ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム・3Dプリント作品・3DCG制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

日本の未来を救う、賢くて弱いロボット

これからの日本の未来はロボットが担うと思う。
それは高齢化社会少子化で労働者が少ないからというだけじゃない。
情報の作成とコピーと移動が楽になった世の中で、
基礎的な労働がなかなか自動化できていないというアンバランスさがある。
これを解消に向かわせるなら、その手段はロボットしかないと思うからだ。


みんなの生活をもっと良くしてくれるロボットのポイントは何だろう。

  • もっと頭が良いこと?
  • もっと素早く動けること?
  • もっと力があること?

色々あるが、個人的には「もっと弱いこと」は重要だと思う。

ロボット、見たことありますか?

日本は「ロボット大国」と言われる。
多いときには世界の60%の産業用ロボットが日本にあり、今でも大きな生産量を誇っている。
(今では輸出が80%
産業用ロボットの市場規模は4,000億円規模と言われ、様々な企業の参入する巨大産業だ。
実際、自動車工場や半導体工場にお邪魔すると、柵の中でロボットが動いているのを見かけないことはまず無い。

rover 200 framing line / spenceyc


産業用ロボットは単純なものもあるが、より複雑な動きができて、
より高速・強力なものが開発されてその優位を競っている。
幅2mを越える液晶パネルを持ち上げて、ひっくり返すことなど人間には出来ないが、
ロボットならそれを高速でできる。しかも24時間休まず働ける。

進まない「新しいロボット」産業

大分以前から「ホームロボット」「介護ロボット」が叫ばれているが、全く進んでいない。
それは最初から難しいところを狙いすぎなんだと思う。
かといって、目的の無いロボットにはお金を払わないことはソニー他各社の「愛玩ロボット」が証明した。

Hi, Aibo! / zerojay


今、成功しているロボットと言えば「自動販売機」と「お掃除ロボット」じゃないか。
自動販売機は人間が行っている金銭の授受と商品の受け渡し作業を行っているのだから、ロボットだ。
お掃除ロボットは名前の通り、掃除という作業を受け持っているのでロボットだろう。
iRobot Roomba 自動掃除機 ルンバ 780

家庭用ロボットのススメ

家庭にロボットを持ってくるのに一番の問題は何だろう。
もちろん「何が出来るか」は重要だが、もっと大事な物は「安全」だ。
止まっている物に子供が走ってきてぶつかれば子供の責任だが、
それが少しでも動いていれば、動いていた物の過失を問われてしまう。
だからホームロボットではとにかく安全性を考えて、クッション性の高い素材で全体を覆ったり
センサーを多数配置して絶対にぶつからないようにと色々考えられている。


でも、そんな高級な機能のないお掃除ロボットは数万円で多数家庭に入っている。
むしろ、目指すべきはこっちじゃないかと思う。
なぜお掃除ロボットは家庭に入れるのか?
それは「力が弱いから」だ。


業務用のロボットは危険なので、普通は柵が作られるが、柵の要らないロボットもいる。
このロボットはそれだけ安全な様々なセンサーがあるのかというとそういうわけではない。
柵のないところで使えるロボットは、力が弱いのだ。
力が弱いから、最悪ぶつかったところで人は大してけがをしない。
だから柵が要らない。


家庭用でも、力を使わずに出来る作業はいくらでもある。
力が弱いということは、それだけ安く作れるということ。
安全機器も最小限でよいので、それもコストダウンになる。


ここで言っていることって、開発する人間にとっては今更説明の必要もないぐらい
当たり前のことなんだけど、でもそういうコンセプトの家庭用ロボットを作ろうという話を
とんと聞いたことがない。
「力は弱いよ」「でもこれが出来るよ」
この連携から生まれる家庭用ロボット市場、
一つの解はお掃除ロボットだったとしても、それで家事は終わりじゃないだろう。
乱雑に置いた食器を洗ってくれるのでも良いし、
洗濯物を干して、たたんでくれるのでも良い。
卵を割ってきれいに焼いてくれるのでも良いし、
散らかったものを綺麗に正しい場所にしまってくれるのでも良い。
家庭にまだまだ、力の要らない仕事なんていくらでもあるし、
そういう市場にどんどんロボットを投入していくことでロボットの能力も上がっていくハズ。

DSCN2622.AVI / Osamu Iwasaki


お掃除ロボットだけでも数百億円市場に育った。
このジャンルにはベンチャーでも参入できるし、大手でも食っていける市場性がある。
もの凄く面白いジャンルだと思うんだけど、
パナソニックとかソニーあたりの家電大手含めてどこか本気でやらないもんかね。
あ、シャープさんはそれどころじゃないと思うんで本業頑張って下さい。