僕も作れる夢の超小型衛星がこんな身近に
今月の日経サイエンスより。
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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製作は100万円クラスから、打ち上げ費用を含めても1000万円以下で完了する「超小型衛星」。
面白い!
20090326055 / Waifer X
小型ロケット、小型衛星
ペンシルロケットからはじまったロケット・宇宙時代は大型化・複雑化が進んで
一回の打ち上げは何百億円単位の金がかかる物になってしまっている。
もちろん人を月や火星に送るならそれだけの大規模なシステムが必要になるけど、
これだけ小型化・高度化した時代、超小型衛星でもいろんな事ができるんじゃ無いのか?といって作られたのがのキューブサット。
Model of Pencil rocket / tataquax
日本では15機が既に打ち上げられ、10機が計画中とのこと。
打ち上げ費用は1000万以下、将来的には100万以下で打ち上げを目指す。
100万とかなると本当、個人でも狙える世界だよな。
数百万でも趣味で手を出す人が十分いるだろうし。
(例えば鳥人間コンテストやクラシックカー、電気自動車なんかがそのクラス)
「飛ばせる」から、もう次の思考に
記事の内容が面白かったのが、オレの考えることと同じような思考に既にみんな向いていること。
壊れてナンボ
安い、ということは壊れてもリスクが低い。
だったら「壊れてナンボだ!」という勢いで作って、飛ばしてしまえると言うこと。
東大の二号機では「宇宙に打ち上げて使ったことが無い太陽光パネルを付けてよ」ということで新型パネルを付けて、
「試作パネルを付けてくれたお礼に貰った、宇宙使用の実績のあるパネル」をもう一枚付ける。
第一、その二号機の打ち上げの経緯が
「うちの大学の開発が間に合わないし、東大にあげてもいいよ」
と譲られたということ。
なんだこのサークル的なノリ。
Icarus / jurvetson
ていうかむしろ壊す
高級な大型機は、各研究者が全力投球して一分・一秒でも動きを長らえるように工夫する。
安い衛星では、最初から「完全静止軌道に乗せないで、緩やかに燃えつきる軌道」なんて実験的な選択肢もできる。
不安定だから今まで研究されていなかった中間的な層の研究がこれで進んだりもするらしい。
小型・分散・オープンソース
キューブサットは10cm・1kgを基本単位として、その組み合わせで成り立つ。
大きさに規格があるし、小型で多数飛ばすことが前提だから「標準部品」ができる。
これがまた面白い。
衛星なんて一品一様が基本だったのに、標準部品を使って誰でも飛ばせる時代が来る。
こうなるとパソコンやスマートフォンのように、みんながよってたかって改良して
「ここをオレが改良した」とつぎはぎすることでより良い物を作っていくことができる。
あと、小さいので一台で全部の機能を盛り込めない。
じゃあどうするか。
今は2台分、3台分の大きさで何とか機能を盛り込んでいるが、そのうち
「複数台の連携」とか「通信のみを受け持つ中継ユニット」が出てくるだろう。
地上までの通信では高出力が必要になるが、中継ユニットまでなら低出力で良いので、もしかしたら宇宙で衛星がwi-fi通信してるかもしれない。
これはビジネスチャンスなのか?
これってインターネットやパソコンの黎明期に似てるかもしれない。
これがビジネスには当分ならない。
でも、将来的には凄く面白い可能性を秘めている。
日本ではIHIや三菱・川重がこの辺に絡んでいるが、企業は現段階では小型衛星には手を出さない。
ここはビジネスでは無く、将来への投資として、「趣味」としてやる必要がある。
そんな遊び心のある、実力のある企業はどこか。
そこが(もしかしたら)将来の衛星ビジネスで「顔」になれるかもしれない。
個人的には小型電子部品を作る企業、村田製作所・京セラ・ロームあたりが
趣味として衛星の一つ・二つ飛ばしていけば日本もまだまだ捨てたもんじゃ無いな、と思うんだけど。
村田製作所の「ムラタセイサク君」に対抗できる「顔」を、ロームも、京セラも欲しいでしょ?
MURATA boy & girl / na0905
だったらどうですか、衛星。
それか中規模の通信系の会社がやっても面白い。
八木アンテナとか。
ここから20年後に次世代のジョブスやビルゲイツがでる気がするんだけどなぁ。
そのメッカがバイコヌールやカリフォルニアでなく、種子島ってのは無茶なのかなぁ。