新作ゲームができました(アイデア出しの方法論)
金曜の夜にダラダラと夜更かしして寝たのが一時すぎ。
ところがなぜか朝の5時に目覚ましも鳴らさず目がぱっちりと覚めて、新しいゲームのアイデアが出来上がっていた。
新しいゲームのアイデアの出し方
ゲームの作り方はそれぞれだと思いますが、完全にガチガチに論理的に組み上げるのではなく、多少なりともアイデアの飛躍がある場合はそれは企画のアイデア出しと同じだと思っています。
新規のアイデアを出すには次の作業が必要になります
- たくさんの情報を仕入れる
- たくさん考える
- たくさんアウトプットする
これを繰り返して、一手間を加えるといいアイデアが出やすくなります。
今日はそんな「アイデアの出し方」のお話。
たくさんの情報を仕入れる
私の場合は、「色々なボドゲで遊ぶ」「歴史の本や名著を読む」「色々なゲームのルールやカードを分析する」の3つです。
ボドゲ関連は当然として、本を読むのは、テーマの参考とするためです。
現代や近代だとネタが被ったり著作権の問題が面倒だったりすることが多いので、意図的に歴史的な物から情報を取るようにしています。
たくさん考える
当たり前、に見えますが重要なのは「仕入れる」というインプットと、「考える」というアウトプットの時間をちゃんと分けること。
新作のネタを考えるときは「このゲームを面白いからこういじったら・・・」と近視眼的に見ないよう気をつけます。
遊ぶときは徹底的に遊ぶ。考えるときは「さっきは何が楽しかったんだろう」と考える。特にゲームの場合は遊ぶという「プレイヤーの立場に立つ」という練習は重要だと思います。
たくさんアウトプットすること
そして考えたら結果を出すことが重要です。
昔、虫プロ時代の豊田有恒氏が鉄腕アトムのシナリオで行き詰まっていた時に、「その話なら、こういう風に発展させたらどうでしょう?」と、手塚治虫がその場でたちまち六本分ぐらいのプロット案を作って見せたという逸話がある。
— カスガ (@kasuga391) 2016, 1月 29
でも豊田氏が一番感心したのは、手塚治虫が即座に六本のアイデアを出せたことよりも、その中には「どう考えてもつまらないだろ」というアイデアもあったことだという。@kasuga391
— カスガ (@kasuga391) 2016, 1月 29
手塚治虫ほどの人間が、「こんなつまらないアイデアを話したら笑われるのではないか」という気負いもなく、とにかく思い付ける案は全部出してきた。その姿勢に豊田氏は感動したのだそうな。@kasuga391
— カスガ (@kasuga391) 2016, 1月 29
twitterの挙動の関係で被った表示がありますがご容赦下さい。
手塚治虫は「マンガの神様」ですが、その表現の革新性は何より、圧倒的な多作でも有名です。そしてその中には失敗もたくさんあるわけです。(手塚治虫自身もそういう言い方をしているし、「鉄腕アトム」一つ取っても等身がコロコロ変わって人気が上下したりと安定していない)
Taipei_20110731_12 / Lordcolus
ただ何より凄いのは、そうした「ハズレ」を気にせず多産していること。
ゲームでも新商品でも新規事業でも経営企画でも同じです。
実際に製品化するにはもちろん厳密な審査を必要とすることも多いでしょうが、アイデアを出す時点では多産が最も重要だと思います。
例えば私の場合。ゲーム「陰陽賽」はネタNo.12ですが、その次に商品化した「かいちん」はネタNo.26です。
途中の物はゲームにすらなっていない物からルールの詳細を詰め、試作まで進んだ物もありますが、とにかくネタを数多く出す事は心がけています。
(とはいえ仕事の片手間ではなかなかできていませんが)
アイデア出しの最後の一手間
そうしてアウトプットを心がけても、なかなか「殻」を破ることは出来ません。
考えて作るものはやはり論理的に組み立てるのでなかなか飛躍できないからです。
で、ある程度煮詰まったらすっぱり諦めて休みます。
つまりゲームのアウトプットを辞める。(インプットはあっても構いません)
そうすると、ふとした瞬間にアイデアが零れて来やすくなります。
ニュートンのリンゴの逸話は史実ではないそうですが、あの話にはそれだけの説得力があります。
物体に掛かる力を考えていた彼がペストの感染を恐れて大学を離れる、つまりアウトプットを停止したときに新しいアイデアが生まれる。
王冠を傷つけずに真贋を見極めるよう命じられたアルキメデスが、風呂で浮力を使う方法を考えついて「エウレカ!」と叫んだ話も、風呂で気が緩んだ(アウトプットが停止した)瞬間だと考えれば納得がいきます。
Statue of Archimedes - Union Station - Washington DC / Glyn Lowe Photoworks.
思考に向くのは「馬上・厠上・枕上」と古くは言われたそうですが、そうした「気が緩んだ瞬間」にふとアイデアは出やすくなります。
京都の「哲学の道」もそうした条件を満たしているのでしょう。
哲学の道-Philosopher's Walk / INABA Tomoaki
仕上げ
アイデアが出来たら、そこからは「ロジック」の時間です。
出てきたアイデアを徹底的に叩いて、モノになるかどうかを見極めます。
今日のアイデアは軽く修正をかけて試作。脳内テストプレイでは悪くない感じですが、さてモノになるかどうか。
「できました」と言いつつこんな中途半端な記事ですいませんが、朝5時に起きて現在夜9時半。ここまで一気に出来上がった興奮のまま書き上げてしまいました。
さて、こう書くと「たった一日でゲームを作るなんて、ゲーム作りって簡単なんだな」と思われそうです。そこでこの言葉を引用して終わりたいと思います。
元記事が見つからなかったので記憶で書いています。ご容赦下さい。
陶芸の名人に取材にきた記者が、作品の制作時間と価格を聞いて「そんな短い時間で何万円は高いですね」と言ったところの名人の答え。
「この修行を始めて60年になります。60年と数分の値段です」
ゲームでも音楽でも経営企画でも、ポッと出るアイデア はそれまでの積み重ね。
どれだけ積み重ねて、表に出る工夫をしているかが大事ということですね。
新作が発表できる段になるまでは、いままでの作品をどうぞよろしくお願いします。
(WEBショップはじめました)