ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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Gumroadに「やられた!」と思ってしまった人達

「やられた!」と思う商品や会社、サービスがある。
「自分も本気を出せばできたかもしれない」と思ってしまうものを、
ヒョイとやられてしまった時に、そう感じるのだと思う。


変な例だが、もし「東芝地熱発電の効率を2倍にし、工期も半減する新技術を開発!」とかいうニュースがあったら
「スゲー」と思うけど、あまりに自分の領分と違うので「やられた!」とは感じないと思う。
やっぱり「もしかしたら手が届いたかもしれない」と思わせる距離が「やられた!」感には大事なんだろうと思う。

なんでも売れる。Gumroad

ネット界隈で「Gumroad(ガムロード)」という新しいサービスが話題になっている。
・リンク → Gumroad

簡単に言うと、
「(データであれば)誰でも、どんなデータでも、簡単に売ることが出来る」
というサービス。
仕組みとしては、ファイルのアップローダと、決済システムを合わせた「だけ」
多少の語弊はあっても「だけ」と言って良いと思う。

何がそんなに凄いのか?

このサービスになぜみんな話題沸騰になるか。
それは「そんなぐらいオレでも出来たかも」と思う人が多いからじゃないかと思う。
このサイトの認証はtwitterFacebookまたは新規登録、決済はクレジットカードかPaypalらしい。
ファイルのアップローダなんて、既存サービスやフリーのシステムでも簡単に構築できる。
(この辺、間違いがあればご指摘下さい)
ただ、その要素をつなぎ合わせて、必要最小限のシステムで構築してしまうと、これがプラットフォームになる。


その「選別」と「組み合わせ」が過不足無く、コンセプトをみんなが簡単に理解してしまえたからこそ
「やられた!」と思ったんだろう。
「これは次世代のプラットフォームになる」と。


個人的にはこの感じは、twitterを見たとき以来。

「140文字までの、文字だけを拡散させる」
という仕組みは、人数が少なく、機能も少なければ簡単にスタートできるけど、
それをやってしまったことが強い。
一度それが普及してしまえばプラットフォーム化するし、RTや検索、画像表示など高機能化し
競合が追従できない地位を築くことが出来る。
今は不備があっても、これは「来る」んだろうなぁ、と思う。

使っても大丈夫?

では現状はどうか?
はっきり言うと、課金が直接絡むサービスとしては心許ないこと極まりない(変な日本語)
セキュリティもよく分からないし、課金後発行されるのがパスワードなので、
そのパスが拡散されると簡単に違法?ダウンロードが可能になる。
また、データをアップする側にしても、あまりに障壁が低いので違法コピーデータを
簡単にアップ出来てしまう上、それを確認する事が難しい。


でも、個人的にはそれは解消していく問題だと思う。
有能な人達が感銘を受け、「オレも開発に参加したい」とまで言っている人もいる。
コンセプトが明確なのだから、技術面でも運用面でもみんなの意見を持ち寄り、
改善していくことで裾野を広げていくのだろう。


その意味ではまだ同人を出している人がこぞってデータをアップして良い、という状況ではない。
売れていない、リスクの低い人や人身御供になりたい人、
そもそも他の媒体で売れない少額なものをアップして徐々に盛り上げながら
問題点を修正していくのが良いのだろうし、そうしなければ危ない。

日本の同人・ボカロを売れ

初音ミクによって急拡大した日本初の新しいDTM(デスクトップミュージック)市場。
正確な本数は見つからなかったが、DTMソフトとしても数万本を売り上げており、作曲者(P)数は
数千〜一万人規模になっていると思われる。
(買って使いこなせていない人も大量にいるだろうし)


文字通り、日夜新しい楽曲が作成され、キャラクターが二次創作され、イラストが作られ、PVが作られる。
ただ、その業界を結構ガッツリみている友人に言わせれば、収益構造は脆弱らしい。
つまり、現段階ではみんな手弁当で作っていると。
みんな楽しんで盛り上がっているのは良いのだが、初音ミクボーカロイド)市場が市場として成り立ち、
特に作曲や作画の人達にお金が落ちる仕組みが弱いらしい。
これは継続性を考えると良い状況とは言えない。
関連イベントは各地で開催され盛況だが、そういったイベントにかなり積極的に参加している彼としては、
あれは投げ銭しに行っていると。
作曲者(業界では「P(プロデューサー)」)に会いに行くのは好きだが、楽曲自体は本当は無料でダウンロードできる。
それを交通費払ってまで買いに行くのは、作った人達にお金が渡るチャンスがそういった場にしかないからで、
彼なりに業界を買い支えるために参加している部分があると。


DTM市場は初音ミク「作る」環境が、ニコニコ動画「発表する」環境が作られたのは間違いないだろう。
その後の「儲ける」仕組みがないと、良いクリエーターでもその製作に集中できず、作品の成長にも限界が出る。
もちろんスポーツや音楽と言ったエンターテインメント産業は、99%の人間は手弁当で仕方ない。
でも、一部はイチローやB'zのように成功して欲しいし、そういう「夢」が裾野を広げる。
現状は初音ミクボーカロイド)界隈で言えば、カラオケやCD・ゲームへの収録が成功なんだろうけど、
日本初の音楽が既に世界で聞かれている現状を、適切にマネタイズできれば新しい産業として大きく飛躍できる。

(実際に米ロサンゼルスの講演は大盛況だったらしい)
・リンク → LAからリポート:「まだ震えが止まらない」――初音ミク初の米国ライブで何が起きたのか - ねとらぼ

だれか、パクらないのかな?

個人的にはGumroadは良いアイデアだと思うが、現段階では荒削りすぎる。
そして、これだけ荒削りで確立していないのなら、どこかの企業が同様のサービスを
もっと高い完成度と仕組みで作って、取り込んでしまえ、とも思う。
GoogleAmazonPaypaliTunesも、ネットの世界で流通の大事な部分はかなりアメリカ勢にやられている。
「アメリカすげぇ」で終わらせずに、相手が小規模なスタートアップ企業なら、
本気で戦いに行くのにちょうど良い気がするんだけど。
そこで「パクリはちょっと・・・」とか小さいことを気にせず、「同人作家のための仕組みは日本で作る!」
ぐらいの会社がないもんかねぇ、と思ってしまうのは筋違いなんだろうか。