ダイソンの掃除機・3:ダイソンに学ぶべき事
長くなったので第三回。
こんなに長くなるとは。
掃除機で有名になった「ダイソン」について。
最新の掃除機事情
ダイソンがヒットしたおかげで、日本の掃除機メーカも次々サイクロンに参入している。
そのキャッチを比較してみる。
- シャープ
- こだわったのは強力パワー持続と業界No.1の低音運転化
- パナソニック
- 強力パワーを維持しながら、清潔・簡単ゴミ捨て
- 東芝
- 強さが続く、きれいが見える
- 三菱
- 吸引力が続く、廃棄がきれい
- 三洋電機
- 空気までお掃除する
なんだろう、三洋以外は会社名を隠したらどこのコピーか分からんなぁ・・・
結局従来の思想から抜けられていない、という典型だなぁ。
まず「強力パワー」はダイソンの吸引力が弱いことから。
吸引力が弱いところを付いて、「自社の方が吸引力が強いですよ」という相変わらずの吸引力競争に突入している。
次にシャープの「低音運転化」。これもダイソンの苦手な低音運転を実現して差別化している。
パナ・東芝・三菱の売りは基本的にダイソンと同じ。
「とりあえずサイクロンが流行ってるから乗っとけ」にしか見えない。
大手だけでも5社あるのに、なにやってんだか・・・
対するダイソンは?
ダイソンのホームページは「どれが売り」を明確にしないので分かりにくいが、新商品の売りはこの二点
- Ball〓 テクノロジー
- 導電性カーボンファイバーブラシ
ブラシは日本メーカに比べて遅れているので、必死に追いついているということだと思う。
注目は「Ball テクノロジー」。
「吸引力」でも「空気のきれいさ」でも「メンテナンス性」でもなく、
「掃除の際に動かしやすい」を最重要視している。
これが成功するかは分からないが、ポイントは新商品の一番の売りを「動かしやすさ」にしたこと。
しかもサイクロンの提案時と同じく、
- 外観ではっきり分かる、丸いケースと黄色のボール形状
- イメージでは無く、消費者を「納得」させるための技術資料
こういった方法で「だからボール式が一番」と提案している。
他社が「ようやく」サイクロン式を拡充させる頃には
「今時はボール式だよね」という「新しいルールを作る」、これがダイソンの狙い。
もちろん成功するかは分からないが、成功すれば他社より倍ぐらい高くても売れることは間違いない。
このルール作りが全くできていないのが、日本の家電各社の状況に見えて仕方が無い。
ダイソンから学ぶこと
日本のメーカはダイソンに「デザインを」習った方がいい。
ダイソンの一番凄いところは、その技術力よりもデザイン力。
日本ではデザインは広告の一環みたいに考えられているが、この掃除機に関していうと商品コンセプトや
ユーザの心情操作までやることで、不満を抱かせること無く掃除機を最良の状態になるようメンテナンスさせている。
そのためのパッケージデザインから、掃除しやすい構造まで作り込んでいる。
パナソニックやソニーなど、デザインに力を入れている会社もあるが、ここまでプロダクトに踏み込めているかは甚だ疑問。
北欧ではデザインで儲けることが具体的に掲げられているが、日本でもそこまで踏み込んでデザインについて考えて欲しい、と心底思う。
ウォークマン等は、結構それができていると思うんだけどなぁ。