の売り方ができるんじゃないかと思うから。
冷蔵庫ってなんだ?
原理的に言うと、冷蔵庫は「ヒートポンプ」という仕組みで中を冷やしている。
ヒートポンプとは簡単に言うと「中の熱を外に持っていく(捨てる)ことで冷やす」という仕組み。
物を冷やす方法は、これ以外では「もっと冷たい物を持ってくる」しかない。
冷蔵庫 / kaidouminato
昔の冷蔵庫のはこの「第二の方法」で冷やされていた。
上の扉の中に「氷屋」から購入した氷を入れることで冷やす。
ヒートポンプは熱の移動加減や方向も自由に調整できるので、冷やすだけでなく暖めることも可能。
コレを利用しているのがエアコン。
エアコン / sekido
外気温に応じて部屋の中を冷やすことも暖めることもできる。
では冷蔵庫も「暖める」機能を設けては?と言うことは以前書いたので今回は触れない。
・リンク → ダイソンの掃除機・4:応用編「ダイソン的新商品案」
冷蔵庫の新しい売り方は?
冷蔵庫の機能を「冷やす」「一定温度に保つ」ことだと考えて、その新しい売り方を考える。
その前に、実際に同じような事例を持ってきてどんな売り方があるか参照してみる。
「湿度」を一定にする
温度ではなく、「湿度を一定に保つ」機能があったらどう売れば良いか。
それがカメラなどの防カビ対策で使用される「防湿庫」「保管庫」と言われる装置。
・リンク → 防湿庫(カメラ・レンズ)のトーリ・ハン
HAKUBA 電子制御防湿保管庫 E-ドライボックス KED-HA33
- 出版社/メーカー: ハクバ
- メディア: Camera
- この商品を含むブログ (1件) を見る
「温度」と「湿度」を一定にする
では「温度」「湿度」を一定にできる場合は?
これもいくつかの商品がある。
マサオコーポレーション 温度調節機能付きワインセラー24本用ブ ラック MSO-W024
- 出版社/メーカー: マサオコーポレーション
- メディア: ホーム&キッチン
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- 孵卵器
【孵卵器(ふ卵器)】爬虫類専用孵卵機 RCOM JURAGON RX
- 出版社/メーカー: アイテージャパン
- メディア: その他
- この商品を含むブログ (1件) を見る
「小型の冷蔵庫は儲からない」のか?
家電業界では小型冷蔵庫なんて儲からない、が常識になっている。
Purnity(ピュアニティ)1ドア冷蔵庫 47リットル FR-47LN-WH
- 出版社/メーカー: Purnity(ピュアニティ)
- メディア:
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
これでは儲かる訳がない。
ところが同じ程度の容量のワインセラーは平気で5万円、6万円だったりする。
その違いは?
ワインセラーは高級感あふれる外装で、ガラスで内部が見られるようになっていて、精密な制御が・・・
となっているが、制御能力は小型冷蔵庫だって悪くない。
小型冷蔵庫の制御システムをワインに最適な温度にして、外装をキレイにして、
「温度制御のみの簡易ワインセラー」とすれば2万円ぐらいにはなるかもしれない。
要はニーズのとらえ方ではないだろうか。
小型冷蔵庫が一人暮らしの学生をターゲットにすれば当然価格は上げられない。
もっとリッチで、ニッチなニーズに応えられる機能を一つ付ければ
小型冷蔵庫を高機能化する意味もあると思う。
「キムチ専用冷蔵庫」
お隣韓国では「キムチ専用冷蔵庫」がどの家にもあるらしい。(あくまで伝聞です)
Kimchi fridge / strikeael
機能は「温度調整のできる冷蔵庫」。
キムチは本来土の中で熟成させる物なので、その地下の状態を保つとのこと。
要は温度が高いって事だな。
新しい冷蔵庫の提案
日本で小型冷蔵庫を新しく提案するには?
一つは「台所に置かない冷蔵庫」というコンセプトだと思う。
冷蔵庫というと台所に置くが、自分の部屋に置きたい物、食品と一緒に置きたくない物を考えたら良い。
(カメラなんかはその典型)
薬品保管庫
趣味の物は提案しやすいが市場が狭い。
「どの家でも」という用途では例えば「お薬保管庫」。
薬は冷蔵の方が良い物が多いが、食品と一緒に置くと間違えて飲む危険がある。
そこで小さくて冷蔵機能のある保管庫があれば便利。
冷蔵機能は極端に低くて構わないので、ペルチェ素子なんかで安く・小さく作ればいい。
味噌・醤油入れ
台所にも可能性がある。
味噌・醤油の保管方法は「冷暗所」となっていて、
醤油の場合「開封後は冷蔵庫に保管し、一ヶ月を目安に消費してください」となっている。
しかし発酵食品で単純に冷やして置いておく、という考え方で良いんだろうか。
素人でよく分からないんだが、「温度(高温)」「酸素」「微生物」が悪いのなら、
脱酸素環境で殺菌灯のあるケースを10℃とかに保った方がおいしさ長持ち!
みたいなことにはならないんだろうか。
日本なら味噌と醤油のある家は多いし、まだこういうノウハウ自体がないので作ればヒットは間違いないと思うんだが。
日本のヒートポンプ技術は省エネ性能など、世界でも最先端らしい。
冷蔵庫としてそれを拡販していかなければいけないもはもちろんだが、ニッチマーケットを狙っていく戦略もある。
例えば「薬を保管するなら一家に一台Panasonicの保管庫を」とか、
「チーズには最適な保管庫が必須。東芝は専用の保管庫でおいしいチーズを守ります」のような。
もちろんそれぞれの用途ごとに機能を拡張していけば良いし、
小型の物を作る事で断熱構造や低消費電力技術もまた磨きがかかると思う。
「多様化の時代」と言いつつ意外に多様化していない家電の世界。
「白物」だってもっと幅を広げたら良いんじゃないだろうか。