ボードゲームのデザインの基礎の基礎:2 カードの裏
カードの裏のデザインを気にしてない制作者の方、居ますよね?
いや、イラストが綺麗かどうかなんて、ぶっちゃけどうでもいいんです。
今日はカードの裏も遊びやすさ(プレイアビリティ)に直結するよ?という話です。
カードが複数種あるゲームを作るなら、当然裏面は違うデザインにしますよね?
でも、問題はデザイナーが「違うデザイン」と思っていても、それが遊ぶ人にどれだけ伝わっているかが重要だ、ということです。
背景色が同じで文字を変えただけの場合、混ざったカードを分別する時に、すべてのカードの文字を確認しなければいけません。
あくまで一例ですが、たとえば拙作「かいちん」の場合、カードが二種類あるので、これだけデザインを変えました。
ゲームをする中で、「カードを探す時間」は純粋に「無駄な時間」です。
その時間をどれだけ減らせるかはカードデザインとして大事なところで、そのためには「パッと見で判断が付く」という基準はデザイン時に持っておくべきかと思います。
そもそも、裏は必要?
こちらは同じく拙作「百怪夜行」のカードの裏面。
全部で3種類あります。
ほとんどのカードは下写真の真ん中(黒地)のもので、ジョーカーである金魚カードが左の赤地、得点をカウントするボードが右です。
工夫した点はそれぞれ以下です。
ジョーカーである金魚カードについて
金魚カードはラウンドの開始時に各プレイヤーに配られます。
このため、ラウンドが終わるごとに金魚カードを取り出して配らなければいけません。
このとき、カード裏面の色が違うことで、重ねた状態でも金魚カードがパッと見つけられるようになっています。
下が実際に重ねたカードを開いた状態。3枚だけ含まれる金魚カードの位置がすぐ分かりますよね?
これにより「探す時間」を短縮しています。
得点カウント用の蝋燭カードについて
蝋燭カードは表裏で同じデザインです。
このカードは上にチップを置いて使います。
机の上に置いて使い、伏せることは無いため、表裏をなくしています。
実際に「得点カード」と裏面に記載があるものの、その面を向けて使うシチュエーションがどこにも無い、というカードを含んだゲームがありました。
この蝋燭カードのように表裏をなくしておけば、セッティング時に表裏を確認する手間を省けます。
「使わないからどんなデザインでもいい」ではなく、「使わないならその面を無くす」という考え方もあるよ、という一例です。
人間の目はカードの片側しか見られませんから、プレイしている感覚ではカードの表面にしか意識が行かないことはあるでしょう。
しかし、伏せたとき、他のプレイヤーから見たときといった「ゲーム中」だけでなく、ゲームのセッティングや仕舞う時なども含めて、カードの裏面もゲームの一環という意識を持ってデザインを考えてもらえればと思います。
裏面にも情報を
面白い使い方としては、タンサンファブリークさんのデザインされた「コヨーテ」があります。
「コヨーテ」ではプレイ中は自分のカードを掲げて、その内容を見ることが出来ません。
(ルールブックの女の子のようにカードを自分の額に掲げます)
カードには写真右のように大きく数字が書かれていますが、その裏面(写真中央)には「カードの種類と枚数の一覧」が表示されています。
自分から見えるのは数字面では無く、この裏面なので、この一覧表をみながら「今まで出たのはこのカードだからこの数字はあと何枚で・・・」と考えることができるわけです。
オリジナル版ではカードは文字通り額に貼り付けて遊ぶ物で、カードを止める用の鉢巻きが同梱されていました。このためカード裏面はシンプルなものでしたが、日本版でデザインを変えるに当たり、裏面を使うデザインに変更されました。
個人的には凄く良い変更だと思います。
(オリジナルの鉢巻きも、それはそれでバカっぽくて大好きでした)
次はボードのデザインについて書きたいんですが早くもネタが尽きそうです。