僕が『イーッ!』以外の発言権を得た日のこと
好評につき、さらに調子に乗って悪の組織論第三弾。
トップの話のあとは下っ端の話。
「僕はいかにして『イーッ!』以外の発言権を得たか」
ちなみに感想でこういった意見もいただいていました。
多少切り口は違いますが、ネタの参考にさせていただきました。
ありがとうございます。
しーな @sikatanaisi
この記事を読んだ戦闘員による「ショ○カーの下っぱだったボクが悪の組織で親玉になれた理由」
的なビジネス書がいつか出る…かも。
→ 悪の組織は失敗した幹部をどう処置すべきか http://d.hatena.ne.jp/roy/20120412/p1
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参考までにこれまでの記事はこちら
・リンク → 悪の組織は失敗した幹部をどう処置すべきか −わかりやすさを、コーディネート
・リンク → 悪の組織の目標はなぜ「世界征服」なのか −わかりやすさを、コーディネート
悪の組織の出世街道
悪の組織と言えば正義の味方に面白いようにやられる「戦闘員」の存在が不可欠。
その一つの完成したイメージは仮面ライダーの「ショッカー」。
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あれは軍隊式の仕組みの中で「Sir, Yes sir!」しか発言が許されていないと
考えれば良いのだろうか。
つまり発言できないのではなく、発言が許されていない。
さて、そんな超縦割り社会の中で、一戦闘員はどうやって組織の中で生きるべきか。
彼らに「出世」はあるのか?
またなぜそんな組織に就職したんだろうか。
悪の組織の戦闘員が、一般の人間である(他に就職の選択肢がある)という前提で考えてみる。
悪の組織で出世する方法
悪の組織で出世をするには、当然業績を上げる必要がある。
あれだけ強大な人員と開発力を持った組織なので、実際にはいろいろな部署もあろうが
いろいろな作品で描かれるのは破壊や犯罪行為、そして戦闘ばかり。
そこでこの任務中の業績を上げることでどう出世できるかを考えてみる。
戦ってはいけない
悪の組織では戦闘が重要、といいつつ戦闘で一戦闘員が武勲をあげようと思ってはいけない。
幹部たちは改造や生まれつきや、さらにはトップから特別な兵器や装備を支給されることで
強力な戦闘力を手に入れている。
その幹部が戦闘に加わるような状況で、ろくな装備も与えられていない一戦闘員が
まともな武勲をあげられるわけがない。
Green Power Ranger y Venom en las v〓as del tranv〓a / Mataparda
まずは出世して、それなりに戦える状態になってからでなければ、
烏合の衆の一員として華々しく散ってしまうだけになる。
最初に動く
悪の組織は日々新しい作戦を考えて実行する。
その作戦は、正義の味方がやってくるまでは順調に進むことも多い。
(というかかなり無茶な作戦でも結構うまくいく)
つまり、この作戦の初期段階で成果を上げてしまえばいい。
「兵は拙速を尊ぶ」というが、例えば破壊工作なら最初に重要拠点を破壊し、
それだけを成果としてさっさと報告に行けばよい。
例えば誘拐なら誘拐が成功した時点でさっさと人質を本部に渡し、成功の報告をする。
そのあと正義の味方が乗り込んでくる頃には現場から離れていれば、成果だけが残せる。
ポイントは二点。
- 欲をかかないこと
- すぐに正義の味方がやってくる。欲をかくと成果ではなく敗北した失敗として記憶される。
- 報告するなら作戦長よりもっと上司に
- 結局その作戦も正義の味方にやられる可能性が高い。するとその成果も消されてしまう。
- 作戦長ではなく、その上司に「自分の担当中は成功していました」と報告できれば、自分だけは評価される。
大きな組織やプロジェクトになるほど、プロジェクト全体の正否と個人の成績は必ずしも一致しない。
負け戦の中でも自分の武勲をあげることは十分に可能だと思う。
実際、秀吉の初期の重要な功績にあげられるのは「金ヶ崎の退却戦」といわれる負け戦での殿(しんがり)だし。
ただ負け戦が決定してから報告しても認めてもらえない組織もあるので、早めに動き、早めに報告する。これが重要。
この辺はビジネスにも共通することだろう。
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戦隊物でヒロインの誘拐やバスジャックに成功すると、その作戦長(幹部・怪人)から、
「よくやった。××を与えよう」といった褒め言葉がでることがある。
結局その後、正義の味方が乗り込んできて作戦は失敗するのだが、
その戦闘員はきちんとその報酬をもらっているのだろうか。彼のその後が心配でたまらない。
仮面ライダーワールド5 / sawamur
提案する
「イーッ!」しか言っていないように見えるショッカー等の戦闘員も
なぜか幹部・怪人と意思疎通ができている。
つまり戦闘員からの提案も可能らしい。
ならば良い発案をすることで、組織の中での評価を上げていけないだろうか。
ただし、ほとんどの作戦は最終的には失敗するので、
キリのいい所までの、成功するプランに留めておかなければいけない。
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果たして悪の組織は就職するに適した組織か
さて、そんな悪の組織にみんななぜ就職するのだろうか。
「トップや幹部の理念や人柄にあこがれて」
「食いっぱぐれて」
「待遇がいいと聞いたので」
組織に入る動機は人それぞれ。
では、その悪の組織は就職するに適した職場なのだろうか?
待遇は悪いが福利厚生はそれほど悪くない?
悪の組織の戦闘員の仕事は、厳しくて辛い。
戦闘では矢面に立たされ、明らかに格上の相手と戦わされる。
非戦闘時でも、幹部の機嫌が悪いと当たり散らされる場合がある。
でも、それだけで待遇が悪いと決めて良いのだろうか。
悪の組織の戦闘員たちは、制服支給。
[asin:B005GL7T20:detail]
また、戦闘時にみんな思う存分暴れ回っているということは、体調不良者や怪我人は作戦に参加していない。
つまりあの人数に加え、しっかりとしたバックアップ体制を持った組織と言える。
戦闘をメインにした組織なので、戦闘員を優遇することで戦闘力が落ちては元も子もない。
理不尽に見える部分もあるが、組織としての福利厚生はしっかりしている可能性はある。
「負けた戦闘員はみんな首を切られるだけでは?」と思うかもしれないが、
クローン技術などで戦闘員をいつでも増員できる場合はともかく、
自衛隊も人員募集に困る昨今、「悪の組織」に就職する若者は使い捨てられるほど多いのだろうか。
一度入った戦闘員は、それなりに大切に扱ってもらえる可能性もあるとは思う
※自衛隊のことならこちら! → 防衛省・自衛隊:自衛隊岡山地方協力本部
何より「夢」がある
悪の組織の一番の特徴は、前回取り上げた「目標」。
世界征服など、大きな目標を掲げれば、その戦闘員一人一人にも、
「世界征服ができれば、自分にも大きな分け前が!」
という夢を持つことができる。
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実際に、悪の組織で中間目標の達成や、新兵器の開発ができると
トップが戦闘員に対して演説をぶつことがある。
演説を行う、ということはトップが戦闘員の士気を上げることに心を配っているということ。
トップから一丸となって目標に当たる。
なかなか良い組織にも見える。
悪の組織は「ベンチャー」だ!
そう、悪の組織はベンチャー企業に近い。
そりゃ、前線の戦闘員にしてみれば、なかなかブラックな企業に見えるかもしれない。
でも、できたての組織なんて、どこも厳しいものだとも言える。
むしろ十分な資金力と技術背景、戦闘力を持ち、
それをバックに大きな夢をトップが語っている。
ベンチャーとしてはなかなか有望株と言えるのではないだろうか。
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若者が就職するなら、なかなか魅力的な組織とも言える。
なるほど、元気な若者たちが就職しているわけだ。
ただ、実際には高い技術力や大きな夢があっても、正義の味方のせいでなかなかうまくいかない。
外面は良さそうでも成功しない企業もある。
ベンチャーでも悪の組織でも変わらないということか。
若者よ、就職先の言うことは、一歩引いて考えよう。
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そのほかの「悪の組織論」シリーズはこちら。
・リンク → 悪の組織が、滅びる瞬間まで自信満々な訳−わかりやすさを、コーディネート
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・リンク → 悪の組織を傾けているのは科学者じゃないか?−わかりやすさを、コーディネート
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