考える家
工場にいると、「フィードバック」という言葉をよく使う。
フィードバックとは、目的の値になるよう制御すること。
例えば自動車なら時速60kmの一定速で走行するためにアクセルを調整するとか。
人間は信号や計器を見て自然にやっていることだが、これを機械にやらせることもできる。
今時の家電や車では、この「計測(センシング)」+「フィードバック」が当たり前。
空気清浄機は汚れ具合に応じて回転数を調整するし、
ロボット掃除機に至っちゃ自分で部屋の形を計測して、最適なルートを選んでいる。
最近の自動車は気圧・回転数・磁気(方角)・温度など色々なデータを取るため、信号を送るケーブルだけで何十kgという重量になっている。
家には神経がない
ところが家自体には意外にフィードバック系がない。
家には電源やLANケーブル、テレビを見るためなど、配線はあちこちに走っている。
でも、配線はあってもフィードバックするための「信号線」はほとんど走っていない。
だから、家庭用の機器はほとんど手動で操作する。
寒くなったらストーブを出して、暑くなったらエアコンを操作して、明るくなったら手でカーテンを開ける。
そんな家がほとんどだと思う。
普及しない理由
「考える家」というコンセプトや研究はたくさん提案されているし、モデルハウスでは実際にこの機能のある家もある。
でも普及していない。
理由は価格と、メンテナンス性。
家は建ててから改修・廃棄するまで数十年使用される。
そのため、壊れたときにどうやって補修するか、補修部品があるかが重要になる。
そう考えるとあまり先進的な、特殊な部品は家に入れたくない、というのが本音だと思う。
将来の家
とはいえ、家を差別化するには構造だけでなく制御面でも高機能化する必要がある。
冷蔵庫は生活パターンを解析して最適な冷蔵スケジュールを組み、自動的に霜取りをしている。
今は機器がそれぞれで考えているが、それを統合する「家庭コンピュータ」をパナソニックあたりが提案してくると思う。
(パナソニックは制御に優れた松下電器と、家庭用配電機器の松下電工の統合会社)
家はとてもドメスティック(国内型)な産業と言われている。
家のシステム化が外販できれば、世界で圧倒的な強さを誇ることができる。
それができる会社は、結構世界を見回してもパナソニックぐらいじゃないかと思う。
- 世界に名だたるネームブランド
- 住宅の売り上げ国内7位(シェア4.3%)の実績:パナホームとして
- 電機メーカとしてシステム・制御に強みと実績
- 配電機器メーカとして日本最大:旧松下電工(パナソニック電工)として
「世界トップになる戦略」の中で、
- 住宅のシステム化で世界トップシェア
そのために
- 住宅システムの輸出を前提としたシステムアップ
これを考えると面白いんじゃなかろうか。