シンガポール ボードゲーム紀行『その2. Grey Ogre Games』
シンガポールのゲームショップ紀行は2店目でおしまい。
いやだから仕事のついでで行ってるんで数が少ないのは勘弁して下さい。
Grey Ogre Gamesさんはプレイスペースです。(販売もアリ)
「その1」のPIさんが販売メインだったので、プレイ事情を伺いたくてお邪魔しました。
WEBは東南アジアのお店では良くある、Facebookのみ、という形態。
(WEBページは一応ありますがずっと工事中)
店内の様子
お店に入ればで~んと机が並んでいますが、これは・・・・デュエルスペース?
一応奥の棚にボードゲームもあるものの・・・
お話を聞くと、毎週火曜にはボードゲームを遊ぶ日があるのですが、それ以外はTGC、その中でもMtG(Magic the Gathering)がほとんどだそうです。
「やってることの9割はMtGかな」
ということで 残念ながらボードゲームはここでそれほど遊ばれていない、ということが分かった訪問でした。
お話しを伺った方々。
購買担当のMr.Hao (左)と話をしていたのですが、途中から左から二人目の彼(お名前伺わず)が話に参加。そこからはボードゲームの話も盛り上がりました。
彼もボードゲームを遊ぶだけでなく、イラストも描かれているそうです。
残念ながら実物が無く、ゲームの内容は不明ですが。
シンガポールでの遊び方は台湾のような「プレイスペース」、ドイツのような「家庭」のどちらともちょっと違うそうで、「集まって遊ぶ」と言っていました。
どういう事か分からなかったのですが、こういうサイトで人集めをするそうです。
そういえばこのサイト、香港でも使ってますね。
「香港で日本のゲーム会をするよ」という募集で使っていたのがこのサイトでした。例えばこれ。結構色々な日本のゲームが並んでいるのが分かると思います。
調べてみると、遊ぶ場所も誰かの自宅やプレイスペース、果ては「参加費無料:マクドナルドで」なんてのもありました。良いのか?それ。
世界でもトップクラスに物価、特に不動産の値段が高いシンガポールでは、ボードゲームよりプレイスペースをどう作るかが大変なようですね。
日本では公団にあたる、政府が提供する住居もマンションの一室が日本円にすると1億円ぐらいするそうで、「皆働いているのに息子たちが30過ぎても実家から出られない」なんて話を聞いたりもしました。
まさかボードゲームのことを調べていて国の不動産事情に行き着くとは。
こりゃシンガポール人も大変だ、と思います。
また凄いと思ったのは私のゲームを紹介したときに、一人が英語のルールを読んでいたら、もう一人が仕方なく中国語を読み始めたこと。
「中国語も大丈夫なの?」と聞いたら、「苦手だけど、まぁ読めるよ」とのこと。
これでプライベートはマレー語かもしれませんし、人種のるつぼの中で住めばそりゃ多言語にも馴染むよなぁと改めて感心しました。
※ちなみに公用語は英語。駅の構内は英・中・マレー語・ヒンドゥー語記載がありますが、道路標記などは英語だけなので英語は生活に必須です。
店舗情報
電話 | +65 9488 2156 |
---|---|
住所 | 83 Club Street #04-01 Singapore |
営業時間 | 12:00〜22:00 |
お店のある「Club St.」はこんな感じのバーが建ち並んでいる場所で、ボードゲームとはどう考えても場違い。
そんな小洒落たバーの4階にお店があります。
ちゃんとお店のキャラクターが描かれている入り口から入ればOK.
この写真を撮るときも、バーの超グラマラスなお姉ちゃんから、「何か飲む?」と声を掛けられました。
「ごめん、こっちなんだ」と謝ると、「Ha!」とにこやかに手を振って見送ってくれました。飲めるんなら一杯お邪魔したかった。(お酒は飲めないのです)
「エレベーターは無ぇんで、階段を歩くしかねぇよ」
マジすか。
で、ようやく4階。
距離は大したことはなくても熱帯圏の暑さが堪える・・・
MtG好きはぜひどうぞ。
冷たい飲み物も用意されています。
MtGはなぜか日本語版も置いてました。各国語版を置いてるのかもしれません。
短いですがシンガポール紀行はこれでお終い。
私も香港育ちですが、(当時)英国領の香港と違い、シンガポールは狭いながらも立派な独立国。
独立していると言うことは、何もかもを輸入しなければいけないわけで、結果として物価はどうしても高くなります。
物価が高くてもみんなが生活出来る必要があるわけですから、小国が生き残る方法は「完全に周囲と孤立する前世代化」か、「高い物価に耐えうる高所得化」の2つしか無いわけです。シンガポールに限らず、香港、マカオ、ニューカレドニアはいずれも植民地ですが観光か貿易で高所得化しましたし、ご存じケイマン諸島はタックスヘイブンとしてやりくりしています。
そして独立国であるシンガポールが植民地と一番違う所は「後ろ盾が無いこと」。これだけ狭い領土ではありますが、シンガポールはその面積に対して軍事力は強大です。そしてバスや電車でもそこかしこで「軍隊に入ろう!」と宣伝をうっています。戦争をしていないにしても、いざというときのための軍事力の維持はそれだけ重要で、大変だということです。
ちなみに街中のど真ん中に軍事基地兼飛行場があります。
所得が高いほど軍隊には入りたがらないのが世界の一般的な傾向ですから、国土が狭い=人口が少なく、所得も高いのに軍事力が必要=軍人が必要というシンガポールの政府が求めていることには矛盾があります。だからこそ軍への勧誘宣伝には力を入れる必要があるわけで、単純な宣伝だけでなく、科学技術館も軍の管轄だったりします。つまり宣伝の前の啓蒙にも力を入れているわけですね。
出張やら旅行やらで現地に行けば嫌でもその国のことを知りますし、気になればその国の歴史も調べます。
例えばシンガポールの歴史は英国人上陸から考えても200年未満、マレーシアからの独立で言えば半世紀強しかないわけです。
形式上マレーシアから「追放」という扱いで独立した歴史はともかく、現在の軍の勧誘に「マレーシアは敵」とは国民感情や経済状況を考えても言えません。
では、国民感情の統一の基礎となる仮想敵国をどこに置くか。今は知りませんが、15年前に旅行に行った際にはそれは「日本」でした。
第二次大戦で日本はマレーシア一帯も支配下に置き、大戦後はそうした支配下にあった国が次々と独立します。日本を「西洋列強から解放してくれた」と見て親日的な国もあれば、シンガポールのように「鬼畜日帝の支配から我々の歴史は始まった」と教育する国もある、と当時は衝撃でした。(日本の掲げた「西洋列強からの解放」が実質どうであったかという点についてはここでは触れません)
ボードゲームという非常に狭い、穿った視点で国を切り取っていますが、そうなった必然が各国にあるわけで、それを見つけることが各国にお邪魔して、お話しを伺う際の、私にとっての楽しみであったりします。
これを読んでいらっしゃる方にとっても、楽しみに感じて頂ければと思います。