ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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スマホの次は、空を飛べ

全く違うと思われている二つのジャンルを跨ぐ商品は、参入障壁も高いが付加価値も高く、良い商材になると思う。
例えば何度も取り上げている「自動走行」

Google’s self-driving car / Saad Faruque

これは「自動車」というハードと、「運転(あるいはカーナビ)」というソフトを融合させた技術と言える。
どちらかを扱っている会社はたくさんあるが、両方を得意とする会社は無い。
この橋渡しをするのは運転ソフトウェアであったり、センサー技術という全く新しい知識が必要になる。
だからこそ将来性があるし、だからこそGoogleという全くの新規参入組にも可能性がある。
ここに未来を見据えて本気で開発しない自動車会社は、30年も経てば完成車では無く部品屋になる可能性もあると思う。
自動車という「筐体」はもはや部品扱いされる、という未来もあり得るんじゃないかな。


ハードを作る会社はある。
ソフトを作る会社もある。
それを融合し、新しい商品価値を提案する。
これが未来の商品提案には必要だと思う。

製造業「だけ」には、未来は無い

「日本の製造業に未来は無い」という意見もあるが、
ハードの無い商品だけで世界を席巻するのは難しいだろう。
AppleはAppStoreという巨大ネットショップを抱えるが、iPhone等のハードがそれを支えている。
Googleはネット専業会社と言われているが、その膨大なデータを捌くハードウエア技術は凄いし、
Google Maps始め、新規のデータを取り込むために莫大な費用をかけてハードウェアを開発している。
だから「ハードウェアだけをやっている会社は世界を席巻できない」という言い方なら正しいかもしれない。
ハードとソフトの、より優れた融合が必要になる。


そんな目で見て、個人的にもの凄く未来を感じるのは「ヘリコプター」
AR-Drone始めクアッドコプターは多数商品化され始めている。
AR.Drone 2.0スカイネット 4ch 2.4GHz マルチコプター UFO
これ自体の売り上げはたいしたことはないし、「おもちゃロボット」並の地味な波で終わるかもしれない。
SONY 電子ペットアイボ AIBO ERS-312 pinkmemorystick付 (デパート 高額品/常温倉庫)(c)
でも、安価に空を飛べるようになったことと、周辺技術を考えれば色々な用途を考えられるようになった。

スマートフォン「を」プラスする

今どきのスマートフォンは通信・カメラ・機能強化が標準になっていて、
新しい機器提案は「スマートフォンでは根本的に出来ない何か」が必要になる。
カメラや音楽プレーヤーは「スマートフォンより高度(高機能)」という切り口だが、
こんな切り口では長くは続かない。
実際、既にコンパクトカメラの市場は縮小を始めていて、スマホでは現状難しいハイエンドなデジタル一眼の市場が拡大している。
スマホのカメラの進化がさらに進み、デジタル一眼が高度化しすぎてマニア市場となっていくのも時間の問題だろう。
OLYMPUS デジタルカメラ SP-620UZ シルバー 1600万画素 光学21倍ズーム DUAL IS ハイビジョンムービー 3.0型LCD 広角25mm 3Dフォト機能 単三電池対応 SP-620UZ SLV


でも逆に考えれば今は大したことができなくても、
スマートフォン程度の大きさ・重さを加えれば高度な機能をプラスできるようになった。
つまりスマートフォンに何かを加える」ではなく、スマートフォン(の機能)を何かに加える」と考えてみる。
それが「飛ぶ」という機能ならどうだろう。
ソフトウェアの高度化により、ほぼ自動で自分の位置を維持できるようになった。
電池の発達と機器の小型化で、飛行時間が長くなった。
無線技術の発達で、安価かつ小型の近距離無線を搭載できるようになった。
電子機器(特にカメラ)の小型化で、機能の強化が簡単にできるようになった。
「飛ぶだけ」だった趣味のヘリコプターが、「考える飛行体」として
新たな役割を付けられる時期がもうすぐそこなんじゃないだろうか。

用途1:見守り

「頭が良い飛行体」があったら何ができるか?
例えば「自分に付いてこさせる」ということができる。
暗い夜道で、自分の後方上から道を照らし続けてくれる。
LEDは軽く、消費電力も少ないのでかなり明るい照明になる。
駅で貸し出す仕組みがあれば、「駅から家までの監視番」として使える。
翌朝の通勤・通学時に駅まで持って行って預ければ、帰りまでに充電してくれる。
もちろん無線機器なので、異常があればその場で通報する。
GPSで場所も知らせて、画像も自動送信。
かなり心強くないか?


駅から家までの徒歩の時間と考えれば飛行時間は短い。
外で使うことによる風の問題を除けば、現行の技術でもかなりの部分は実現できるんじゃないか。

用途2:受付

高さを維持できるなら、「受付」にも使える。
「受付ロボット」は色々考えられているが、なかなか実用化しない。

・リンク → 【ALSOK 綜合警備保障】ホームセキュリティ・防犯対策のアルソック/法人のお客様/ロボットシステム/企業受付ロボットAn9-RR
安全面などもあるが、「階段を上れない」というのも制限として大きい。
ヘリならそもそも飛行しているので、段差も関係ない。
建物の中なら風もないので、かなり細かな位置制御もできる。
「ヘリに受付してもらうなんて」という意見もあるだろうが、
画面があって顔と声があればいいなら、足も体も必要ない。
足どころか、体だって飾りなんです。


実際は書類程度なら運べるわけで、ちょっとした秘書代わりにもできるかもしれない。
特に医者など衛生面から触ることのできない人には、
浮いていて音声で指示ができる機械は重宝される気もする。

用途3:照明として

これは今でもできないかなと思っているんだけど、「簡易照明」としてヘリを利用する。
ヘリを有線にして、上から照らす照明として使う。
ヘリを飛ばす分、電灯より余計に電気代はかかるけど、電灯の費用も、敷設工事も必要ない。
工事現場では巨大な電灯を使っている場合があるけど、
もっと上から、他灯で照らせばコンパクトで良いのにと思うこともある。

工事現場の照明 / k_oota

そういった工事現場や、一時的な駐車場など、
「敷設工事は大変だけど、電灯が欲しい」という場合にヘリは良いと思うんだけど、どうだろう。

用途4(中継カメラ

上の見守りを「撮る」という目的で考えると、中継カメラになる。
たとえばオリンピックでは、短距離走のレーンに沿ってレールを敷設し、ランナーに合わせてカメラを走らせることで迫力のある映像を撮っている。
カメラも高けりゃレールの設置だけでも手間とコストがかかるので、使われる場面は限られるが、安いヘリでそれが可能なら地方のテレビ局どころか、運動会でも同じ事ができてしまう。
「我が子を自動追尾して斜め45°からとり続ける」
なんて事も可能だろう。
(学校が許せば、だけど)


未来の運動会では、子供の数だけヘリがカメラとして空を飛んでいるかもしれない。
でもお父さんも運動会をじっくり観戦できる未来って、いいよね?

09 - recording the moments / emrank


電池とカメラの改良が進めば、駅伝やラリーの中継でもヘリが使われるかもしれない。
安全確保のための先導車は仕方ないとして、何台も走らせるカメラ車が減れば、安全面でもコスト面でも良いのは間違いないだろう。

DSC_8297 / matsubokkuri

ヘリが、「次のiPhone」になる!?

おもちゃのクアッドコプターが個人で買えるなら、業務用でも十分購入できることになる。
それなら機能を付け加えて、もっと普及する余地は十分にあると思う。
もちろん風に弱いとか、法規制がとか、安全面がとか色々あるんだろうけど。


でもそういう「出来ない言い訳」じゃなく、
「誰もやってない、夢のある未来の領域」として面白いという意見はダメだろうか。
クアッドコプターでこんな事ができる!という動画は一時期結構あったんだけど、
どうにも海外の動画ばかりで日本のものはほとんど見かけなかった。

(ゼロでは無いけど、少ない)
ロボットと言えば日本はネタ的な物も含めて数が多いけど、
アニメで色々な提案がされているロボットに比べて、ヘリは使うメリットのイメージ付きにくいのかなとも思う。
自分の近くを飛び回る、小さな頭の良い機械。
アニメやおとぎ話で言えば「妖精」のイメージが近いのかもしれない。
ベルセルクのパックでも良いし、プリキュアの妖精でも良い。
そんなもんがみんなの周りを飛ぶようになれば、未来の生活も変わる、かもしれない。
ビジネス的に言うなら、次のiPhoneとなる爆発力を秘めている、かもしれない。
そんな未来を信じて、取り組む会社がもっとあってもいいんじゃないかな。