ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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モーターショーも、ディスニーにならっては?

大阪モーターショーに行ってきた。

・リンク → 第7回大阪モーターショー


開催期間のうちの唯一の日曜日で、前日の土曜が雨ということもあり大盛況。
子供連れで行った自分も悪いんだが、あまりの人出にロクに見られないブースも多数。
ハチロクなんか人並みの後ろからちらっと見えただけ。
ネットの写真の方がよっぽどよく見えるわ。


ここまでの人出になったのは恐らく日曜日だけなので仕方ないと思うが、
余りに人が多くてじっくり見られない、というので良いんだろうか。
モーターショーを一般公開する目的は何だろう?
最新の車や技術、コンセプトカーや会社の方針を一般の人に身近に感じて貰うことが目的なら
人が多すぎてロクに見られない状態は企業の目的と違うんじゃないのか?

並ばせる技術

人の渋滞を捌く技術に優れている企業は、世界でもオリエンタルランド(ディズニーランド・シー)
越える企業はそうそうないだろう。

ディズニーランド / atk1983

東京ディズニーリゾートの入場者数は、ランドが世界3位シーが世界4位という超巨大テーマパーク。(2010年)
・リンク → 2010年【全世界テーマパーク入場者数】が発表されています!!:世界のディズニーパーク情報:So-netブログ
どうやってもオーバーキャパの入場者数を、いかに効率よく、ストレス無く捌くかの技術は世界最高レベル。


待ち時間を楽しむための通路上の装飾であったり、「隠れミッキー」と言われる宝探し要素や
通路の先を見えなくするなど行列の作り方だけでも工夫がたくさんある。
そして、待ち時間の工夫の中でも最高峰の物がファストパスだろう。

復習:ファストパスとは?

ディズニーランド・シーに詳しい方にはもう常識だろうが、世の中にはご存じない方の方も多いはずなので解説。
ディズニーランド内にファストパスの発券機があり、自分のチケットを通すとファストパスが発券される。

Haunted Mansion Fastpass Distrbution Center / Loren Javier

ファストパスには時間が記載されていて、その時間に行けば専用の入り口から、ほとんど並ばずに入ることが出来る。

FastPass Distribution for Star Tours: The Adventures Continue / Loren Javier

ファストパスは一度に複数発行できない、入場時間に制限があるなど一見複雑に見えるが、基本的な考え方はシンプル。
ファストパスは、「見えない行列」を作る。
パスを発行した段階で実は「列に並んでいる」と考えると分かりやすい。
列に並んでいるので、他のパスは発行できない(他の列には同時に並べない)。
列が順に進んでいくので、自分の番が来たときに不在なら、権利は消失する(時間制限がある)。


ディズニーは乗り物券ではなく、入場料と飲食・お土産代が収入源。
だから乗り物(アトラクション)に乗ったり、並ぶ時間は収入源にならない。
もちろん乗り物は必須だが、待つ時間はストレスになり、購買行動も出来ないのでディズニー・ゲスト双方にメリットは無い。
そこで待っている時間を感じさせず、その間に園内を周遊できるシステムが「ファストパス」だ。
待ち時間が一時間の時、並んでいると何もできないが、ファストパスならその間に
アイスクリームの一つでも食べようか、となる。
(「複数の列に並べない」=「待ち時間が長くなる」という制限も営業的にはメリット)

展示会にもファストパスを!

翻って展示会。
舞台の上の展示物には最高の技術があるのかもしれないが、余りの人出でほとんどの人はきちんと見られていない。
結局ホンダでステージ上でどんな車があったのか、帰ってきてからパンフレットで初めて知った。
展示会でも、ファストパスを導入したらどうだろう。
企業ブース内の入場制限を行えば、ある程度ゆっくり見られると思うんだが。

ファストパスのつくりかた

導入方法は簡単で、必要な機材は発券機と認証システム。
紙の発券やメンテナンスが問題なら、コードを表示するようにしても良い。
今どき携帯電話を持ち歩いていない人の方がレアだから、コードをカメラで撮ってもらい、それを入り口で読み取れば良い。
展示会では展示スペースにどの方向からも出入りできるようになっていることが多いが、
このシステムを導入するなら入退場はブースの一部に制限する必要がある。


考えただけでも、それほど難しいシステムだと思わない。
ディズニー同様、ファストパスで入るグループと、並んで入る人のグループに分け、どちらでも入場できるようにすれば良い。

なんでも導入すればいいわけじゃない

システムは簡単に感じるが、導入にはいくつかの制限がある。
まずこういったシステムが必要になるような展示会自体が少ない。
大きなブースがポツポツと島になっているような会場で、一般来場者のためにパンクするような展示会。
モーターショーとゲームショウぐらいじゃないか。
平日にやっている企業向け・業界向けの展示会では、今のままで全然問題ない。


またシステム導入のメリットは入場制限による展示効率アップと、来場者の周回性アップだが、
うがった言い方をすると出展者としては周回性は高くなくて良い
極端な話、各社は「自分のブースに来て欲しい」のであり、会場全体を見て貰いたいわけではない。
特にこういったシステムが必要なのは人気ブースなので、そういった意味でも周回性なんて最初から関係ないとも言える。
(混んでいて回りきれなくても、自社ブースだけは来て貰える、といえるため)
だからファストパスより、自社ブース前での入場制限の方が簡単で、メリットがあると判断しそう。


そう考えると、このシステムを構築するのは主催者側の責任じゃないだろうか。
他の展示会では主催者がバーコードでの顧客情報管理システムを導入している例もある。
主催者側が、展示会の付加価値を上げるためにシステムを構築して供給するというのは、ありだと思う。
ちなみに大阪モーターショーの入場料は1500円。(小学生以上は700円
前回2009年の入場者数は22万人強、単純計算で22万人×1000円=2.2億円(子供も多いので単価を低めに計算)。
これに企業ブースの賃貸料が加算される。
多少のシステムを提供したところでメリットは出せるだろう。
本当にそれで企業のPR効率が上がるのなら、企業のブース単価を上げても良いはずだ。
(まぁ、もちろん各社はそんな値上げを受け入れないのが現実だろうが)

ちなみに

ちなみに近所の小児科が同様の仕組みを作っていて感心した。
電話で予約すると30分単位で予約時間を告げられ、その時間に行くことで院内の待ち時間を減らす。
予約無しの人はその隙間に詰め込まれる。
時間が近くなるとメールでお知らせ、とか複雑なシステムではないので、小規模の町医者でもできる。


仕組みは単純なのでこういった形で簡単に導入できるが、ディズニーはこの仕組みの特許も持っている。
ディズニーの特許では請求範囲を「アトラクション」としているので上の医院は対象外だが、
展示会で導入するならディズニーに一言言っておく必要があるだろう。
別に競合でもないので、話をすれば使わせてくれると思うが・・・

【発明の名称】アトラクション入場管理システム
【出願番号】特願2000−243297
【出願日】平成12年8月10日
【公開番号】特開2001−101461
【公開日】平成13年4月13日
【特許番号】特許第3700833号
【登録日】平成17年7月22日
【発行日】平成17年9月28日
特許権者】ディズニー エンタープライジーズ インコーポレイテッド


要はね、関西の人間としては待たされるのとか人混みで見えないのとか大っ嫌いなんですよ。

iPad行列最後尾(Tail end) / nubobo

もっとスムーズかつゆっくり見られるようにしろと。
でもまぁ、そうなると見られない人が続出するから開催期間を延ばさないといけないのか。
そうするとコスト的に合わないのか・・・難しいところ。
でも改めて言うけど、あんな人混みを見に行くようなモーターショーって、意味あるのかな。
パンダの檻じゃあるまいし、ハチロクの前で「立ち止まらないで下さい」って、何のために見に来たんだと思ってしまう。
意味のあるモーターショーにするためには、それなりの時間を取って、きちんと見る環境作りが必要なんじゃないのかな。