ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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香港ボードゲーム事情・その1

仕事で中国に行く用事があったので、
移動の時にちょっと香港に寄って向こうのショップ周りをしてきました。

香港はもう20年以上も前(返還前)に住んでいた事があった上、
現地で卸+販売を行っているMr. Walkerがうちのゲームを気に入ってくれたことから、彼が中国語翻訳を行い、いくつかのゲームを卸しています。

そうした事から色々と縁のある香港、調査+挨拶+里帰りの滞在でした。
それを半日に詰め込んだモンだから、まぁ忙しかった。
ちょっと反省。

 

香港のボードゲーム事情

香港のサイズは沖縄本島(県ではなく本島)と同じぐらいで、人口は約740万人。
ご存じの通り狭いエリアに人が密集しているので、人口密度は6,500人/km2を超えます。

人口740万ってどのぐらいかというと、名古屋を中心とした中京大都市圏(910万人)と北九州・福岡大都市圏(551万人)の間。

都市圏 (総務省) - Wikipedia

沖縄本島だけの面積で、人口は北海道を超えるわけです。

 

ではその香港でどれぐらいボードゲームのお店があるのか。

Walkerの話では、11店舗だそうです。
うち7店舗が旺角(モンコック)周辺に集中。(下写真の星部分)
旺角は「香港の秋葉原(by Walker)」ですが、店舗はそこに集中しているわけです。

他にもポツポツと点在。

f:id:roy:20170923144926j:plain旺角

実際の分布は下の地図を参照してください。

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日本との比較として「中京圏で11店舗」と考えると、多い・少ないの比較として分かりやすいかと思います。

 

ちなみに人口が2300万人の台湾ではプレイスペースだけで軽く100店舗超。
こっちは比較する必要も無い感じ。
そんなに作って大丈夫か。

 

香港のショップ形態

香港のお店の形態は日本とちょっと違うそうです。

ショップ

販売専門店。

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今回回った中では一店舗だけ。

Walker自身も店舗をやっているので、香港全体では数店舗。

台湾では書店にも結構ボードゲームが置いていましたが、今回は書店やおもちゃ屋は回れなかったので、街中での入手性はちょっと分かりません。

プレイスペース

ボードゲームを遊ぶ場所。
日本にはプレイ専門スペースもありますが、香港ではどのお店も販売もやっていました。
f:id:roy:20170923154316j:plainただ、日本と一番違うのは「友人と遊びに来る」事。
一人でフラッとお店に入って他のグループに混ざる、というのは無いそう。
確かに名前の通り「カフェ」と考えれば、喫茶店に行って他の人の席に座って話し出すのもおかしいわけで、お店がどういうルールになるかは微妙にその国/地域で違うわけですね。

台湾では「二人用ゲーム」がカフェで遊ばれるゲームの中で一定のシェアがあるそうですが、これもこの「カップルでカフェに来て遊ぶゲーム」と考えれば納得です。

 

パーティスペース

実際には、こちらが日本の「ゲームカフェ」に近い形態。

みんなが集まって自由に遊ぶスタイルです。

ただ、「パーティ」と名前が付いているように、常設のパターンよりは、みんなで示し合わせてどこかに集まってゲームするという形態が多いそう。

日本で言うと、ゲームカフェと言うより「オープンゲーム会」のほうが近い形態かな、と思います。

 その人集めに使われるサービスは圧倒的に「Meetup」で、シンガポールでもこのサービスが使われているよ、という話を聞きました。

www.meetup.com

 

お店の場所

香港の建物って、凄く縦長なイメージがあるじゃないですか。

実際に全てのゲームカフェは路面店ではなく、ビルの上階にありました。

台湾だと路面店や、ビルと言っても二階や地下一階などアクセスしやすいお店も多かったのですが、それが無い。

入り口には看板を出せると言っても、10階以上の雑居ビルのテナントがみんなテナントを出すもんだから、広告もこうなるわけです。

f:id:roy:20170923153800j:plainプレイスペースの看板は最上段

そして中からエレベータで上がり、こんな廊下を通った先に・・・

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看板が。

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現地の案内という最強のナビが居たから私は問題なく行くことが出来ましたが、これは知らないで辿り着くのは難しいですね。

路面店ならちょっと覗いてみられるわけで、この辺は香港と台湾の店舗数の差と普及率に大きく影響している気がします。

 

香港でショップを経営するということ

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香港の流行発信地、旺角にあるプレイスペース「Party Ideas」の店長は日本が大好き。

ゲームマーケットには必ず参加している猛者なので、会場で見かけたらぜひ声を掛けてあげてください。(写真左)

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こんな彼も本業は別。

Mr. Walkerも本業は別にあって、仕事が終わってから線路沿いに納品を行って日々走り回っているそうです。

彼のハンドルの「Walker」もそうして街を走り回っていることから付けた、というぐらい。

他のプレイスペースも、「実は本業が保育士で・・・」とか、本業が別の人がほとんど。

世界でも「ゲームデザイナーで食っていける人は少ない」と言われますが、香港ではショップ店長もそれだけでは食っていけないそうです。

「Party Ideas」は色々と特殊な空間で、夜や週末だけボードゲームのイベントスペースとして開いているとのこと。つまり日本のゲームカフェと同じに見えても、あくまで「毎日のようにイベントを開いているだけ」という店舗形態だそうです。

それも兼業でやっているために「いつでも休めるように」という体勢を作るためのよう。色々大変だ。

 

ところでこのお店、「それでも昼に営業しないなら、賃料を払い続けるんだから大変じゃないの?」と思ったら、「ここは屋上に作った『違法建築』だから賃料が安いから大丈夫」とのこと。

言われてみたらエレベータは12階までで、「13階には階段を上がってね」って書いてあったし、

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ここに来る途中の廊下は空が見えてたわ。

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この「合法と非合法の間」というスタイルが、なんかこう、香港だ。

 

今回の香港訪問、なんで台湾の時みたいに店舗紹介形式にせずにエッセイにしているかというと、色々紹介しにくい話が多いんですよ!

「Party Ideas」も、リンクは貼りません。

気になった人は自分で調べてください。

良くも悪くも香港だから、これを紹介してリンクを貼ったところで、彼に直接迷惑が掛かるわけじゃないんですけど、そこはやっぱりマナーとしてね。

 

そんなわけでとりとめも無い話が多いと思いますが、思い出した内容をポツポツとまとめておきたいと思います。

聞きたい内容があれば、場合によってはMr. Walkerあたりに聞いてでも確認しますので何でも訊いて下さい。