ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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伝統の技術の復活方法

ちょくちょく記事になっているので名前は知っていたのが
「化粧筆のMACシリーズ」:白鳳堂

たとえばこんな記事。
 →リンクMACの筆は“職人が量産”。化粧筆で世界シェア6割〜白鳳堂・高本和男:日経ビジネスオンライン


日本が「技術立国」と言ったときに、良く取り上げられるのは電機・自動車のハイテク分野。
しかし日本のこういった伝統・ローテク分野のほうが、突き詰めたときに圧倒的な強さを持てる。

人口減時代の伝統技術

伝統の技術は元々の市場が小さい上に、市場は先細り。
ただしその蓄積された技術とブランドは他社の追随を許さないので
特定の市場で細々と圧倒的なシェア、ただし右肩下がり」という場合が多い。
そしてそんなニッチ産業はこれからどんどん増えていく。
例えば西陣織などの着物、和傘、茶器、鉄瓶等々。
こんな市場では特定の行程では既に職人が数人しか居らず、跡継ぎもいないことが多い。


ではその伝統の技術はこの先消えていくべきなのか?
その一つの回答が白鳳堂だと思う。
白鳳堂の素晴らしいのは、元々の高付加価値産業である「伝統筆」の技術を
化粧筆に持ち込んで高級品として完成させたこと。

  • 伝統の技術(市場減少)
  • 新しい市場(成長市場)

を組み合わせることで、新しい市場を圧倒的な技術力・ブランド力で開拓できる。


例えば南部鉄器では従来鉄瓶風鈴が主だったところから、
などに手を広げる業者が出ていることで話題になっている。
ちょっと調べて出てきたのが例えばこの会社。
 →リンク本場盛岡南部鉄器 南部鉄器の 岩 鋳
商品ページでは、従来の黒では無くカラフルなが紹介されている。
これで機能とデザインが両立できればまだ盛り返せる自力は十分になると思う。

新しい市場開拓の際の課題と、やるべきこと

新しい市場開拓で重要なのは、単純に目新しさを目指すのでは無く本来の良さを出し、継続性を求めること。
課題としてはこんな所になる。

技術力

伝統技術には蓄積された素晴らしい技術がある。
その技術力を生かした展開でなければいけない。
伝統技術には人手がかかるものが多く、コストが高い。
そのコストを付加価値に転化できる、メリットのあるもので無ければいけない。

大きな市場

縮小傾向の小さな市場から出るので、そこよりも大きな市場で無ければ又じり貧になる。
ニッチを狙うとしても、既存市場より大きく・継続性のある市場で無ければいけない。
例えばニッチでも世界で見れば規模が大きいなど、視点を大きくとらえる必要がある。

既存の枠の破壊

伝統技術は「これが伝統だから」という枠にとらわれて動けないことも多い。
既存の考え方からは「邪道」というぐらいのターゲットがちょうど良い、と考えた方が良い。
例えば白鳳堂でも、「うちの高級筆を化粧に使うなんて」というのが当初のイメージだったろうし、
「南部鉄器は黒でないと」という固定観念があると海外で受け入れられない。
伝統の肝は何か、をきちんと再確認する必要がある。
そのためには外部のコンサルタントなどに意見を求めることも重要だと思う。

我が町・生駒では?

我が町、生駒市は昔から茶筅の生産量が圧倒的な日本一だったりする。
だから生駒警察署の交通啓蒙看板もこんなの。

なんだろ、もうツッコむ気もありません。


さて、この茶筅作り、最近は中国製の輸入(ブランド偽装もアリ)もあり、周りからみるとどうも大変そう。
あんな細い竹を100本に削って曲げるとか技術力はあるとは思うんだが・・・
生駒市民としてはこの復活劇の思考実験をしてみるかな。
竹の特徴というと・・・こんなところ?

  • 硬い(木に比べて)
  • エコ(成長が早く、育てるのが簡単)
  • 軽い

昔は竹細工は色々と使われていたんだけど、最近は使われていないのでその復刻をベースに考えたらいいんじゃ無いだろうか。
ポイントはその加工精度。
綺麗に仕上げることで、プラスチック製品を竹に置き換えることを狙う。
また、竹に着色する技術を考えて、デザイン性の向上も狙う。
ぱっと思いつくのはこんなところか。

  • 箸・箸入れ
  • 篭・カバン
  • アクセサリー


高山の茶筅会社様、危機感を感じられているのなら、第三者として技術の棚卸しにおつきあいしますよ。