この世界の片隅で、自分のゲームを気に入ってくれる人を探す
以前にも書きましたが、台湾のEmperorS4様からオファーをいただき、
拙作「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」の台湾版が制作されました。
この台湾版「Crows Overkill-三千世界の鴉を殺し-」はオリジナルとは細かく違いがあります。
今回のゲームマーケットでも何度か聞かれたので、行った調整をまとめてみます。
「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」
このゲームは私が初めてクラウドファンディングを募り、販売したゲームです。
表題の歌は高杉晋作が歌ったとされていて、(諸説あり)
「朝になり、烏が鳴けば(遊郭から)帰らなければいけない。
ならば世界中の烏を殺してでも、お前(遊女)と一緒にいたいものだ」
という心情をうたったとされています。
このゲームはそんな艶っぽい歌からなぜか「烏を殺す」ところだけをピックアップしたゲームで、手番になるたびにひたすら増える鳥を、とにかく鳴かないように殺したり、
人に押し付けて、なんとか遊郭に居座るという、なんとも物騒で頭の悪いゲームです。
艶っぽいテーマとふざけた解釈が売りなので、ゲーム性もとにかく極端に
調整しており、初手で何もできないまま脱落(このゲームでは「帰宅」)することもママあります。
おかげさまでクラウドファンディングは達成、2014年に販売を始めたのでもう3年になりますが、アマヤギ堂様によるイラストの刷新もあり、未だに売れ続けているのはありがたい限りです。
プレイスタイルに見る「Crows Overkill」の違い
台湾EmperorS4様から発売された「Crows Overkill」は、タイトルの変更の他にも
- 木製ボードがカードに変更
- カードの効果を変更・追加
- ルールブックが紙から冊子になり、カラー印刷で読みやすく
といくつか変更箇所があります。
木製ボードがカードに変更されたのは製造原価上の問題で、これにより定価が安くなり、箱のサイズも小さくなっています。
しかしカードの効果や枚数の変更は、台湾で販売するにあたっての地域性を考慮した変更です。
エコシステムと清濁
中国の山寨(海賊版)の現状を見るだに、
デジタルガジェットの物作りで日本はもう太刀打ちできないなと痛感します。
「コピーの安物なんて」という話で終わらず現場の話を伺うと、凄いのはそのカテゴリでのエコシステムが完全に成立している事。
「安物のスマホ」が売っているのは当然として、実際にはスマホだけでなく「タッチパネル」「筐体」「通信モジュール」「基板」などが単品として商品となっていて、それを自由に組合わせてガジェットを作れる環境ができているわけです。
目立つのは確かにパクリ商品という、清濁で言えば「濁」な部分でしょうが、「オリジナルな商品を作りたい」と思った時に、それを一つからでも作れてしまう「清」な環境でもあることを忘れてはいけません。
100円均一ショップやオモチャの市場もあり、こちらも当然パクリ商品が目に入るとは言え、そちらでもさらにその部品となる「タイヤ」「円盤」なども商品として売られているのでしょう。
驚愕!中国のコピー商品市場 <前編> | 明和電機社長ブログ
「中国は人件費が安い」というのは今は昔。
単純な人件費なら東南アジアやアフリカの方が安いのに、こうした安価なものの購入先が未だに中国なのは、こうした「足腰の強さ」があるかと思います。
他では売れないような部品単体を大量に作っても売れる市場が地元にあれば、それを作る業者もできて、しかも顧客が買いに来てくれる。
この「環境」はなかなか真似できません。