ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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「栄光」を知らない子供たち

仮にも技術系なのでそっちけいの雑誌とかも当然読むんですが、
昨今の韓国勢の台頭に対して、日本の半導体や液晶業界がいかに戦っていくかという話になると必ずといっていいほど
「この戦略が上手くいけば『日の丸半導体復活の日が来るかもしれない」
といった表現に出くわす。
ほんの20年前には日本の半導体は世界の追随を許さず、その半導体産業をベースに日本の国民所得は世界のトップを行っていた。
その後の台湾・韓国半導体勢による日本の半導体の不振とバブル崩壊による「失われた十年」を経て、ついに日本が返り咲く。


まぁこんな論調が多いんだけど、失礼ながらIT業界で言う「ななろく世代」やそれより下のオレのような世代では、
バブルのころは小学校でそんなもの実感はないし、物心がついた高校以降なんてひたすら不景気が続いていたので
感覚的には「ヘタレだった日本がやっと日の目を浴びた」程度にしか感じられない。
言ってみれば今日本が成長して世界で頭角を現しているのなら、それはオレら世代には「復権」ではなくて、「新たなるチャレンジ」に見える。


この違いというのは周りからしてみれば同じように見えるかもしれないけど、
鼓舞される側だったり、戦略を練る当事者だったりするとその感じ方はずいぶんと違うと思う。
かつての栄光の経験もないのに、上司から「またNo.1に返り咲こう」と言われたところで
いままで散々「辞めたほうがいい」とまで言われていた事業に対して「これが過去世界No.1だった」なんて信じられないだろうし、
実感もわかないんじゃないだろうか。


世代で人を括ってもいろんな人がいるから世代論は好きじゃないんだけど、それでも世代で共有している時代背景はある。
「日の丸半導体」の夢を見るのはかまわないが、その背景や幻想を持っていない、希望を与えられなかったドライな世代が
ここにいることも分かってほしいと思う。
それがオレらの世代の特徴であり、強さだと思う。