ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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日本に大掃除にロボットを!

大掃除シーズンの到来。
裏が山になっている我が家では、落ち葉対策に結構な手間と時間を取られる。

川越_52 / nakimusi

うちは設計段階から落ち葉対策をしているので、それほど手間は無いが、大変なのは隣の実家。
先日も60歳を過ぎた父親が屋根に登って、樋の掃除をしていた。

掃除も命がけ

掃除、特に大掃除では、日常動かさない物を動かしたり、日常触らないところを触る。
当然そこで事故も起きやすくなる。


東京消防庁によると、東京の年間救急出動件数が約70万件。(2011年の統計)。
最新の数字は無いが、掃除の際の事故は平成18年・19年の数字で約300件強
つまり救急出動の 0.04% が掃除の際の事故

Toyota Himedic - Tomica / emrank

・リンク → 東京消防庁<安心・安全><トピックス><掃除中の救急事故の発生状況>
ちなみに全国の救急出動件数は512万件(平成21年度)。
割合が同じだとすると、全国で掃除の事故による事故は 512万×0.04%≒2050人

実際には東京は集合住宅が多く、家の面積が狭い。
また平均年齢も全国平均より低く、高齢者の割合が低い(労働年齢の割合が高い)。
こう考えると、日本全国での事故件数は実際は2050人よりも多いと思われる。


ちなみにこの「掃除の際の事故」は7割が「転倒・転落・墜落」だそう。

・リンク → 報道発表資料 東京消防庁 掃除中の救急事故 〜大掃除中に事故多発、掃除中の事故には十分注意を!〜
救急車を呼ぶレベルの事故でこれだけなので、自力で病院に行ける事故を含めれば当然これよりも増える。
しかも掃除の事故は12月に例月の倍に増える。
つまりそれだけ大掃除というのは危険なイベントだと分かる。

たった0.04%?

0.04%という数字を「たったそれだけ」と言ってしまう事もできるが、
この話は、高齢化社会になっていくとさらに深刻になる。
上のPDF資料から引用させていただくと、事故の年齢別割合は高齢者で急増する。

「今までやっていたから大丈夫」といって、今までと同じように大掃除することが必ずしも良いわけがない。
自分も年を取るし、家も古くなって危険が増すし、ハシゴだって古くなって折れるかもしれない。
これからこういった事故はさらに増えていくのは間違いない。

そろそろ掃除も自動化の時代

新しい家では「メンテナンスしやすい」「メンテナンスフリー」も考えられるようになっている。
例えば光触媒の壁材は、洗浄しなくても汚れが付きにくくなっているし、
窓は開き窓を開けると隙間ができて、家の中から掃除しやすくなっている。
(文字では分かりにくいのでメーカーのカタログを転載)

・リンク → 窓|WEBカタログ|カタログ|新日軽


ところが事故の発生しやすい高齢者の家は、築何十年という所も多い。
大掃除のためにリフォームするわけでは無いので、丁寧にメンテナンスして住むほどに、
事故の発生率が上がるという皮肉な状況になっている。
そこで必要なのは、新築での改善やリフォーム提案では無く、安価なグッズの提案だと思う。
自分の両親や祖母を見ていると、年金生活への不安があり、何十万・何百万円というリフォームへの投資は
警戒はまだまだ強いと感じるからだ。

面倒な掃除より、危険な掃除対策

この時期になると掃除グッズが色々と注目される。
以前より簡単に、力を入れずに掃除ができるグッズが作られて、掃除は大分楽になった。
そこでこれからは「危険な掃除を安全にできる」グッズも作ってほしい。


ポイントは「高所の掃除を安全にできる」グッズ。
事故の詳細を見てみると、不安定な椅子に乗って転落・転倒という事故が多い。

cleaning gutters / nannetteturner

安全な脚立を普及させる事ももちろんだが、
日本の住環境を考えると脚立を安定して立てる足場が用意できないことも多い。
それなら高所に置くだけで、掃除してくれる装置があればいい。

例えばこんなロボット

掃除ロボット、というとRoomba(ルンバ)とか、エアコンの内蔵掃除ユニットがある。

iRobot Roomba 自動掃除機 ルンバ 537 白色

iRobot Roomba 自動掃除機 ルンバ 537 白色

では高所の掃除はどんな事ができればいいか。


例えば雨樋を掃除するロボット

We need to clean the Gutter / cursedthing

我が家で欲しいので挙げたが、雨樋に放り込めば樋のなかを移動して中のゴミを外に掃き出すロボット。
ゴミを回収するとまた大変なので、とりあえず外に掃き出せば良い。
樋としての機能はそれで満たせるし、落としてしまえばあとの処理も楽になる。
雨樋の大きさは大体分かるが、雨樋の半分程度に屋根が覆い被さっていることも多いので、
形状は雨樋の「中に入る」のではなく、「外に引っかける」形状とする。
下からフックで引っかければ、あとは自分で樋を動いて中身を掃き出していく。


樋に関してはこんな感じだが、「樋用」「照明用」「平らな部分用(タンスの上など)」と
用途に応じて形状を変えなければいけないので、清掃ブラシ部分は交換式にしなければいけないかな。

ロボットだからって自動じゃなくてもいい

もう一つ、ロボットにすると「本当にキレイになったか不安」という意見もある。
最近はカメラも安く・小さくなっているので、カメラで状況を確認しながら掃除してもいい。
つまり掃除ロボットじゃ無く「掃除ラジコン」

RC Trueno / [Crewe]

技術的にはこの方が簡単だし、自分で操作するのでゲーム性もあって楽しそうだが
対象が高齢者ならちょっとハードルが高いか。


ロボット・ラジコンどちらでもいいが、危険を減らすという意味でこんな機器がどの家にも置いてあって欲しい。
とはいえ、実際にみんなこんな装置を買う気になるだろうか。
実勢価格が1万円以下でできれば面白いが、モーターを二個(移動用・清掃用)以上積んで制御を行って・・・
となると3万円ぐらいはするかな。
この手のロボット技術は災害救助ロボットや、原発の監視用のロボットなんかで実用化されている。
もちろん価格は何百万とか、それ以上する。
(配管検査用ロボットのセンサ部分だけで100万円近くしていたのを知っている)
これを民生に持ってこられたら、なかなか面白いと思うんだが。
前にも書いたが、いわゆる「お掃除ロボット」はルンバに完全に負けている。
ルンバに本気で対抗しようとしている電機メーカーもなさそうだし、それなら別ジャンルでロボット化を進めればいい。

ちなみに数字で考えると・・・

掃除での救急要請は年間2000人、うち70%の1400人が掃除の落下・転落事故で救急車で運ばれている。
これを「重大事故」とすると、ハインリッヒの法則に従えば軽傷・無傷事故はこの329倍の46万人以上!

・リンク → ハインリッヒの法則 - Wikipedia
「これならあのときの事故を防げますよ」
というと年間50万人近くが「うんうん、あれは怖かった」と言ってくれるわけだ。
ルンバの累計販売台数は35万台。(2011年8月時点)
・リンク → 2012年度は25万台販売が目標、ロボット掃除機「ルンバ」のマーケティング戦略
なんと、ルンバの累計販売台数より、高所掃除機の年間潜在需要の方が多い。


しかもルンバは「便利」なだけで5万円以上。
それなら「安全になる」高所掃除機は数万円でも十分買ってくれる可能性はあるんじゃないだろうか。
(もちろん日常使うルンバより、季節商品である分ハードルは上がる)


この手のロボット技術を持っている会社、というと日本では一社に限れない。
どこの会社でも良いので、参入してくれれば面白いと思うし、有り難いんだが。