ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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自販機が儲からないのは、考えてないから

自販機の台数が減っているという記事があったけど、それでも500万台以上もあるんだね。
いや〜、たいしたもんだ。

vending machines / tinisanto

実は自販機の設置台数はアメリカの方が多くてなんと700万台以上
でも売り上げは日本の方が約1.5倍も大きいらしい。
(その他の国は統計無し)
つまりアメリカは広大な土地にポツポツと自販機があるが、
日本は狭い国土に自販機が密集していて、一台あたりの販売金額も大きいと。
なるほどなるほど。

どれが自販機?どこまで自販機?

自販機というと「ジュースとたばこ?」と思っていたが、
統計資料を見ると券売機や両替機、コインロッカーやパーキングメーターも自販機に含まれるらしい。

MC2012Day3_20120520__DSC0593 / Cognoscenti*

なるほど、町を歩いていて自販機を見ない日はない訳だ。
・リンク → INFORMATION:自販機データ:自販機普及台数及び年間自販金額:一般社団法人 日本自動販売機工業会


自動販売機の定義を考えると、
「(人に変わって)あるサービスの精算(金銭授受)と、サービスの提供を行う機械」
だろうか。
となれば窓口業務や店舗の業務はすべからく自動販売機に置き換えられる可能性があるわけだ。
まんがサイエンスだったと思うが、
「みんなが日常生活で一番よく見かけるロボットは自動販売機だよ」という説明があり、すごく驚いた記憶がある。
まんがサイエンス (2) (ノーラコミックスDELUXE)
現状は飲料の自販機だけが飛び抜けた台数を誇り、明らかな過当競争で疲弊している。
でもその原理原則から考えると、自動販売機にはまだまだ発展の余地も可能性もあるんじゃないだろうか。

どんなものまで、売れるのか。

とりあえず「自販機で何が売れる?」という観点で見れば、
ちょっと思いつくだけでもありとあらゆる物が自販機で売られている。
その結果としての、最も効率の良いのが飲料の自販機だとは思うが、海外でも大概変な物が売られている。


日本でもが売られていたり、カブトムシクワガタが売られている自販機があるという話だが、中国では「」が売られているらしい。
そういやUFOキャッチャーでザリガニを釣るってのがあったな。あれどうなったんだろう。
アメリカじゃiPodやその関連機器が売られていたり、スキンケア商品が売られているとのこと。

iPod vending machine / D.L.

あとはBMWベントレーが買える自販機ってのも話題になったけど、まぁこれは話題作りでしょう。
有名どころではドバイの「」自販機。「きん」です。「かね」じゃないです。
話題にはなったけど、ある意味両替機と考えればそれほど特殊でもないか。
あとイギリスでは「」。いや、売れるのは分かるけどどうやって在庫するんだ?あんなかさばるモノ。

自販機の敵は、コンビニ。自販機の敵は、キオスク。

「自販機で何を売ったらいいか」と考えると、確かに飲料とたばこになると思う。
でも、発想を顧客視点にしたらどうだろう。
「自販機で何を扱って欲しいか」と考えると、それってコンビニやキオスクに求めるモノに近くなるんじゃないだろうか。

  • 町を歩いていて、ちょっと小腹が空いた。
  • メモを書きたいがペンが切れた。
  • 移動中に本を読みたい。
  • 今日の新聞を買っていきたい。

こういうニーズを最大公約数で拾い集めるのがコンビニやキオスクの仕事だと思うが、
それって、イコール自販機の仕事のはず。
今の自販機は「売りやすい商品」でまとめているので、過当競争に陥っている気がする。


その問題の根本は、「自動販売機を設置している主体が飲料メーカだから」かな、と思う。
じゃあ、独立系で飲料にこだわらずにコンビニと戦う自販機は出来ないのかな?
と思ったら、まさにそういうスタンスで自販機を設置している会社がある、という記事があった。
・リンク → コンビニ超え、地域を救う自動販売機:日経ビジネスオンライン
※2ページ目以降は会員登録が必要
こういう会社が増えてくれば、より「顧客視点」の自販機が増えてくれるんじゃないだろうか。

顧客視点の自販機の必要性

首都圏の人口過密地域では少し歩けばコンビニがあるので気にならないかもしれないが、
過疎地域に行くまでもなく、地方都市でも徒歩圏内にお店がない「買い物難民」は我が家を含め、多い。
小売り店舗は大型化したり、ドミナント戦略を取って効率化を進めている。

The Rock shopping centre, Bury / Ingy The Wingy

個人商店は効率が低いため効率化競争に勝てず、結果として店舗の空白地帯が各地に発生している。
これを解決するのが「自動販売店舗」だと思う。
人件費を極限まで安くすることで、コンビニでも収益化が難しい箇所に最低限の店舗を設置できる。
これからの日本に求められる店舗じゃないだろうか。


自販機は効率化を追求するために「形状が同一(円柱・直方体)の固形物のみを販売する」という構造になっている。
商品の形状がこの扱いやすい形に合致する上、屋外に置かれる関係上
「消費期限が長く、多少の温度変化があっても品質に影響しない」
という商材の方が取り扱いやすい。
飲料とタバコはこの両方の要求を満たしている。
新聞や雑誌は情報の鮮度があるのでメンテナンスが大変。
生鮮品は腐るので扱えない。
こう考えるとやっぱり新しい自販機は難しいのかな・・・と思ってしまうが、
たとえばカロリーメイトはこの条件を満たす。
大塚製薬 カロリーメイト ブロック メープル 4本×30個
カロリーメイトに拘る必要は無いが、とにかく自販機で取り扱う新しい規定の大きさ」を決めてはどうだろう。
現状の規定サイズはジュースの缶(ペットボトル)とタバコだが、例えばタバコ大にTシャツを圧縮して販売している自販機がある。
・リンク → Tシャツ自販機 | すいせい
フリスクだって塩昆布だって、タバコサイズにパッケージだけ大きくすれば自販機で扱えることになる。


買い物難民対策になるとすれば、「明日の朝ご飯」を扱えるようなサイズ提案をしてもらえると助かると思う。
具体的にはパン
非常食に「パンの缶詰」を扱っている会社があるが、こういった物なら自販機で扱える。
・リンク → パンの缶詰 | 株式会社パン・アキモト | パンの缶詰を販売している栃木県那須高原にあるパン屋 | Pan Akimoto Co.,Ltd.
隣でシリアルと牛乳も同じサイズで扱ってもらえれば、選択肢も増えるし、朝食を買い忘れたときに便利。

「ちょっとした買い物場所」は「冷蔵庫」へ、そして「防災拠点」へ

コンビニは生活をどう変えたかを考えると、自販機の将来の姿をイメージしやすい。

Convenience store / i_yudai

コンビニは当然、小型の小売店舗だが、近所にコンビニがあると
買いだめをすることなく、ちょっとした買い物はすぐにコンビニに行くことで用を済ませられるようになる。
これを推進するコンビニのPRが「あなたの家の冷蔵庫として、コンビニを使ってください」という言い方。
この時点で、コンビニは小売店から冷蔵庫になる。
そして、緊急時にはライフラインとして。
阪神淡路大震災、そして東日本大震災でコンビニは緊急時のライフラインとして機能した。
いつでも食料と飲料を置いているコンビニは、既に緊急時の防災拠点の一環として捉えられるようになっている。


自販機はどうだろうか。
先の「パンの缶詰」は実際に緊急用の食料として備蓄されている代物だ。
自販機も緊急時には無料で販売されるようになったりと防災拠点としてのPRをしているが、
いかんせんジュースだけでは生きていけない。
もっと生活をカバーしうつる、次世代の自販機があればどうだろうか。
ビジネスとしても競合がいないので十分利益を出せる可能性があるし、社会的な意義もあると思うんだが。