自作ゲームとおもちゃ屋さん(子供向けゲームの可能性)
縁あって保育士の方が100人以上参加されるセミナーにお邪魔しました。
セミナー前の会場全景(セミナー中は撮影禁止)
保育士は本当に大変だと思います。
子供を預かるだけでも大変なのに、長い時間を過ごすからには子供を楽しませたり、躾・教育といった部分も見なければいけない。
「それは保育園の仕事じゃない」と思っても、一日のかなりの部分を保育園で過ごすからには生活リズム等の管理も保育園でせざるを得ないでしょう。
そんな保育園では、「遊び」に対するスタンスが近年変わっているそうです。
長い時間を過ごす子供たちへの「時間つぶし」から、「教育」「コミュニケーションの訓練」「躾」といった様々な役割を求めるようになり、その重要性が増しているそうです。
セミナー会場ではその流れを受けてか、おもちゃの物販を併設していました。
私も「コロポックル 見~つけた!」という子供向けゲームを作った関係で、お邪魔させて頂いた次第です。
「コロポックル 見~つけた!」紹介レポート
保育士の方々にゲームを紹介した感想は、一言で言えば「大好評」でした。
やはり子供をよく見ているので、
- 秘密にする
- 相手の考えを読む
- 知らない言葉を叫ぶ(ゲームで使用するのはアイヌ語)
- 手渡しのコミュニケーション
といった、「このゲームで考えていた事」について、いちいち頷かれていました。
いくつかご購入頂きましたので、どこかの保育園で「コロポックル 見~つけた!」が遊ばれているハズ、です。
保育施設で喜ばれるゲームの条件
そうした会話の中から、「保育施設で喜ばれるゲーム」の話を伺いました。
ゲーム時間
ゲーム時間は「10~15分」が良いそうです。
どの施設もやることがたくさんあり、遊べる時間には制限があります。
つまり「遊べる時間」に割けるのは、一度にせいぜい一時間とのこと。
「なら30分ぐらいでもいいのでは?」と思いますが、
「10分なら30分で3回遊んで、他のゲームもできる。たくさん遊べば、『勝った子』がたくさんできる」
というのが一番の理由だそうです。
つまり、「負けっ放しで終わる子」をできるだけ減らすのが大事、ということ。
「コロポックル 見~つけた!」のゲーム時間は30分ですが、1ラウンドは約10分なので1ラウンドのショートルールなら10分で終われます。
そうした特殊ルールでもOKだそうです。
ゲームの特徴
今回は特に保育園(未就学児)対象だったので顕著ですが、やはり「負けて終わる子」を作らないためには「運の要素があるゲーム」が大事とのこと。
「虹色のヘビ」は保育園の定番ゲームですが、あれなんか勝敗は運です。
しかしだからこそ、「誰でも勝てるゲーム」であり、それが重要とのこと。
口コミ
保育士の皆さんは「仕事として」ゲームをされています。
そのため、自然にゲームを知る機会は少なく、今回のようなセミナーや、同業者からの口コミ、おもちゃメーカの開催する勉強会などでゲームを知るそうです。
特に他の保育園からの「口コミ」は大きいそうで、この辺は新規参入にはハードルが高いところです。
今回のセミナーも北海道から九州までの方が参加されており、特定のゲームがどの保育園でも置いてある、という理由が理解できました。
よく見かける「定番」というとこの辺でしょうか。
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ちなみに「スティッキー」は「皇室でも遊ばれている『皇室御用達ゲーム』」としてニュースになったのが普及のきっかけ、だそうです。
有名な話なんですかね?
自主制作のゲームとおもちゃ屋さん
今回自作ゲームを紹介させて頂きましたが、保育士の皆さんは先にも書いたとおり「仕事としてボードゲームを知っている」方々です。
つまり「ボードゲームは知っているけど、プライベートでは遊ばない」という人ばかり。
そのため自主制作のゲームは存在すら知らず、「こんな世界があるんだ」と驚かれていました。
逆に我々自主制作ゲームで子供をターゲットにした物も、ごく少数です。
(今回、他の制作者を誘おうとしましたが、該当者がおらず断念しました)
未就学児をターゲットにしたゲームは、安全性の問題もあり個人レベルでの制作は困難です。
でもターゲットが小学生なら制作は可能です。
しかし、「ゲームマーケット」に来られるようなゲーマー相手には売れません。
(「ペンとサイコロ」作品で一番売上が悪いのは「コロポックル 見~つけた!」)
「ボードゲームの人口を増やしたい」という声はよく聞きますが、新規流入を増やす方法の一つは「子供をターゲットにする」ことです。
マーケティングでは学生向けの割引はその一例ですね。
自主制作ゲームの成功方法
自主制作ゲームの販売チャンネルは「ゲームマーケット」「ゲーム専門店」「自前の通販ページ」ぐらいでしょうか。
自作ゲームのうち、「陰陽賽-おんみょうさい-」はゲーム好きに受けが良いですが、保育士さんに紹介したところ「難しい」と全く受けませんでした。
「陰陽賽」のルールはボドゲ好きにとってはそれほど難解ではないと思いますが、これだけ感覚に差があるわけです。
逆に言えばゲーム好きには「簡単すぎる」と売れないゲームも、おもちゃ屋さんではちょうど良い可能性が十分にあります。
チャンネルが広がればそこに対応した人が参入し、市場が広まる。
そうした好循環ができれば、本当の意味で「市場の広がり」「裾野の広がり」に繋がるのではないでしょうか。
おもちゃ屋さんと自主制作ゲーム。
この二つは近いようでほとんど交流がありません。
おもちゃ屋さんの方とお話しすると「衰退産業」「少子化で大変」「大規模店に食われる」とネガティブなお話が多いのですが、個人経営で大手流通に乗せられない商材を扱える強みもあります。
お互いがお互いを知って、新しい動きができれば面白いなと思います。
(「ペンとサイコロ」作品を扱いたい、というおもちゃ屋さんはぜひお声かけください)