ボードゲームの普及策をマーケティング的に考える
ボードゲームを自作したり、ボードゲームショップの店長をしている方と
話をすると「もっとボードゲームをメジャーにしたい」という話がよく出る。
マイナーな趣味は多かれ少なかれそんな気もするが、ボードゲームの場合はその意欲を持っている人が特に多く、強い気がする。
それはたぶん、ドイツ等の具体的な成功イメージが付けやすいからだと思う。
マーケティング的に考える
ではどうしたら良いか。
マーケティングで言うと「マインドフロー」という考え方がある。
人の購買心理を段階に分けたもので、以下の7段階がある。
- 認知 → 知る
- 興味
- 行動 → 手に取る・使う
- 比較
- 購買 → ここで買う
- 利用
- 愛情
マインドフローが良くできてると思うのは、「買うこと」で終わらず、「ファンになって貰うこと」までを見ていること。
つまり、商品より会社を好きになって貰うことを最終目的にしている。
商品や会社が分かりにくければ、「歌」ではなく「歌手」、「書籍」ではなく「作者」のファン作り、といえば分かりやすいか。
ちょっと分かりにくいのは「3:行動」。
「いや、オレは買うときに行動なんかしてないけど」
と思うかもしれないが、「店舗に入る」「棚から手に取る」「買い物かごをクリックする」これら全てを「行動」という。
要はチラシやPOPに対して、何らかのアクションを取ることを指す。
ボードゲームのマインドフロー
では、ボードゲームは今どんな状態か。
身の回りで声を掛けてみて、ボードゲームを知っているかを聞いてみた。
この場合「将棋」「囲碁」「人生ゲーム」「モノポリー」しか知らない人は「ボードゲームを知らない」とした。
- 認知 :20人中 0人(0%)
なるほど。一般の認識はこんなもので、本当に知られてないんだな。
自分の親なんか、テレビ漬けだから「人狼」ぐらい聞いたことがあるかと思ったら全く聞いたことがないらしい。なんだ、そんなもんなのか。
で、この中の10人には更に「ボードゲームってこんなもんだよ」という紹介をやってみた。
「ボードゲームってのはこんなのだよ。興味ない?」
すると、何人かは「興味がある」と言ってくれた。
2. 興味 :10人中 6人(60%)
この6人に対して、「実際にやってみないか?」と誘ってみた。
3. 行動 :6人中 4人(67%)
こんな感じ。
最近のボードゲームを全く知らなかった人のうち、紹介すれば40%が遊んでくれた。
この確率はかなり高い。
もちろん、説明したのが自分だという問題はある。一般的に、家族など身近な人間の口コミは成功率が高い。この確率を一般に当てはめるのは問題がある。
とはいえ、ラフな調査でもボードゲームにおける一番の問題点は
- 認知
であろう事は分かる。
つまり、まず知られていないのだ。
ボードゲームは面白いのに!
日本でボードゲームの市場が少ない、遊ぶ人が少ないという話になると、いつも「一度遊んで貰えば面白さが分かるのに」という話が出る。
そう、かもしれない。
しかし、とりあえず今の段階ではそもそも知られていないのだ。
そこの対策をしなければ、ゲーム人口が増えるはずがない。
どこに問題があるか?は同じレジャー産業でもそれぞれ異なる。
例えば、ゴルフやスキーも競技人口が減っていることが問題視されているが、こちらは知名度としては全く問題が無い。
これらのスポーツ、特にスキーに関しては「3.行動」の障壁が高いのが問題になる。
要は「面倒くさい」ということだ。
スキーしかなければ出かけていたかもしれないが、近隣により手軽で良いレジャーができればそちらに流れる。
つまり「4.比較」で他のレジャーに対しての優位性を出さなければいけないということだ。
実際、スキーブームのきっかけは「直行電車」「スキー便」など、スキーの不便をいかに解消するかであり、この手のスポーツの永遠の課題とも言える。
翻ってボードゲームはどうか。
「人狼がテレビで取り上げられて話題」
「震災以降、ボードゲームはプレイ人口を増やし、注目されている」
ある意味、ボードゲーム界隈でのテンプレとなっている文面だ。
しかし、この市場の広がりはまだまだ限定的だ。
「市場の注目を集めるような名作ゲームを作ればいい」
という意見も見たが、それはまだ先の話。
残念ながら、今必要なのはゲーム自身よりもその周辺による「話題作り」という気がする。
例えば「ボードゲーム制作者をテーマにしたドラマ」、「ボードゲームが物語のキーとなる映画」、「この有名人の趣味はボードゲームだった」等々。
残念ながら、ここに出てくる主語はボードゲームではない。
しかし、そうして話題を振りまくことで、ボードゲームの認知度を上げることが一番だと思う。
それに一番近い形を実現しているのが「放課後さいころ倶楽部」だろう。
放課後さいころ倶楽部 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
- 作者: 中道裕大
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- 発売日: 2013/09/12
- メディア: コミック
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ボードゲームを取り上げて、それをテーマに話を進める。
このマンガのヒット自身がボードゲームの市場拡大に繋がる、と言ってもいい。
個人的には「ガイスター」を取り上げてくれたのが嬉しかった。
「ガイスターは相手の心を読むゲーム」そうなんですよ、本当。
最後に宣伝になるけれど、自分自身がボードゲームをいきなり自作せずに「クラウドファウンディング」というステップを踏んだのも、クラウドファウンディングに興味がある人にボードゲームに目を向けて貰おうと思ったからだ。
現状はまぁ、惨敗ですが・・・
募集期間はまだあるので、ここまで読んで頂いた奇特な方はリンク先の方も見てやってくださいな。
プレイ動画はまた上げる予定。それがあれば違うのかな・・・
カードゲーム「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」製品化プロジェクト
何をやればいいんじゃないという意見があれば、くださいな。
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