蒼天航路−ネオ・三国志−
今日友人と話していた内容、ほぼそのまんま。
私なりの書評。
間違っているところも多数あると思うが、その辺はご容赦。
全部検証していると勢いが無くなるので・・・
蒼天航路とは
蒼天航路はモーニングで連載されていた「ネオ三国志」漫画。
原作・原案 李學仁(イ・ハギン)、漫画 王欣太(きんぐ ごんた)。
李學仁(イ・ハギン)は韓国人(在日二世)、王欣太(きんぐ ごんた)は日本人だそうです。
なんだ、中国人じゃなかったのね。今の今まで勘違いしてた。
- 作者: 王欣太,李學仁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/10/19
- メディア: コミック
- クリック: 74回
- この商品を含むブログ (72件) を見る
簡単に言うと「曹操視点の三国志」です。
今までの三国志演義→横山三国志へと繋がる「劉備三国志」に対するアンチテーゼ作品。
そもそも三国志とは
いわゆる「三国志」とは元は「三国志演義」という「小説」。
それを吉川英治が「三国志」として大ヒットし、横山光輝漫画もこれをベースにしている。
大衆小説である三国志演義は、劉備を善、曹操を悪という基軸で書かれている。
(この辺、細かい説明はさっくり省きます)
まぁとにかく、大衆小説にふさわしく人情話が書かれていたりがちょくちょくある訳ですよ。
あと、史実に準拠しているわけでもない。
- 作者: 吉川英治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1989/04/11
- メディア: 文庫
- 購入: 10人 クリック: 80回
- この商品を含むブログ (161件) を見る
蒼天航路の凄かったところ
個人的に、蒼天航路を読んで衝撃を受けた点は二つ。
蒼天航路の解釈
蒼天航路は「史実」三国志と言うより、「正史」三国志という方が正しいと思う。
作中の人物はみんな自分の意見で話して、動いているが、その人物像や行動の解釈は多分に作者の解釈が入っている。
その「ビバ曹操」な偏り方は、正史に似ている。
正史は、中国においては新たに成立した王朝が作る歴史書。
それは名の通り「国が認めた正しい歴史書」だが、つまりは「今の国は前のこんな悪い国から新しい国を作った!」
とPRする目的があるため、多少ならず偏った記載がなされている。
董卓の章ではっきり書いているが、作者はこの董卓の歴史書における「残虐な王」という表現を「むしろこの残虐な表現ですら実際より穏やかに表現している」
として「悪の帝王」として描き、劉備を「逃げ回る弱虫」として書き、天才諸葛亮孔明を「変態」として書く。
それは、大仰な身振りも含めて作者の考える「曹操像」を作者なりの「三国志演義」として書いたと考えると辻褄が合う。
だから、これは「正しい歴史じゃない」と目くじらを立てる作品じゃなく、
「曹操から見たら歴史はこうだった」という作品だと思う。
その偏った見方自体も、中国人的な発想で凄く楽しかった。
・・・とまぁ熱く語りながら途中で止まってるんですがね。
黄巾の乱、董卓、呂布と文句なしの描き方なので、お勧めして問題なかろうと。
まぁ、機会があれば手に取ってみてください。
- 作者: 王欣太,李學仁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/01
- メディア: 文庫
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (2件) を見る