「BLOCK. BLOCK」のつくりかた
ボードゲームの制作者が集まると「あれはどこで作ったのか」「どこまで手作業なのか」なんて話を良くするんですが、今回の「BLOCK. BLOCK」ではゲーム制作者以外からも「あれはどこまで手作りなんですか?」なんて聞かれます。
それだけ無茶をやっている自覚はあるんですが、実際の「BLOCK. BLOCK」の作り方をご紹介します。
(今日は写真いっぱいです)
ブロックを買う
まず南都木材工業様にお願いしたのは、
こんな木のブロック。
7種類のブロックを作るのではなく、コストダウンのため立方体のブロック一種類を大量にお願いしています。
もう一つはこの木の板。
こちらはゲームを行う盤としてお願いしました。
ブロックや板を加工する
ブロックは接着剤で止めて形状を作っています。
木には「柾目」「板目」の方向性があり、見た目や水分の吸収性が全然違うので、一つ一つ状態を確認しながら組み付けていきます。
接着剤を付けるときも目の方向でこれぐらい差が出ます。(ちょっとこれは多過ぎ)
茶色(先手)プレイヤーには、「0.5点」ブロックがあります。
こちらは専用のスタンプで「0.5」を印字し、その周囲は塗装しています。
6面にスタンプするので乾くまで時間も掛かるし、ベタっと塗装できないので、小さい駒だけど一番大変。
板は椎乃さん(@shiino23)にお願いしてレーザ加工を入れて頂きました。
接着が終わったら・・・
塗装です。
ブロックはこれで完成。
箱を作る
今回は内容物が全部で約900gと重く、貼箱では強度に不安があったため、既製品の段ボール箱を使用しています。
箱を組み立てるとこんな感じ。
この6面にスプレー糊で印字したラベルを貼り付けて、専用の箱にしています。
(各面の切り出し、面取り、糊付けについては割愛)
中を開けるとこんな感じですが、これではゲーム盤(板)を入れると、中で動いてしまいます。
そこでゲーム盤の大きさにあわせて段ボールをカットし、貼り付けています。
貼り付けるとこんな感じ。
この貼り付けた部分、簡単に見えますが「段ボールをキレイに折る」のは少々面倒です。
まずサイズを測って切り出します。
精度もそこまで厳しくないので、この枠の形の治具を作り、作業を効率化しています。
そして折り目を付けます。
段ボール加工では、段ボールの筋と直行するように折るのが定石だそうで、向きが重要です。
また、折り目を付けている道具は、おそらく現在日本で市販されている唯一と思われる「段ボール折り器」です。
折り目が付いたら順に折っていきます。
折り目が付いたからと言って、段ボールは素直に折れてくれないので、定規でちゃんと抑える必要があります。
その結果がこれ。
キレイに180°に折れています。
外側に切れ目がないので、板が当たっても痛まない、強度のある構造になっています。
このあと折りたたんだ状態で固定するよう、段ボールを接着します。
こうして出来た段ボール板を接着するとこんな感じ。
木の板がしっかり収まり、左右に動きません。
このあと蓋でも押さえる構造になっているので、コンポーネント(部品)を入れた状態では板が完全に固定されます。
ここにブロックを入れた袋と、取説を入れたら完成です。
「適当に入れても箱に入る構造」が理想なのですが、ブロックが大きいのでさすがにそこまで余裕のある構造には出来ませんでした。
箱にしまうにはある程度ブロックを整理して袋に入れる必要がありますが、そこはお手数ですが工夫してください。
パズル的に填め込まないと袋に入らない、という程は厳しくありません。
「どこまで手作業なんですか?」という質問への、これが回答になります。
なるべくコストを抑えるべく手作業を多くしたものの、それでも原価・重量・サイズすべてが過去最高で、定価は10,000円とせざるを得ませんでした。
発注数は100個ですが、現時点での製造数が22個。
全部売れても大赤字なので、当日までに持ち込み数を少しでも増やすべくまだまだ奮闘中です。
しかし持ち込んだところで売れてくれなければ同じ。
新作「BLOCK. BLOCK」を、ゲームマーケット2018秋では、よろしくお願いいたします!