「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」の初版最後の一つは、地中海へ旅立ちました
初めての自作ゲーム販売が「ゲームマーケット2014秋(11月16日)」で、それから半年。
この度、第一作「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」の初版分を全て出荷しました。(各店舗に店頭在庫はあります)
遊んで頂いた方、紹介頂いた方、ご購入頂いた方、また委託店舗様、ありがとうございます。
その最後の一つの送り先は「ギリシャ」でした。
Greece-0169 / archer10 (Dennis) REPOSTING
出荷の経緯は他のゲーム・イラスト・同人誌等を制作する方の参考になる部分があると思うので、紹介します。
英語ルール
「ペンとサイコロ」のゲームは当初から英語化にこだわって作っています。
ボード・カードはアイコンのみにするか、解説が必要な場合は必ず日英併記。
ルールブックも日英で作成しています。
英訳の方法などについては以前の記事をご覧下さい。
英語にこだわったのは、前にも書いたとおりたくさんの人に遊んで貰いたいから。
海外での販売予定はありませんが、いざそうなっても問題ないレベルの作りを当初から目指しています。
実際委託店舗からの情報では、海外の方の購入が多いそうです。(店舗により、かなり差があります)
「日本に来たから日本のデザイナーのボドゲを買って帰りたい」
「日本のゲームだから日本風のがいい」
「でも日本語は読めない」
そんなニーズにバシッとハマるようです。特に「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」だと、20%以上は海外に出てるんじゃないかという勢い。
WEBサイト
「ペンとサイコロ」は元々このブログのタイトルですが、ゲーム制作開始時にこの名前をサークル名とし、商品紹介のためのWEBサイトを立ち上げました。
ゲーム紹介はブログでもできますが、検索してまで読んでくれる人はごく少数です。
- 商品概要
- 価格・購入方法
- ルールブックのダウンロード
サイトを立ち上げたのは、これらの情報がすぐ分かるようにするためです。
弱小の自作ゲーム制作者は情報をどれだけ発信するかが大事です。でも、あまり情報を出すと分散してどこを見れば良いか分からなくなります。だから「ここが大元の情報ですよ」という場所が必要になる。それがWEBサイトの目的です。
立ち上げには、「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」のクラウドファンディング時に出資いただいた「いちゅー」さんにご協力いただきました。
私一人の知識と時間でサイト構築はできなかったので、サイトが作れたのもゲーム作りを始めたおかげと言えます。
BGG(BoardGameGeek)
英語ルール、WEBサイトが用意できたので、世界最大のボードゲーム情報サイト「BGG(BoardGameGeek)」にも登録しました。
BoardGameGeek | Gaming Unplugged Since 2000
BGGは英語サイトですが、「日本の同人ゲームを海外で紹介したい」と活動されているJon Power氏の協力でスムーズに登録できました。
これから登録したい、という方はこちらをご覧下さい。
こちらの翻訳には私もお手伝いしています。その作業を通してBGGの決まり事も分かり、登録後のデータ追加・修正もスムーズに進められました。
引き合い・海外・フランス語
こうして英訳・WEBサイト・BGGと順に情報を追加しました。
その結果どうなったか。
BGG内では評価すら付いていません。(海外で発売してないので当たり前)
しかし、BGGに登録されて一~二週間で、WEBサイトの問い合わせフォームから複数の問い合わせがありました。
そのうち一件は「ゲームをフランス語に翻訳したい」、一件は「ゲームに興味があるから欲しい」というものでした。
問い合わせがあったのは、WEBサイトに問い合わせフォームを用意していて、かつページの各項目が日/英で書かれていたためだと思います。
問い合わせ窓口がなく、連絡手段が分からないサークル様はたくさんあるそうです。また、記載が日本語だけだと海外の方は問い合わせるのに戸惑うでしょう。連絡方法を分かりやすく、敷居を下げることは重要です。
フランス語に翻訳したい、と言って下さった方は、特に「コロポックル 見~つけた!」を気に入ったそうです。
「フランスで最大のボドゲサイトで紹介したよ!」と早速連絡を頂きました。
既に600件以上のPVがあるそうです。(公開翌日時点での数字)
いや、ビックリです。フランスで買えないのに。
ギリシャの方は現地店舗を紹介して欲しい、という話でしたが、現地店舗の取り扱いが無いため、直接郵送しました。
それがちょうど最後の在庫分だった、というのが上の経緯になります。
ゲームに英訳を付けるのは当初は見栄のようなもので、それで引き合いや売上があるイメージは持っていませんでした。
しかし、WEBサイトも、英訳も、BGGも、動画も、何かアクションを取れば誰かがそれを見てくれて、それが一つ一つ歯車として噛み合っているのを実感しています。
Jon Power氏の翻訳に協力したことがBGGの登録に繋がり、それがフランス語訳に繋がる。そこまで計算していたなら大した物ですが、もちろん全く考えていません。
そのギリシャのThanassis氏がくれた返事を日本語訳して、転載します。
今回は海外発送に対応してくれてありがとう。
日本のゲームデザイナーは、自分のゲームをもっと西側に発信したらいいと思う。
君たちは素晴らしいアイデアを持っているんだから、それを西洋人に紹介すれば、もっと拡販できるだろう。
このゲームが届いたら、絶対ギリシャで紹介するよ。
こちらからすればギリシャの神殿は神秘的に見えますが、逆に彼らからすれば日本の景色がそうした憧憬の対象です。
金閣寺 / Temple of the Golden Pavilion / Imahinasyon Photography
「日本のゲームデザイナー」なんておおざっぱな括りで興味を持って貰えるなんて、我々日本人はものすごく得をしています。
このメリットを生かして、皆さんもぜひ英語で紹介されてはどうでしょうか。
飛行機で自分のゲームが地中海に行って遊ばれる。それを想像するだけでも世界が広がった感じがします。