金にならない仕事
ペットボトルに濁った水を入れることで、スラム街で照明として使えるという記事が話題になっていた。
※写真はリンク先より転載
リンク → シンプルな発明でフィリピンのスラム街が生まれ変わった!使うのはペットボトルの水と漂白剤だけ - らばQ
要は懸濁液で太陽光を拡散させることで照明として利用するということ。
電源も要らないし、あるもので作れるので安価。
こういうのこそがスラムで求められる物なんだよな。
素晴らしい。
ちなみに漂白剤は藻の繁殖を防ぐための物とのこと。これで一年ほど保つらしい。
30年前のフィリピンという国
フィリピンは今ではどうか知らないが、以前は
「92%の貧民層、8%の富裕層(数字は時期により多少変動していると思う)」
等と言われ、スラム街もあるが国全体が貧しかった。
もう30年近く前になるが、当時フィリピンに住んでいたときは「計画停電」があって、
夜になると家族で冷蔵庫を閉め、ろうそくを持って外に出て電気が復旧するのを待っていた記憶がある。
Candle night / chidorian
「バナナが一本あれば家族を養える」
「スモーキーマウンテン(スラム街)で1000円出せば殺人も依頼できる」
などいろんなことが言われていた。
BOPビジネスについて
こういった貧困層向けのビジネスは「BOP(Bottom of Pyramid)」といわれて、昨今注目を浴びている。
「貧困層向けにビジネスを行うことで、継続して支援を行っていく」
というのが趣旨だが、本当の貧困層はお金の桁が2つ3つ違うので、商売としてやるのは非常に難しい。
Pyramids / wilhelmja
ただ安易に食糧支援などの物的支援を行っては良くないというのは分かる。
「魚を渡すのではなく、釣り竿を渡せ」
といわれるように、その場限りの支援では無く自立するための支援を行うことが必要というのは大切。
貧困層への支援で必要なのは、技術や知識といった「ノウハウ」の提供。
「儲けることで継続的に」というが、とはいえ儲けは少ないので、個人的には慈善と割り切って文化振興のように垂れ流す方が気楽な気もする。
100%無償で提供する訳では無く、その事業に補助金として費用を入れて最終的にペイするようにするぐらいが落としどころじゃ無いかなと。
もう一つ、実例
こういった技術・ノウハウ提供で、「なるほど」と思ったのは潅漑設備。
貧困地域には砂漠や準砂漠地帯も多い。
こういったところで農業を推進するのに、大きなポンプや高額な種はもちろん手に入らない。
そこで、今ある水をいかに有効に使うのかがポイントになる。
先進国だとコンピュータ制御で精密に水をやって・・・とかになるんだが、
貧困地域でも簡単に導入できる方法として紹介されていたのがビニールホース。
Starburst Galaxy 3 / robotsari
これに穴を開けて、水が適度に漏れるようにしただけで、潅漑を行うというもの。
これだけで、手で水を撒くのの1/10とか1/20に水の使用量を減らせるらしい。
水の使用量を減らせることは、水まき作業の削減による作業者の負担減や、水の蒸発による塩害の減少にも繋がる。
作業者の負担が減れば他の仕事もできるので、より貧困の脱出に繋がっていく。
この潅漑にしろ、先の照明にしろ、これをやったところで紹介者側には殆どメリットが無い。
こういうところはNPOやボランティア、あるいは企業の慈善事業としてやっていくしか無いと思う。
こんな知識もネットニュースや科学雑誌でしか手入らないもんなぁ。
結局、こういう情報を発信して、募金なんかで推進する仕組みが一番大切なのかもしれんね。