ドイツのボドゲ。多言語対応と品質
ドイツに行ってボドゲ(ボードゲーム)の話をしておきながら、今回買ったのは二つだけ。
荷物が重いというより、ルールがドイツ語でしか書かれていないのが一番の理由です。
結局ルールの分かっている物か、英訳がある物しか買えないという。
行っておきながら買えないのは、ボドゲ好きとしてはストレスが溜まります。
自分の制作するゲームでは日英訳を付けて、言語依存を少なくしようというのはこういう実体験が元にもなっています。
欧州式多言語パッケージ
今回買ってきたゲームの一つはこれ。(もう一つは持っているゲームの拡張)
パッケージの裏を見ると
このように各国語で簡単な説明があります。
これを見れば、少なくともこの言葉で説明書があるんだろうと推測できます。
自分のゲームも箱に英語を入れた方がいいかな。英国旗で英語対応は主張していますが。
また、箱にはゲームの特徴も点数評価。
「運とスピードが重視の、簡単なゲーム」ということが分かります。
「運・スピード・難易度」という評価軸から、この会社は「ゲームに詳しくない人に向けて、幅広く売ろうとしている」のでしょう。
また、多言語展開するにあたり「ドイツ・フランス・イタリア・イギリス・スペイン・オランダ」と英語が3番目に来ている辺りは欧州的。彼らの市場でイギリスは4番手で、英語はあくまで「イギリス語」なんですね。
念のため補足しておくと、上のように多言語対応しているのは、全体の2~3%程度でしょう。基本的にはどれもドイツ語オンリー。
ゲームのクオリティ(品質)
ゲームはダイスを振って、マスを埋めるという単純なものですが、気になったのはそのクオリティ。
まず、ゲームを行う盤面はこんなデザインです。
まず、この盤面が反っている。
横から見るとこんな感じ。
写真で見ると分かりにくいですが、机に置いて盤の端を押すと、盤が浮きます。
また、盤の端面にははっきりと切り落としたバリが。
こういうのは気にしないんだなぁ、という感じです。
とはいえゲームの性質上、盤面はそれほど気にしなくてもいいもの。
一番気になったのはダイス(サイコロ)です。
ゲームでは4色×6個=24個のダイスを使用します。
ところがこのダイスの中に、明らかに印刷不良のものが混じっている。
ドットの他に白が飛んでいるもの(上列)、ドットの印刷が悪く、剥がれているもの(下列)。
スマホでの撮影なのでボケていて申し訳ないのですが、特に上列右から二つ目、赤のダイスに白い線が入っているのは分かると思います。
8/24=33%のダイスに印刷不良があるのは、日本では考えられないのではないでしょうか。
日本と海外の「品質」について
自分も個人制作ながらボドゲを作っています。
特にダイスは「陰陽賽」制作時に、イギリスやアメリカから購入しました。
そうすると、「これを商品として売っていいの?」というものを手にすることがあります。
実際、陰陽賽の初版では、購入したダイスを全品チェックし、膨大な時間をかけて目を一つ一つ修正しました。
有機溶剤で全面を拭いた後、全ての目を塗り直し。はみ出たら乾いた後に作業をやり直し。また、斜めに歪んでいるものは確認して廃棄。合計何時間かかったことか・・・
(今でも「初版のあのダイスが欲しい」と言われることがあります。すいません、勘弁して下さい)
あの時はあれほど品質の悪いものの用途がイメージできなかったんですが、海外ではそれでも十分商品になるんですね。
ドイツのボドゲは市場が大きいだけあって、日本では安く作れない木製コマや、複雑な厚紙の コンポーネント(部品)には素晴らしい物があります。
(個人で購入したい場合は、例えばここから購入も可能です)
実際、街の小さなゲーム屋さんでこれだけダイスが売ってますから。
(写真は昨年ドイツに行った際に撮影したもの)
ただ、「この品質でも市場レベル」という基準は知っておいてもいいのかなと。
日本の消費者は世界一厳しい、と言われますが、要は市場の最低品質が高いんだと思います。
最高級品が良いのは世界のどこでも当たり前。(もちろん、いくら金を出してもどうしようもない場合もありますが)
問題はスーパーやデパートで安い物を買おうとして、どんな品質か。
その「最低限超えなければいけない品質」が、日本は高いのだと思っていますが、今回はその一例として、「本場ドイツのボドゲでも、こんなもん」という報告です。
日本も多少の包装の傷なんか気にしなけりゃ、包装も簡単になるし、結果として郵送費や保管料の削減など、トータルコストの削減になっていくと思うんですがどうなんでしょうね。