ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム・3Dプリント作品・3DCG制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

建築史→工学史→道具史

建築の資料はこれだけあります。(入り切っていない資料もあり)

まず建築史。
建築の歴史の概論を勉強できます。
建築史として「大仏様」などの建築様式が最初に出てきますが、
次のステップとして「土台の歴史」「扉の歴史」など個別のディテールについての歴史もあり、CGを作る際には結構役立っています。

(ちなみにこの「建築のディテール」という本は凄い良かったです)

 

建築史と並行して趣味で調べているのが工学史。
工学史と建築との関係で分かりやすいのは、例えば「板」の作り方。

youtu.be

竹中大工道具館YouTubeは凄く分かりやすいのでオススメ)


板は「割って作る」から「切って作る」への進化が一番大きく、要は「のこぎり」の発明と普及が建築史に大きな影響を与えています。
昔の板はくさびを入れて叩いて割っていたため厚く、また表面をきれいに仕上げるには両面を大きく削る必要があり無駄も多くありました。
これがのこぎり(実際には「大鋸(おが・おおが)」などの大型の専用ののこぎり)の伝来により薄い板が量産できるようになります。
また、この工法の変化に応じて使用される木材も変化し、それが家の強度の変化に繋がり工法が変化する・・・
と工学史は建築史に直接影響を与えています。

 

こうした背景情報を知っていれば、
「いや、この時期にこの家具はおかしくね?」
ということがだんだん分かるようになります。
例えば箪笥。

引き出しの多い構造の箪笥は薄い板材が安く手に入る環境で無ければ作れません。
小型の引き出しは高級品として昔からありますが、庶民が箪笥を持てるようになったのは木材の量産方法が確立する江戸中期以降になります。

(ちなみに箪笥以前の収納としては「長持(ながもち)」がありました。

 こちらは内部に間仕切りがありません)

 

町人の収納は、

  • そもそも物が無く「収納」という概念が希薄だった江戸以前
  • 所有物が増えて「収納」の概念が出て「長持」を使用した江戸初期
  • 木材の量産体系が確立して「箪笥」の普及が進んだ江戸中期

と進化していったことが分かります。

ということで建築史・工学史が分かると道具類も分かり、その建築や使用された時期に対して、どんな道具が適切か考えられるようになります。

 

そうして作ったのがこの道具類のCG集。

pen-and-dice.booth.pm

pen-and-dice.booth.pm

 

(階段箪笥。やっぱり絵として映える)

(昔のまな板には足がある、鍋の蓋形状は関東と関西で違う、みたいな話も解説を付けています)


道具類のCGですが、上にも書いた通り、それぞれに背景があり「いつ使われたか」を知らないとちぐはぐなデザインになってしまいます。
そこでCG集には簡単な説明資料を添付しています。

(簡単な・・・と書いたけど、今見たらpdfで10pあった)
どの時期に使われていたのか、用途の分かりにくいものについてはどう使われていたか等々。
また道具は随時追加していますが、追加の度に価格を更新して少しずつ価格が上がっています。
購入済みの方はそのまま新しいバージョンをダウンロードできるので、早めに購入しておくと得、という仕組みにしています。


これからも随時追加していきたいので、「こんなものを追加してほしい」という意見があればぜひコメントをお願いします。