ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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次世代の物流網案

時代のトレンドは変わる。
昔の花形産業と言えば繊維・鉄鋼と変わってきたらしい。
繊維が花形、といわれても今ではなかなかピンとこないが。
今ではネットが花形産業だろうか。もう落ち目?まだそんなことないよね?多分。
小売りの花形は百貨店から電器店に変わり、ファストファッションやショッピングセンターが隆盛している。

The Rock shopping centre, Bury / Ingy The Wingy

ではこの先はどうなるのか。
企画の練習として、考えた。


個人的には次の花形産業は「物流」だと思っている。
ネットや携帯電話の普及で、情報はどこにいても、即座に送受信できるようになった。
(それの功罪はともかく)
歩いていても電話ができるし、写真は撮ったその場でネットの海に流れていく。

cell phone camera picture taking / bradleygee

逆にネットの発達に追いついていないのが物を動かすこと。
人の輸送も物流も、ネット技術の利用で高度化したが、本質的な所は余り変わっていない。


革命的な技術とは、今までできたことを1/100以下の労力や時間、コストでできることだと思う。
そうすると単純な価格破壊には終わらない。使い方自体が変わってしまう。これこそが技術革命ではないか。
例えば携帯電話は自動車電話の時代からあったが、高価で使い勝手の悪い時代は緊急用の連絡手段だった。

Journalist Lucy Morgan with video camera and phone / State Library and Archives of Florida

今では夜中の長電話も、携帯電話でやるのが当たり前。
もっと言えば「無駄な電話をする」ことも、「郵便の代わりに電話する」ことも電話が安くなったことによる
生活スタイルの革命といえる。古い話だが。
となりのトトロじゃわざわざ電話を借りに行っていたし。
では物流が本当に安くなったら、どんな革命が起きるんだろうか。

データ革命は生活を変えた

例えばデータの移動は既に革命が起こっていて、移動にはほとんど時間も金もかからなくなっている。
この前スマホで撮った写真を両親に見せようとしたときに、
タブレットへのデータ移動が面倒なのでDropboxにデータを挙げて、そっちから表示した。
よく考えればこれって凄いことで、直線距離数十cmのデータの移動に、わざわざネット回線を使い
クラウドでデータを共有している訳だ。
なんというピタゴラ装置

ピタゴラ装置 / yoppy

ピタゴラ装置DVDブック1ピタゴラ装置DVDブック(3)ピタゴラ装置 DVDブック2
※あ、「3」出てたんだ。買わないと・・・


データの移動が極端に安くなると、こういう冗長でもったいない作業も、当たり前のように行われるようになる。
例えばフードコート

Food Court-Lunch time(world book fair 2012 New Delhi) / vkwd_7

混雑したフードコートは戦場
席取りの戦場をくぐり抜けたら、騒ぐ子供を席において、店舗の列に並んで食事を取りに行かなければいけない。
でもWifiGPSで今いる場所は分かるわけだから、これもネット上で店舗・メニューの選択、決済まで済ませてしまえば
フードコートでは席取りだけすれば良くなる。
これは特に子供連れの家庭ではものすごく助かる。
こんなことだって、今の技術で十分実現可能になっている。
今は携帯での決済がまだ浸透していないし、WEBでの購入がまだ浸透していないだけで、
携帯電話を持っていない人しか買えないフードコートがあっても、実際に不便を感じる人はごく一部だろう。


お店としては人手を取られる顧客対応部分が不要になるので、コストダウンになる。
料理ができたらスマートフォンに伝える仕組みでも良いが、席まで持ってきてもらえるとより便利。
顧客対応のコストダウン分を使えば、できあがった食品の配送担当者を付けても成り立たないだろうか。
次世代のフードコートでは天井走行車とか付けてもらえればより混雑解消になるし便利なんだけど・・・
まぁ、ここまで行くとどう考えてもコスト的に無理ですね。

物流革命が、例えば旅行を変える

では物流費が極端に安くなるとどう生活が変わるのか。
たとえば旅行
人の移動はむしろ不便なところが旅行の楽しみとも言えるが、旅行で面倒なのは、荷物。
今でも旅先から荷物を送ることで、帰りの荷物は軽くできる。
では、もっと物流が便利に、安くなったらどうなるだろう。
例えば着替えを小分けにして、一日分づつ順に旅行先に送ってもらう。
送り先は「自分の滞在地宛」
滞在地は、携帯電話のGPSで掴めるのだから、実はこれって今でも可能な技術だったりする。


バックパッカーで次に滞在するホテルも分からないから、荷物は全部持っていかないと・・」

Backpacker Friendly / piermario

なんていうのは、実は前時代的な先入観にとらわれていないか?
携帯電話とクレジットカードさえ持てば、着替えは「XX日の滞在先」に送れば良い。
旅行先では、着替えをクリーニング屋に郵送して
「洗濯後、XX日の滞在先に送る」
としておけば、荷物をほとんど持たずに旅行ができる。


物流が安くなれば、こんな風に旅行の景色も変わるかもしれない。
ちなみにGPSで今いる場所に持ってきて」はすでに実用化されている。
ドミノ・ピザは自社の配信するスマートフォンのアプリで、「今いる場所」までの配達を行っている。

Domino's Delivers / Caveman Chuck Coker

ピザ屋ができることを、物流の本職であるヤマトや佐川や、郵便局ができないわけは無いだろう。

人とモノは、遅れている

企業の資産は「人・モノ・カネ・情報」と言われるが、
カネと情報の移動は、現代ではほとんど無料で、瞬時に出来るようになった。
そう考えると、人とモノの移動をいかに安くするかが今後の課題になると思う。


情報が既にほぼ無料でやりとりされる昨今、物流費が大幅に下がれば、それを利用して
もの凄い数のサービスが瞬時に作られて、消費されて、また生活が一変するんだろうと思う。
長距離の移動が安く、短時間で出来れば旅行の価値は急激に下がるだろうし、
逆に言語の習得は今よりももっと重要になるんだろうと思う。

Pierre Kosciusko-Morizet et Hiroshi Mikitani / priceminister

※写真はイメージです


次世代のトレンド産業は物流。
そう仮定すると、「いかに安くて早い物流システムを考えるか」というスタンスと、
「そんな物流網ができたらどんなサービスが可能か」の二つの考え方ができる。
企画の練習としては後者を考えたが、実際に物流のシステム改革は世界のどこかが発明して、
それがアマゾンの方に、世界を駆逐することになるんじゃないかと思っている。
願わくば、日本の企業もその波を起こすか、いち早く乗る位置にいられればと思う。