ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム・3Dプリント作品・3DCG制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

ゲームと教育、いや、ゲームで教育

アナログゲームは教育に良い」という単純な考え方は否定するけど、「教育に良いゲームがある」というのを否定するつもりはない。

囲碁や将棋は頭の体操、論理の構築の練習には良いだろうし、パズルを解くことも、人と遊ぶこともいいことだと思う。

うちの子がゲームでこんなに変わりました

ゲームの中でも、アナログゲームの良い影響といえば一番に来るのは「負ける練習をすること」だと思う。

テレビゲームも負ければ悔しいが、ゲームというシステム相手に負けることと、目の前にいる相手に負けるのとでは、悔しさが全く違う。(「パンデミック」などの協力型ゲームは除く)

それがサイコロ運じゃなく、考えた結果なら尚更。

テレビゲームが無機質だとは思わないが、怒る相手が「テレビの向こう側」では怒りがぶつけられないが、目の前の相手に負ければ子供はすぐ不機嫌になって怒りをぶつけられる。そうして場の雰囲気をぶち壊して、怒られて、そんな経験を乗り越えて、「負けても楽しめるようになる」。これって結構大事な経験だと思う。

足し算は、ゲームで覚えた

うちの娘が好んでやっているゲームに「ぴっぐテン」がある。

ぴっぐテン 日本語版

ぴっぐテン 日本語版

 

 「6歳~」となっているが、実際に始められるのは五歳、または六歳から。

うちの娘はかなり苦労しながら五歳から始めていた。

ゲームはシンプルで、「足して10になれば場のカードは自分の物。11以上ならドボンで前の人の物」という、足し算ゲーム。

10までの足し算なので、カードも0~10の11種類しかない。超シンプル。

f:id:roy:20140428235229j:plain「ぴっぐテン」のカード。これで全種類

カードは「足して10になる組み合わせ」がそれぞれ昔話に即していて、例えば1(赤ずきん)の対である9が狼になっている。その組み合わせは数字の色も同じで、「同じ色を足すと10になる」と分かるようになっている。

他の特殊ルールはあるけど、とりあえずこれだけ知っていればゲームはできる。

 

で、このゲーム。始めてやった頃、娘は足し算がほぼ全くできなかった。

だから「5」「3」を乗せて、「5・・・6・・・7・・・8!」と指折り数えて結果を求めていた。

ただ、そんな時でも「カードを出したら、その人が合計数を宣言する」ことだけは徹底させた。

「7+8」とか、直感的に10を越えていることは分かっても、「じゃあ、これはいくつ?」と必ず質問して、指折りでも数えさせた。

 

で、どうなったか。

小学校に入る前の段階で、娘は一桁の足し算をほぼ直感的にできるようになった。

今は「100マス計算」なんていう勉強法があるらしいが、トランプよりも多い、重ねると高さ25mmにもなるカードをひたすら足し算するこのゲームは、反復練習としてこれほど優れた物もないだろうと思う。

足し算の繰り返しでも、それが苦行じゃない。あくまでゲームで、その先には勝ち負けという大きな目標が待っている。

足していくつになるか分からない頃は負け越していた娘が、今では6:4ぐらいで勝ち越すようになった。というか、こんな足し算ゲームでは、あるレベルから勝ち越しなんかあり得ないと思っていたが、最近ではどんどん負けが込むようになった。本当に、子供の成長は怖ろしい。というか、なんで負けてるんだ?オレ・・・

f:id:roy:20140428235344j:plain3枚の手札からどれかを出す。ゲーム風景はひたすら地味。

 一ゲームも数十分かかっていたのが今では10分弱。このぐらいなら会社帰りでもちょっと付き合ってやるのに、大して疲れない。

もっと足し算ができたなら

もっと足し算ができるようになれば、「neu(ノイ)」ができればいいなと思う。

ノイ (Neu)

ノイ (Neu)

 

 こっちは「101までの足し算」のゲームで、もうちょい戦略性が出てくる。

ゲーム名はドイツ語だけど、日本製。時間も短いので、ちょっとした時間つぶしにもお勧め。

日本語の勉強には?

小学校高学年ぐらいになればワードバスケットもできるかも。

メビウスゲームズ ワードバスケット カード60枚

メビウスゲームズ ワードバスケット カード60枚

 

ゲームを一言で説明すると「アクションバトルしりとり」

「場の文字」で始まって、「手札」で終わる言葉を考えて、それを宣言して手札をバスケットに投げ入れる、というもの。(例えば場に「え」が出ていて、手札に「め」があれば「えだまめ!」と叫んで「め」をバスケットに放り込む)

ハンデとして「誰々は5文字以上の言葉でしりとりを成立させること」とかにすれば一気に難易度が上がるので、バランス調整が簡単なのも良い。

カードはひらがななので、もちろん日本製。

さすがに小学校低学年相手では実力差がありすぎてゲームにならないので、小学校高学年以上になればやってみたいな、と思う。

バスケットに投げ入れるタイミングが全てのゲームなので、手加減が難しい。大人どうしても、息が上がるまで疲弊するぐらい本気になる良作。(意外なほど「しりとりのできる人」「できない人」に別れるので、人を選ぶゲームではあるみたい)

かけ算ができたなら

かけ算ができるようになれば「キングダム」「BIRTH」ももっと楽しめる。

BIRTH第2版

BIRTH第2版

 

麻雀もそうだが、「基準点の何倍が得点」という倍数計算のあるゲームは「かけ算って急に数字が大きくなるんだ」という実感ができて面白い。

大人になっても、「小銭を稼ぐ方が良いか、係数を掛けて大きい数字を狙う方が良いか」は結構悩むところで、意外にその計算は頭の中で正確にできていない。

f:id:roy:20140426162815j:plain「BIRTH」終了時。黄色の娘が二位。でもその理由は分かってない。

「BIRTH」は双六ゲームで操作も単純なので娘のお気に入りだが、「なぜ自分がこの順位だったのか」は点数計算が分からないので分かっていない。

これが知りたいがためか、最近かけ算を必死に勉強しようとしている。

そういうモチベーションになるだけでも、ゲームの意味はあるのかなと思う。

 

単純にゲームが良いとも悪いとも言うつもりはないけど、適切なゲームを適切なタイミングで提示することで、親も遊びつつ、それを教育に応用することはできる。

そうして親が楽しみながら子供の教育に少しでも役立てるなら、こういった娯楽が「役に立つ物」と言えると思う。

f:id:roy:20140429132142j:plainオモチャ屋の「知育」ゾーン。圧倒的に公文(くもん)が多い。

最近は「知育」としてそんなゲームに注目が集まっていて、特に公文がそんなオモチャ・ゲームをたくさんリリースしている。

くもんの日本地図パズル公文の日本地図。日本地図の勉強以外で使いようがない

よんろのご(日本棋院推薦)どうぶつしょうぎ」「よんろの碁」は幻冬舎。センスが良い

サッカーしょうぎ学研。「知育」を歌いながら、むしろゲーム性が前面に出ている

そんなわけで、「知育」棚には公文製が多い印象がある。ただ、公文は「子供に勉強させる」という親の上から目線が強い物が多く、「そうじゃないんだよなぁ・・・」と微妙な気持ちになる。

親も子供と一緒に遊べるのが理想なのに、子供向けに親が「遊んであげる」というのは、買っても長続きしないんじゃないかと思う。

カタミノ / KATAMINO [Gigamic / ギガミック] (正規輸入品 日本語パッケージ入り)

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例えば「Katamino」はフランスのパズルゲームで、対象年齢は「3歳~」となっている。

「3歳じゃパズルは解けんだろう・・・」と思ったら、三歳児がブロックを積み木として遊ぶ様がイメージ写真になっていた。

なるほどなぁ。

なんの説明もない、シンプルなブロックだから、遊び方も自由になる。

Gigamic (ギガミック) カタミノ KATAMINO (カタミノ) 木製ボードゲーム パズルゲーム 並行輸入品Katamino。仕切り位置でゲームの難易度を変えられる

「500問の問題集」という厳密なパズルと、「シンプルな積み木」という自由さ。

公文がこんなフリーダムさを手に入れれば、もっとよいゲームをリリースできるんじゃないないかと期待して止まない。