日本人の素晴らしいモラルの理由
日本人は大災害でもきちんと並ぶし、暴動が起こらない。素晴らしい!
東日本大震災ではこんな話が世界中に流れ、
辛い中にも日本人であることに多少なりとも誇りを持てる出来事だった。
では、なぜそんな国民性が作られたのか?
「和を尊ぶ国民性」とか「治安が良く暴動という発想がない」とか色々言われていたが、
どうも納得感がないなぁと思っていたら、思わぬ所に結論が乗っていた。
ネタ元はまたこちら。
- 作者: 岡本薫
- 出版社/メーカー: 中経出版
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この本によると、こういった国民の勤勉性・協調性に関わる重要なポイントは教育にあり、
「日本の小学校の掃除当番・給食当番・班別活動の成果だ」(p119)
と外国の比較教育研究者には評価されているらしい。
「常識」は気づかない
大体が、上に挙げたような活動を
「全国の小学校で組織的・継続的に実施しているのは、世界中で恐らく日本だけ」(p118〜119)
という認識が、日本人にあるだろうか。
「当たり前」と思っている物は気づかないし、だからこそ気づかずに破壊してしまうことがある。
世界に自慢できる、優れた教育システムなのに、
「前時代的」「うちの子に無駄な時間を使わせないで」「時間の無駄」とか言って、
塾や習いごとに行かせようとしている親御さんはいないだろうか。
世界を見渡せば、こういったシステムのない国がほとんどらしい。
であれば、このシステムがない国との比較で、日本の教育がいかに優れているかを検証したら良い。
相変わらずスパッと引用して根拠などの数字は割愛されているので、この話の信憑性はよく分からない。
でも、「常識と思って気にもとめていないことが、実は凄く優れたシステムだった」というのは良くある話。
準備・片付けという高等技術
昔読んだ話だが、茶道や華道では、その準備や片付けまでを作法として重要視するらしい。
Outdoor Tea Ceremony / mrhayata
確かに書道をやっていても、「墨を擦る」という「準備」を非常に重要視していた。
ところが海外で「準備(片付け)をして下さい」というと、怒り出すことが多いらしい。
「自分はお茶を習いに来たのだ。準備や片付けまでやらせるのなら、その費用を割り引け!」と。
つまり、準備や片付けは茶道ではないので、それは教室側がやるべき事だと。
ではどうするか。
ある教室では、初心者向けには準備も片付けもさせない。
で、中級コースになると、「では、次は上級の作法として『片付け』をやりましょう」と
片付けを新しいカリキュラムとして教えるらしい。
初心者には教えず、中級・上級になって準備や片付けを行わせることで、
「これは大事な作法なのだ」と認識して貰い、自然に一連の作法を行うようになると。
この話、やっている内容は教室運営のテクニックだが、
「準備や片付けは、使用人にやらせるべき」という発想があるかないか、は大事なポイントだと思う。
Picture 021 / sha_junglii
「企業は営利団体なので、付加価値の低い掃除や片付けは外部業者に依頼する」
という考えは否定しないが、その一方で
「当社は従業員一同で毎朝掃除します」
という会社もある。
どちらが良い、悪いではなく、この発想を認められるのが日本の良さで、世界的には特殊だと思った方が良い。
日本を知るには、外から見ろ
海外に行かなくなって長いので、あまり偉そうなことは言えないが、
やはり海外に行くと日本のことがよく見える。
例えばシンガポールは建国してからも短いし、何せ国土が極端に狭い。
singapore / crazyegg95
だから、法規制をかけると細かいルールも簡単に隅々まで行き渡らせることができる。
そして、国土が小さく、人口も少ないので国防に対しての危機感も高い。
電車に乗るとドアの上の広告に「Come on, NAVY!」と軍隊への勧誘が貼られているほど。
この辺、「国がなくなるなんて考えられない」という日本とは全く違う。
また、タイに行くとタクシーの運転手でも同行していた女の子が「明子です」と名乗ったら
「アキコ?アキって天皇の『アキヒト』の『アキ』と一緒かい?良い名前だね!」
なんて言ってくれる。あれには驚いた。
天皇制というのは世界的にはやはりかなり特殊で、その地位は特別に高い。
タイも国王に対する尊敬は篤いそうで、「(タイと同じく)国王がいる国」として
日本が好きで、みんなよく知っているとのことだった。
Tuk-tuk! - Thailand - Engle / Engle & Smith
(この辺、そのタクシー運転手との英語の会話からなので、不正確な部分はあるかもしれない)
日本のいいところも、もっと知ろう。
日本の報道では、ともすると
「北欧ではこんな素晴らしい制度がある、日本はダメだ!」とか
「家電は世界では韓国勢が圧勝している。日本の産業はダメだ!」とか
「アメリカはこういう制度になっていて、世界でもこれが主流、日本は遅れている!」とか
日本を批判する報道を聴くことが多い。
これは批判的な記事が受けるから、とか今でも欧米崇拝がある、とかもあるだろうし、
本当に日本の良さを知らないだけという事もある。
だからみんな海外に行こう!という単純な話ではないが、自分や自国を第三者的な目で
見ることは重要だと思う。
こういうと「だから英語が出来ないと今後は生き残れない」という話になったりもするが、
英語が出来なくても、今どきは大概の情報を仕入れることが出来る。
それは海外在住者のコラムであったり、海外記事の翻訳であったり。
これも引き続きの紹介になってしまうが、自分が購読している科学雑誌「日経サイエンス」は
「SCIENTIFIC AMERICAN 日本版」という副題になっている。
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そうすると面白いのが、時々日本では絶対に聞かれないような記事が載っていること。
たとえば「進化論 VS ID説」。
Evolution of stupidity / the mad LOLscientist
この話は別の投稿としてまとめようと思っているが、進化論を否定するID(インテリジェント・デザイン)説は、
アメリカではまだまだ学校で教えている所も多いとのこと。
日本じゃ「進化論を教えただけで学校の先生の首が飛ぶ」なんて考えられないけど、アメリカでは現実。
とりあえず、まずは自分なりの情報チャンネルを持っておきましょうという話。
日本の批判なんてのは、放っておいてもいくらでも耳に入るだろうから、
このブログでは日本の良い面を取り上げるよう心がけたい。
政治とか文句言いたいことも色々あるけどね、良い国だと思うし、好きですよ、日本。
Japan - Kyoto / Marc Veraart