ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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「骰棋(ダイスチェス)」が面白かった

新作「BLOCK. BLOCK」がテーマ無しのシンプルなゲームだったので、
今回のゲームマーケットではそんなゲームを集中的に買いました。
いわゆる「アブストラクトゲーム」ってやつです。

 

結局そういうのが好きなんですね。

 

で、買った中でも良かったのがこの「骰棋(ダイスチェス)」という作品。

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カタログで気になって見に行ったら、無言で名刺サイズのルール紹介サマリーを渡されました。
なんと香港から来られたそうで、日本語が出来ないとのこと。
箱とルールは日本語訳されたので、サマリーを名刺大で作ってそれをひたすら渡していたそうです。
それで単身日本に来て売る根性が凄い!尊敬します。

 

実際にお話を伺ったら、やっぱり面白そうだったので購入。
広東語(香港の現地語)で「多謝!」と言ったら凄く喜んでもらえました。
挨拶と数の数え方だけでも、いろんな国の言葉を知ってると便利ですよ。
(4年半も香港に住んでて挨拶ぐらいしか知らないのはむしろマズいのではという話は置いておいて)

 

「骰棋(ダイスチェス)」のルール

 そんなこんなで「骰棋(ダイスチェス)」です。
名前の通り、「骰子(ダイス)+西洋将棋(チェス)」ですね。
サイコロの目がコマの種類を表し、目で動きが変わります。
面白いのは、手番のアクションが「移動」、または「交換」であること。
「移動」は普通のチェスと同じです。好きな駒を動かします。
「交換」2つのダイス目を足し算し、それを好きに割り振ることができます。
例えば 2・6 のダイス目を 3・5 にするとか。

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ただし「王将」である「1」は必ず盤面に一つだけです。

なのでこういう交換はできません。

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この点、アクションが一種類のチェスよりも、「駒を動かす」「駒を打つ(置く)」の二種類がある将棋っぽさがあります。

 

サイコロの目は基本的に大きいほど強いので、大きな目を取るとお得です。
しかし、サイコロの目は取る瞬間まで確定しないので、その辺は「量子将棋」っぽさがあります。

将棋ったーβ - 量子将棋 のルール


将棋やチェスだと、取られそうになったら逃げるか、他の駒を効かせて「取られたら取り返す」ことになりますが、このゲームだと「取られる駒を安くして価値を減らす」という手があります。
これが独特。

 

取ったサイコロは再利用できないので、プレイ感は「将棋」というより「チェス」に近い感じでした。
「ダイス+チェス」という単純な足し算ではなく、色々なゲームをベースに、よく調整された印象を受けました。

 

実際のプレイでは敵の弱点を見つけて攻め込んだところ、取れる駒を安くされて「取るだけ損」に状況が変化、急いで体制を立て直そうとして頓死(ポカミスで死亡)。
ということであっと言う間に負けました。

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まさかの終局図

負けたけど、面白かった。

 

簡単に真似できてしまうゲーム

このゲーム、実は方眼のゲーム盤とサイコロが2色×11個あれば成立するので、実は簡単にコピーができてしまいます。
前にも記事を書きましたが、香港は今でもボードゲーム海賊版が売られている場所なので、仮にこのゲームが話題になれば、あちこちで海賊版が作られるでしょう。

roy.hatenablog.com


そうした背景も考えると、商業的にはこのゲームは厳しいです。
しかし、それを押してでもデザイナーのKC Pokerさんはこれを作りたかったし、日本語の翻訳まで行って日本まで売りに来られました。

 

買った感想としては十分すぎるほど満足。
それだけ面白かったし、ルールが美しかった。
正直なところ、制作者としては遊んだ体験だけでなく、ルールの美しさを味わえただけで十分に元が取れたと感じるぐらいです。

 

ダイス目を強さとして使い、転がして強さを変えるアクションは拙作「陰陽賽」で使いましたし、またHappyGamesさんの新作「ZIXZA」でも同様にダイスを転がして闘います。こちらも非常にシンプルなアブストラクトゲームです。これも美しい。

ZIXZA ジグザ | ハッピーゲームズ | ゲームマーケット

でも、「陰陽賽」を作って思ったのは、「それでも運の要素がある」ということ。
「骰棋(ダイスチェス)」はサイコロを使っていますが、初期配置も決められていて、運の要素は完全にゼロです。
そしてゲーム中に間違えてサイコロが転がらないよう、ボードは印刷ではなく、矩形に区切られた木のケースになっています。

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ゲームを買う動機になるとともに、遊ぶ際の必然性のあるデザインです。
買うときには気にしていませんでしたが、これも良くできています。

 

「シンプルで奥深い」を分解する

ゲームのルール理解には2~3分。

非常にシンプルです。

そして遊んでいくと、確かに強い駒は使い勝手が良い事が分かっていきます。
しかし、ゲームを遊んでいくほど、「お、これは一筋縄じゃいかなそうだぞ」と分かる。
「シンプルで奥が深い」ってのは、そういうことですよね。

 

オセロをはじめて遊んだ時を思い出すと分かりやすいと思います。
「とりあえずたくさん取れる場所に置く」
 ↓
「角が強いと分かって取りに行く」
 ↓
「角を取るためにはその周囲3マスが重要だと気づいて、そこに置かないようにする」
と、遊ぶごとに戦略が洗練されていき、その一手の「意味」が深まっていくからこそ、作られて何十年も遊ばれ、世界大会も開かれるわけです。

www.megahouse.co.jp

「骰棋(ダイスチェス)」にはそんな感触がありました。


もちろん、かなり遊ぶ人を選ぶゲームです。
二人用で、将棋やチェスに近い、実力差のはっきりと出る二人零和有限確定完全情報ゲーム。となると普通のオープンゲーム会では出しにくいし、カップルで遊ぶもんでもないでしょう。

二人零和有限確定完全情報ゲーム - Wikipedia

 

こんなものを楽しむ人はごく少数と分かった上で、だからこそ、なかなか紹介される機会もないだろうということで、珍しく他の方のゲームを取り上げました。
パッと調べた感じでは、日本での流通は無く、ゲームマーケットでの販売だけだった模様。(もし販売があったらごめんなさい)
良いゲームだと思うんだけどなぁ。
欲しい方が一定数いるなら、私が連絡してまとめて輸入したいぐらい。
送料込みだと4,000~5,000円ぐらいかな?
こういうルールを考えられる人に、ちゃんとお金が落ちて欲しいですね。

https://www.facebook.com/Kcpoker/

 

友人達の新作への反応

ちなみにこのゲームを遊んだのは、高校の友人たちとのゲーム会。もちろん新作「BLOCK. BLOCK」も持ち込んで、遊んで貰いました。
こんな感じで盛り上がっていたんですが、良かったなと思ったのはゲーム後。

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他のゲームが一段落したときに、みんなが「BLOCK. BLOCK」の戦略について話し始めた時です。
「棒を最初に置くのが最善手」「いやいや、それなら・・・」
とみんなが戦略を考えている。
それって、ゲームに奥深さを感じているという事だと思います。

自分の中ではこれに近い感じ。

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(「レベルE」2巻p94)

ルールは間違いなくシンプルなゲームなので、奥深さを感じてもらえたなら成功です。

 

ちなみにこの「BLOCK. BLOCK」。先日の「北海道ボドゲ博0.5」でもサプライズとして出展させて頂きましたが、なんと一つ指名買いがあったそうです。

 一緒に並べた「妄想トランプ」も複数名にご購入頂いたそうで、重ねてありがたい限りです。
シンプルではありますが、十分考えどころのあるゲームになっていますので、機会があればぜひ遊んで頂ければ幸いです。
(とはいえ、遊べる機会もなかなか無いのが心苦しいのですが)

 

最後にゲームの紹介ページをぶら下げておきます。ご興味をお持ち頂いたらぜひご一読ください。

ご購入はこちらから。(日本国内なら送料無料でお送りします)

pen-and-dice.booth.pm