ボードゲームのデザインの基礎の基礎:5 複雑さ
ボードゲームやカードゲームといったゲームは自分が勝ちに行くようにアクションしますが、勝利に対するアクションが一つしか無いとタダのすごろくになります。
基本システムはこれだけで、このアクション自体に「賭け」や「ブラフ」を入れると「キャントストップ」や「チャオチャオ」になります。これでも十分ゲームになる、どころかどちらも名作中の名作です。
「勝利に向かう」という基本の軸に対して、いくつかの他の指針を混ぜ込むことでゲーム性を挙げる事例も多くあります。例えば「勝利の基準を複数設ける」「相手を妨害する」などなど。このアクションが「相手を妨害しつつ、自分も勝利に向かう」といった動きが出来るとより良いですよね。
複雑なゲームの注意点
どちらのゲームが良い・悪いと言うつもりはありませんし、色々なゲームがあるのは良いことです。
ただ、これもテストプレイや最近ゲームを作り始めた方のゲームで多いのが「パラメータが多い」「アクションフェイズが多い上に、それが明示されていない」というものです。
この辺、TCG(トレーディング カードゲーム)プレイヤー出身のゲームデザイナーさんに多いという印象です。
続きを読むボードゲームのデザインの基礎の基礎:4 勝利点
ボードゲーマーにとっては日常用語の「勝利点(VP:Victory Point)」ですが、この言葉自体が一般的じゃないですよね。
要はゲームにおいて「これをしたら勝ち」という基準です。
将棋なら王将を取れば勝ち、オセロなら自分の色が多ければ勝ちですが、ボードゲームの場合は「終了条件を満たした際に点数を精算して、多い人が勝ち」「特定の条件を満たした人が勝ち」など色々な終わり方・勝ち方があります。
勝敗のために評価する点数が多く、何十点となる場合は得点チップや得点トラックを用意することが多いです。(モノポリーでは紙幣でしたね)
私も「卓上ヘボコン 対戦キット」では得点トラックを用意しました。
下写真では中央のロボットが並んでいますが、この対戦用のボードの周囲に数字が並んでいます。ここにチップを置くことで、点数をカウントするのが「得点トラック」です。
ちなみに開発中の写真がこちら。ルールも今と全然違いますが、得点トラックが個人ボードの上にあるというのも違いの一つです。
得点トラックを個人ボードに置くと「得点を管理して伸ばす」という意識が出ますし、全員で一つにまとめると「抜きつ抜かれつ」の、人と比較する印象が強くなります。
「まとめると一カ所で済むから製造原価が下がる」というコスト面の他に、得点の示し方一つでプレイする印象も変わるという一例です。
「卓上ヘボコン 対戦キット」においては、対戦する状態を可視化したかったため、最終的に得点トラックは共有の物、としました。
では、勝利点が一桁の場合はどうでしょうか。
例えば拙作「百怪夜行」の勝利条件は、「最初に10点を取ったプレイヤー」です。
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