ドイツのマスク事情について
ドイツの感染は過去最大のピークを迎えていて、週によってはより厳しい措置を発令するなど報道も出ています。
逆に日本ではゼロとはいかなくともピークの1%未満に感染者数を抑え込むなど、かなり安定した状況を(恒久的かはわかりませんが)作れています。
「この違いは何だ?」みたいな分析も専門家の方は色々とされているかと思いますが、仕事で出張して見てきた現地の感覚を纏めてみます。
(2021/11/13帰国しました)
ドイツでは「2G」や「3G」といわれるチェックが進んでいて、ワクチン接種証明か感染証明が無いとレストランなどにも入れない措置が取られています。ワクチンの証明は専用アプリで表示されていて、また同時にレストランは席ごとにトラッキング用QRコードが貼られており、いざ感染者が出た場合には近くにいた人に連絡が入るようになっています。
この点は日本より進んでるなー、と感じました。
ただレストランではアプリの画面を目視確認していたので、これを大規模にイベント等で使える状態になっているかは不明です。
逆に日本の方が圧倒的に優れているのはマスクの装着率。
「マスクをしてない人が居る」んじゃなくて、「こういう時は付ける」「こういう時はつけなくて良い」という基準が違うのが分かりました。
簡単に言うと、日本だと「家を出ればマスクは付けるもの」が基本で、それに対して「こういう時は外しても大丈夫」という感覚だと思ってるんですが、それがドイツだと基本付けなくて、「こういう時にはマスクをつける」という感じです。
本当に隙あらば外します。
- 「外なら付けないでも大丈夫」
- 「1.5m離れれば付けないでもOK」
- 「レストランに入るときに接種証明しているから、レストラン内の人はみんなワクチン接種済みだから大丈夫」
- 「ここは風通しが良くて換気されてるから大丈夫」
- 「この部屋の皆ワクチン接種済みだから大丈夫だよね」
等々…
空港の受付、警察、PCR検査のために行った医療センターの受付、ショッピングモールで料理作ってたお兄ちゃん。
全員ではないですが、たった数日の滞在でもこれらの人たちで普通にマスクしていない人が居て、周りもそれを受け入れていました。
大聖堂で有名なケルンに行った時には日本のハロウィンのような仮想パーティ状態だったんですが、こんな雰囲気でした。
あと少し話が逸れますが、下はこんな感じでめっちゃゴミが散らかってます。
ごみ箱を見かけないのも理由の一つですが、ゴミを片づける意識も低いと感じました。
ドイツの会社と仕事してると「Responsibility」という言葉が良く出て来るんですが、「自分の仕事かどうか」はドイツでは良く気にされます。
みんながゴミ捨ててる横で清掃もずっとされているので、「ゴミを片付けるのは清掃する人の仕事」つまり「清掃人の仕事を奪ってはいけない」という意識があるんじゃないかなー、というのがこの行動の理由だと考えています。
この辺は文化とかに詳しい人が解説してくれると助かります。
「そうか!ドイツじゃもう誰もマスクしてないのか!」
というと全然そんなことはなくて、一歩建物に入れば90%以上の人はマスクしてます。
法的にマスクをしなければ捕まる、ということは無いようなので、状態としては日本と同じく「マスクの要請」です。
つまり同じ要請をしていて、建物内では日独は同じような状態だけど、一歩外に出るとドイツでは人込みでもマスクを外すのが「当たり前」になっているということ。
このほかショッピングモールでタバコ店がやっていける程度には喫煙人口も多いようで、
喫煙所はどこも開いていて人が絶えないのは確認できました。
日本でも喫煙所は開き始めていますが、どうしてもマスクを外して人が密集することになるので、解禁のコントロールは難しいところだと感じます。
翻って日本。
これを書いている11月13日時点、日本に入国するには様々な作業を行う必要があります。(写真は入国に際し提出+受け取った書類一式)
- ワクチン接種証明書
- 出国から72時間以内のPCR検査
- 専用アプリの導入
- アンケートの回答
- 誓約書(入国後の滞在情報を含む)の提出
- 入国時の検体検査
そして帰国後は3~14日の隔離機関が設けられていて、空港から隔離施設(自宅などでもOK)に移動する際には公共交通機関の使用が禁止されています。
ドイツはフツーに入れたので、これを比べれば日本はかなり本気で検疫していると言えます。
「そんなの守らなくても分からない」という意見もあるけど、それは各自がルールを守るかどうかの話であって、政府としてはかなり厳しく取れる手を打ってるなーと感じます。
まー、そのせいで関空は今こんな状態ですが。
行きの飛行機も乗車率(?)は15~20%程度。
3席・4席繋がりの座席を贅沢に使って寝転んで過ごせるぐらいでした。
ところがトランジットで着いたドバイではカフェで普通にみんなが食事していて、飛行機も満席。(席でマスクを外すのは仕方ないとしても、座席を減らすとか、アクリルでのパーティションを作るなども無し)
「なんか違う世界に来たみたい」というのが本音です。
ということでドイツに行ってみた感想です。
たぶんドイツ人に訊けばみんな「マスクしてる」と答えると思います。
実際に建物や電車の中ではみんなマスクしてます。
じゃ、「日本と同じようにマスクしていてなぜこんなに感染するのか?」という問いに関しては、「少なくとも『日本と同じように』マスクはしてない」とは断言できます。
コロナ禍以降、人の交流が途絶えたためにこういうニュアンスの部分はお互いに伝わりにくくなっているのはひしひしと感じるので、一個人の旅行記でも積極的に発信していくのが良いかと思い、久しぶりに筆を執りました。
これを書いた目的は「日本凄い」「ドイツダメだ」ではありませんし、現状の感染状況の違いがマスクの着用度合いだけとも思っていません。
(例えばドイツでは鼻をかんだティッシュ・ハンカチを一度で捨てず、何度も使うことが不衛生で感染の原因になっているのでは?という意見、単純にワクチン接種率が違うという背景もあります)
しかし、特にこうしたマスクの着用など日々の行動については「やった・やってない」という単純な線引きが難しく、ニュアンスの部分を伝えるには具体事例と写真をたくさん上げるしかないかと思ったので、この点に特化してまとめた次第です。