ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム・3Dプリント作品・3DCG制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

ブラウザでボードゲーム?できるよ。できるけど、

ボードゲームに興味はあるけど、周囲に遊ぶ人がいない。

そんな人に訊かれるのは「ネットでできないの?」ということ。

もちろんできる。

今日はそんな、ネットでボードゲームをする功罪について。

f:id:roy:20140526142427p:plainBGA」で「バトルシープ」を遊ぶの図

ネットで遊べるボードゲーム

街全体をゲームの中に作れる昨今、紙と木のボードゲームを再現するなんて簡単なこと。

ネット黎明期からリバーシ(オセロ)麻雀あたりはネットにあったし、今では新しいボードゲームも次々ネットで遊べるようになっている。

有名どころだけでもこんなにある。

等々。相変わらず日本はこういうの弱いね。ほとんど英語かドイツ語。

探せばまだまだあるだろうし、カタンドミニオンといった有名なゲームは専用ページがあちこちに乱立しているので、これも探せばすぐに遊べる。

カタンの開拓者たち スタンダード版ドミニオン 日本語版

この辺、著作権的にはどうなのか分からないか、とりあえずその辺はスルーで。

ネットでゲームのいいところ、悪いところ

 ネットでゲームをする良いところはたくさんある。

  • 無料(サービスに依るが、どこも無料が多い)
  • いつでもできる(ゲームを細切れにすることも可能)
  • どこでもできる(場所を取らない)
  • 世界中の人と繋がれる

自分も誘われて「BGA(Board Game Arena)」を始めているが、ゲームの癖が合う台湾人がいたり、お節介に丁寧な解説を入れてくるカナダ人がいたりして面白い。

でも、最初からネットで始めるのは、個人的にはお勧めしない。

上に挙げたようなことなんて、ネットでゲームやってる限りはどれでも同じ。ゲーム中の交流や相手の顔・雰囲気が見えるなら、FPSや対戦格闘の方が余程上だ。

ボードゲーム「考えること」「悩むこと」が面白いところで、だからこそ対面が面白いのに、淡々とカードが流れていく様を見ても面白さは半減だろう。

例えば桃太郎電鉄。さくま あきらさんは桃鉄はソシャゲで出さない」と断言していたが、確かに自分たちの遊んだ桃鉄はみんなでコントローラーを回しながらワイワイと騒ぐゲームだった。

見ず知らずの相手と、操作結果だけが淡々と流れてくるだけ?それだと桃鉄の魅力の半分も伝えられないんじゃないか。

桃太郎電鉄WORLD

桃太郎電鉄WORLD

 

 一度はリアルでやってから

ネットに向いたゲーム、向かないゲームはあるが、少なくともボードゲームをネット上でやるなら、その前にリアルで遊んでからにして欲しい。

麻雀も古くからゲーム化されているが、人気のサイトでは「リアルさ」も売りの一つらしい。ここでの「リアル」とは「絵が綺麗」というだけでなく、「理牌(牌の並び替え)をするかを選べる」とか、そんな世界。要は「並び替えると牌が読まれるから、上級者は理牌しないもんだ」ってな理論を通用させちゃうらしい。確かにやらない人、いるよなぁ。

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とにかくそんな人がネットでやる分には、そのゲームには「リアル」と同じ「重み」があると思う。

自分もそうだ。知っているゲームならネット上でも「空気」が読めるし、楽しめる。「あの人はこの時間で選択して、これを出した。ということは、戦略はこれか!」みたいな。

一人で、ネットでゲームを始めると、その辺の「空気」が勉強しにくいし、楽しみにくいんじゃないかな。自分も麻雀はゲームでやったのが最初だけど、リアルの麻雀をやって始めてゲーム性を理解できたし。

任天堂Wiiだってそうだ。

 Wii SportsWiiスポーツ リゾート(ソフト単品)Wii Sports Club

Wiiは当初「家の中でもスポーツできる」なんて言われていたし、実際にプロ選手がテニスなりをすれば強いんだろう。

しかしWiiしか知らない子供がWii Sportsでテニスをするとどうなるか?

テニスができるようにならないのは当然だが、体力も使わない。知り合いの子供は、体を動かさず、手首だけを振るようになったそうだ。

Wiiのコントローラは加速度センサなので、コントローラを振りさえすればいい。確かに理にかなっている。

「リアルのゲーム化」「ゲームとして始める」の違いはそういう事だと思う。

ボードゲームをネットでやるメリットはたくさんある。

しかし、ネットから入るのは決してお勧めしない。

*1

「タケノコ」のチップ、でけぇな、オイ。

とか、そんな事を感じた上で、ぜひ ネットの世界に踏み入って欲しいな、と思う。

ゲームとコンポーネント

ブロックや「ぷよ」が並べば消滅するゲームと違って、ボードゲームは並べる準備だけで三十分とかかかる様な物もある。

f:id:roy:20140526145512p:plain「 マンション・オブ・マッドネス」ゲームの準備の面倒臭さは別格

そういう「面倒くささ」を楽しむことも本当は魅力の一つだ。

部品(コンポーネント)について話し始めるとそれだけで長くなるので別エントリーにするが、分かりやすく言えばジェンガをブラウザ上で遊べるか?」ってことだ。

ジェンガ

ジェンガ

 

こうやって実物に触るから面白いわけで、厳しく言ってしまえば、そんな魅力を出せないなら、今の時代にボードゲームがわざわざボードゲームである必然性はない。

上に挙げたBGAでは「ニムト」が遊べるが、あれだってみんなが「せーの」で出したカードを開いて、並び替える時のドキドキと、みんなの叫びが面白いのだ。その雰囲気を知らずにネットにやったところで、さして面白くはない。

メビウス ニムト

メビウス ニムト

 

というわけで、結論としてはアナログゲームである以上、アナログを知ってからデジタルに行くがいいよ」ということ。

近くにゲーム相手のいない人には厳しい結論だけど、一度遊んで雰囲気を理解できれば、ネットでも遊ぶのはいいと思う。

BGA ( Board Game Arena )に来れば、会うこともあるかも。負け続けている日本人がいたら、それが私かもしれない。(全然勝てない・・・)

*1:もちろん例外はあって、リアルであることを重視しないほど抽象化が進んでいるなら、ネットでもいいと思う。将棋・オセロ・囲碁・トランプ。どれもネット黎明期に最初にネット化されたゲームで、抽象化が進んでいる。

関係ないけど、「ヒカルの碁 」ではネット囲碁が非常に重要なツールだったのに、「バクマン。 」では「ネットダメ、絶対」な書き方で、しかも漫画家がみんなアナログ派だったのはなんなんでしょうね。