ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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サラリーマンの給料を図解する

サラリーマンをやっていると、源泉徴収で取られていたり、
自分のあずかり知らぬところで会社が積み立てていたりでお金の流れが見えにくいことが多い。
そこで「わかりやすくする」の実例として、サラリーマンの給料を図示してみる。


いくつか資料は見ているが、素人のまとめなので税理士などプロの方がご覧になって問題があればご指摘ください。

あと国全体の数字の可視化については、ちょうどChikirinさんが取り上げられているので
そちらをご参考ください。
リンク → 日本の税金まとめ(お勉強シリーズ)−Chikirinの日記

給料の構造を図解する

まず給与に関する一連のお金の流れを図示する。
ここでは年収500万円程度のサラリーマンを想定している。
所得税の税率が年収により異なるため。年収の多い方はさらに税率が上がる)



給与明細に書かれているのが黄色の部分。

給与明細書 / chiaki0808


このうち源泉徴収を差引いた「手取り」が右矢印部分。
色々な税金や年金などの積み立てで色々と引かれているのが分かる。
そして青色部分
これは給与明細には出てこないが、会社が直接国や地方自治体に払っている部分
例えば健康保険や厚生年金に関しては、企業は従業員が支払っている(源泉徴収されている)のと同じ額を立て替えている。


支払金額には交通費の精算や通勤手当などの「実費」も含まれている。
これは支払われる従業員の側からすると「利益」ではなく「実費精算」になるので、
実質的な「収入(利益)」として受け取っているのは、で示した部分という感覚だと思う。

図を分かりやすくまとめる

では会社から見たときの給料の流れはどうか。
会社は従業員の手取りの他に、この税金・年金分も必ず支払わなければいけない。


この税率を単純に足し算すると 税率は「55%-控除額」になる。
実際には控除が結構効いてくるが、とにかく「支払い給料の倍」という感覚は大きくズレてはいない事が分かる。
これをものすごくざっくりまとめた図がこちら。



受け取る従業員の「給与」に対して、会社は倍以上の金額を支払っていることが分かる。

この図から見えること

企業は利益を出さなければいけないので、「その働きが十分な利益を生んでいるか」はいつも考えなければいけない。
そしてその「利益」の根拠をきちんと理解しておく必要がある。
会社には家賃や社用車などのための必要経費が必要だし、働いている自分自身の給料も稼がなければいけない。
そういった背景知識の一つとして、
「自分が受け取る給料の倍の金額だけ、会社に負担がかかっている」
という事を知っていただければ。

Pot of Gold / tao_zhyn

わかりやすさを出すために感じたこと

ところで今回の図、ネットで調べたところ参考になる図が見つからず、結局いろんな本を見て自作した。
(といってもパラパラ流し読みしただけですが)
図を書くに当たって、税金控除・手当は非常にざっくりと書いた。
これは例外処理が多くて、いちいち正確に書くと注釈だらけで訳が分からなくなるため。
それより全体の「会社の支払額は給料のほぼ倍」というイメージがまず分かるように、単純化を優先した。
税や法律・規則について詳しくて、真面目な人ほどこういった割り切りができないから、世の中にこういう図を見かけない気がする。
この結果、「お金のことは分からないので経理に任せておけば」という状態になる。


これに限らず、「もうよく分からんから任せるわ」といわれることはありませんか?
その場合に、その機能や商品のせいにするのは簡単でも、分かりやすく説明できればお客様も前向きに話を聞いてくれるかもしれない。
お金の話しは大切で、正確にしなければいけないが、必ず一円単位・0.1%単位で話をしなければいけない訳じゃない。
人を一人雇って、月に20万なら、実質年間240万×2=480万が会社から出て行くことになる。
こういうイメージをパッとできるかどうか。
わかりやすく伝えれば、問題を俯瞰してイメージがしやすくなる。
そんな好例かと思ったので取り上げてみた。