ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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歩いてもブレない、ビデオカメラ

ビデオカメラが、どうも盛り上がらない。

ビデオカメラ市場は140万台〜160万台で、主な伸びは買い換え需要とのこと。
2008年の調査だが、所有率は30〜40%程度子供のいる家庭では+20%程度上昇するらしい。
・リンク → No.015 最新ビデオカメラアンケート! -あなたの選び方、楽しみ方-


日本人はカメラ好き、といわれカメラの所有率は90%程度
携帯電話のカメラ機能をメインに使う人も多いので、実質100%近い所有率と言える。
しかもカメラ市場は、フィルムからデジタル、コンパクトカメラからデジタル一眼とトピックがある度に市場が盛り上がっている。
ではなぜビデオは盛り上がらないのか。

ビデオカメラが今ひとつ普及しない問題点

そもそも動画のニーズが無いという意見もあるが、運動会などのイベントではビデオカメラを構えるから、
「何を撮っていいか分からない」「撮るニーズが無い」は当てはまらない。
YouTubeニコニコ動画が盛り上がっているので、「動画は面倒だから見ない」というのも考えにくい。

Youtube logo / codenamecueball

ではなぜビデオは今ひとつ盛り上がらないのか。


撮る、という視点から見ると、一つには「使い勝手の悪さ」があると思う。
カメラも、コンパクトカメラの所有率が90%を超えるのに、撮影枚数は携帯電話からが圧倒的に多い。それは手軽で使い勝手が良いから。
ビデオカメラも致命的な使い勝手の悪さがあるのではないか?
そういった視点で分析してみる。
ぱっと考えただけでも、ビデオカメラには二つの大きな問題点がある。

  • 分かりにくい
  • 難しい
ビデオカメラは分かりにくい

ビデオカメラは従来、保存媒体が問題だった。
写真は「紙」なので、そのまま残るが、ビデオは「再生機器」が必要になる。
従来のテープ(VHSやDVカセット)では、この再生機器の寿命=再生できる期間になる。

mini dv tapes / YayAdrian

実際にVHSの再生機器が製造されなくなり、古いテープが再生できなくなっている。
このため、古い思い出のVHSをデジタルデータに変換するサービス増えている。
またそういった専用機器も発売されている。


ビデオカメラもデジタルになり、現在ではSDやHDDにデータとして保存する方式が主流になった。
しかし問題は、その保存形式。
画像の保存はjpg形式が主流になったので、とりあえずjpg保存しておけば向こう20年ぐらいは大丈夫。
これに対して、動画は多数の形式が乱立しまくっている。
mpeg2,mp4,avi,H.264,divx,mov,jpeg2000・・・
さらに追加のcodec(コーデック)が必要な形式もある。
コーデックは追加すればいいわけではなく、入れすぎると動きが重くなったり、干渉したり・・・
とにかく、一般的とはとても言えない。

ビデオカメラは難しい

カメラの撮影も難しいが、動画は更に難しい。
運動会に行くと、お父さんがみんな三脚を抱えて走り回るのが風物詩になっている。

DSC04969 / rok1966


動画撮影では特に「ブレ」が問題になる。
動くとブレが出て見にくくなるので、動けない。
この面倒くささ、難しさがネックの一つにはなっていると思う。

せっかくなので改善提案

文句を言うだけでは発展性がないので、この二つのポイントについて改善策を考えてみる。

保存形式のデファクトスタンダードを!

動画形式の標準形式と、使い勝手の良いプレーヤーがパソコンに詳しくない人にも使ってもらうため必須。
現状、動画を撮った媒体では再生できるが、その撮影媒体が無くなると再生できない場合がある。
(もちろん、本当は再生できるんだが、分かりにくい)
動画を「記録」として考えると、重要なのは「圧縮率」「機能」ではなく「シンプルさ」だと思う。
将来にわたって、「とりあえずこの形式で保存しておけば大丈夫」という基本形式を業界団体で是非決めたもらいたい。


動画の保存形式は、高画質化に伴ってむしろ複雑化している。
高画質な動画は再生機器にも大きな負担をかけるので、圧縮率の高い新しい方式でなければ
うまく再生できなくなる恐れがある、のは分かったから、いい加減基準を決めてもらいたい。

ブレのないビデオカメラで気軽に動画撮影を!

家庭用のビデオカメラでもデュアルレンズのものが登場し、「ついに3D元年!」といわれたが現実はどうか。

3D anaglyph-Akashi city-20100817-twin RICOH GX100-R0019706 MALT's Mermaid II の付いた着いた浜 / pinboke_planet

3D映画の収益は、3D映画が登場した当初は映画興行の収支がプラスだったが、最近の作品ではマイナスになっているらしい。
・リンク → 3D映画は死んだ...。人は2D映画を好むのだ−GIZMODO
本当、自分で「今年がXX元年」といったもので成功した試しはないね。
ビデオカメラの高付加価値化を狙った3Dビデオカメラは、当然3Dテレビがないと再生できない。
業界の人は大変だろうなぁ。


ところでこの3Dカメラ、原理的には人間の目と同じように2つのカメラで同時録画することで3D画像を作っている。

しかし見方を変えて、複数のカメラで「一枚の動画を合成する」としたらどうだろう。
現在のビデオカメラの方正方式はたくさんあるが、例えばレンズシフト方式では、ブレを検知して、撮像部分を移動させる。
・リンク → HDビデオレンズと手ブレ補正機能・AF機能−Canon
いまでもこういった補正はあるが、やはり補正できる幅が小さい。
ソフトを使えばきちんと補正ができるが、補正をかけた分だけ撮像範囲が狭くなってしまう。
・リンク → 第9回:VideoStudioで手ぶれを解消!手ぶれ補正の原理を知ろう−Corel
これを一つにして考える。
3Dカメラを縦にして、撮像部分を二つ並べる。
これで縦に巨大な画像を取得する。
そのうち、手ぶれを認識して真ん中の部分だけを取得する。
これなら今よりも手ぶれ補正機能は大幅に向上するはず。


なぜ縦か?
それは人間が歩きながら撮像すると縦に大きく揺れるから。
人間は歩いていると自分で勝手にそれを補正しているが、撮像された画像はその補正が無いのでものすごく揺れたように撮像されてしまう。

関係ないが、ゲームでもこの「縦揺れ」があるかないかでリアリティーが変わってくる。
ただし、縦揺れがあったらあったで酔う人が出てくるので難しいところ。
ゲームによってはこの揺れを「歩行効果」としてON/OFFを設定できるようになっている。

Quake 4: Peekaboo / Psycho Al


手ぶれせず、とりあえず保存しておけば何にでも使えるビデオカメラ。
まずはそれでやっとカメラと同じ位置に立てるんじゃないだろうか。
実際、売り場でも「高画質」ではな「簡単取り付け」「定点観測(インターバル撮影)」など
一点突破の機能重視で出してくる会社がぽつぽつと出ている。

KING JIM インターバルレコーダー レコロ IR5オレ オレンジ

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元々カメラ好きなんだから、面白い提案をすれば、日本の消費者がこぞってビデオカメラを買い始める時代だって来るはずだ。


SONY等は業界用の超高額機種もやっているが、こういう会社は既存の製品や戦略からなかなか抜け出せない。
今どき受光素子さえ手に入れれば、価格は別として、結構どのメーカでもビデオカメラ的な物は簡単にできてしまう。
どこかの中小企業が、参入するにはなかなか面白いカテゴリーだと思う。
逆に大手は、「歩きながらでもぶれないビデオカメラ」を作って、売り出せば良い。結構売れると思うけど。