ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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ゲームマーケット2019秋、アンケート結果を見て

ゲームマーケットのアンケートについて回答いただき、ありがとうございました。
諸々結果をまとめましたが、今回のアンケートで自分にとって新しい知見は二つ。

  • 日曜は売れない
  • 「赤字にはなりたくない」と思っている人が多い

ということ。

日曜は売れない

ゲームマーケットが土日の二日開催になってから、「日曜日の入りが悪い」「日曜日は売れない」と言われていましたが、それを売り上げ数字として具体的に出したのは初めてではないかと自負しています。
個々人の意見、あるいはサークルの売り上げ単位で「うちは日曜は売り上げが悪かった」という意見は聞かれたものの、実数は見えていませんでした。

 

今回の結果を乱暴にまとめると、土日両日出展されたサークルの平均的な売上比率は「土:日=2:1」でした。

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しかし出展費用は同じ。
そのため「日曜の出展費用を下げて欲しい」という意見も複数聞かれました。
(当然、その分土曜日の出展料が高くなるという話になるでしょうが)

今の形は土日のバランスが悪い。日曜日の対策をもっとしないと日曜日に出店するメリットがどんどん減っていく。出店料に差をつけるなど対策が必要
 

私は出展側ですが、参加者目線なら、土日開催で「人気のゲームは売り切れるかもしれない」と考えると、土曜に行きたいと思うのは当然かと思います。
このためコア層が土曜のスタートダッシュで買いに回るため、長い行列ができる様子が見られました。
朝から頑張って行列を作り、試遊を続けているとさすがに午後には息切れします。
完売報告も出始め、午後3時ごろともなると大分落ち着いた雰囲気になった印象です。

 

では日曜日はどうか。
うちのブースで言えば日曜日の開始後30分間、うちのブースでは「売り上げ 0」でした。
(結構、本当に焦りました)

土曜に行けない、日曜に行けないと言った人もいるので両日の出展は効果的ではあるが、日曜の客の減り方は異常なほど。 あと、開催前に次回の申し込み開始は気持ち悪い。


会場に人は入っています。
私のブースにもたくさんの人が来て、みんな話も聞いてくれますし、興味も持ってくれます。
そこで気が付いたのが、会場にいる人の多くが、個人制作のゲームを買いなれた層じゃないという事。
デパートやショッピングモールでウィンドウショッピングするように、ザっと一回りしてから気に入ったものを選別して買う。
だから初動は遅いんだと気が付きました。
目の端に入って「ピン」と来たら、とりあえず「買います。で、いくらですか?」と後から値段を聞くような私みたいな買い方ではないと。

 

午後になると子連れも増えて目立つようになり、試遊はフル回転でした。
逆に重たいゲーム、ゲーマー向けのゲームは、特に日曜は厳しかったのだろうと思います。
またこんな意見もありましたが、これは私も感じました。

2年目だが、1年目の2018の時は16時に片づけてるサークルが多かったが、2019は17時まで皆さん売っていた印象でした。これってどういう変化なのでしょう・・・?


「買いに来た」人よりも、「見に来た」「遊びに来た」人が多いので、イベント終了の17:00ギリギリまでゆっくり回遊して、遊んで帰られる方が多かった、ということかと思います。

つまり「土曜と日曜で来場される方の客層が違った」のではないか?ということです。
より幅広い層、特にあまりゲームをやられないライト層やファミリー向けゲームを届けるなら日曜は良いが、ゲーマー向けのものは土曜日が良いのでは?という感覚です。
もちろんそうした流れと逆に、日曜に時間のかかるTRPGイベントが行われるなど、偏りを打ち消す取り組みは行われていました。
ただいずれにせよ日曜のほうが売り上げ的には厳しいという事実は変わらないかと思います。

 

「赤字にはなりたくない」と思っている人が多い

アンケートの分析結果は色々な切り口で分析しても「赤字:黒字が大体半々」でした。
「赤字にはなりたくない」というのは当たり前のことを言っているようですが、これが「たくさん儲けたい」という人が多ければ、おそらく集計結果は「利益の出しやすい関東勢は赤字が少ない」とか、「長くやっているところは利益の金額も大きい」という傾向が出たはずです。
ところが、母数が大きければ大きいほど、最終的に「利益はプラマイゼロ」という所にデータが収束します。

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アンケートでも「赤字にならない程度にやってます」「一応黒字です」というコメントがありました。
使用するコンポーネント(部品)が多岐にわたるため制作費用が同人誌よりも高くなるボードゲーム制作。
それを継続するために、「収支がプラマイゼロを目指す」というのが一般的なボードゲーム制作スタイルということです。
だから「赤字にはならないようにする」が、売れたところで儲かるほどの価格設定にはなっていない所が多いようです。

アンケート集計お疲れ様です。一応黒字に入れましたが収支トントンでした。
自分の趣味の範囲での参加なのでそこそこ黒字にもなっているし、特に問題なくゲームマーケット参加を楽しめています。

 

毎年アンケート結果を見て、「半分が黒字ならみんな儲かってるんだね」という意見をもらうんですが、あくまで「0以上」であって、決して「儲かる」というレベルではないし、それを目指していない人が多いという実態については知って頂いても良いかと思います。
(「儲けたいなら時給でバイトした方が絶対マシ」というのは制作者が集まった時に定番のように話すネタですし)


アンケートと出展した結果で気が付いたのはこんなところです。
ゲームマーケットの規模も大きくなり、ボードゲームの裾野が広くなったことで、会場に足を運ぶ方もより多種多様になってきたのを感じます。
そうした変化について行くも行かないも自由ですが、そうなると「ゲームマーケット」以外のボードゲームイベントが欲しい、という意見が当然増えます。
今回はゲームマーケットに関してのアンケートでしたが、地方のイベントが増えて欲しいという意見は今回の結果でも明確に増えているので、これからそうしたボードゲームイベント、フリーマーケットを各所で行えば、参加したいサークルさんは多そうです。
イベントといってもボードゲームの即売を中心としたものだけでなく、試遊のみを行う「フォアシュピール」「盤祭(前半)」や、制作側に向けたセミナーやワークショップ等、色々な切り口のイベントが増えています。
イベントの数はもちろん、各イベントの形態・開催場所・時期にも広がりが出れば面白いですし、実際にそうした方向性が強くなると思います。

東京、大阪以外の地域でゲムマ的なイベントが増えて欲しい。 北海道ボドゲ博は今後の成長にとても期待している。 大阪以西の場所(具体的には九州)でイベントが欲しい。


そうなると「ゲームマーケットを目指さない」という制作スタイルも出てくるでしょうし、そういうサークルの作品もすくい上げるコンテストや賞レースが求められるでしょう。
今年は地方のイベントが話題になる事も多く、裾野が広がったことを一段と感じる一年でした。
ゲームマーケットがここまで大きくなる中、「ゲームマーケット以外」がどうなるかが来年の注目なのかな~と感じた次第です。

 

とはいえ私はイベントについては主催ではなく参加者側なので、「大変だなー」と眺めるだけですが。
イベントを主催される方(主催しようとしている方)、頑張ってください。

 

ということでここまでお付き合いいただきありがとうございました。

一応ゲーム作ってますので、よろしくお願いします。(最後に宣伝)

pen-and-dice.booth.pm