ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム・3Dプリント作品・3DCG制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

世界の田舎たるアメリカとか、日本とか

米国出張も何回目か、東から西海岸、南から北はカナダまで行っているにも関わらず、仕事がらそのほとんどは田舎の道路を走り続けるだけで、都会には展示会でサンフランシスコに行った以外は、とんと足を踏み入れたことがありません。

あのときもほぼホテルと展示会場の往復だけだったしなぁ・・・ 

 

しかしこんな話が話題になっていて、

blog.livedoor.jp

「商品右から左に流すだけで情弱共が次々とポチっていく あざーすwww」
「ちなみに米amazonが一番儲かってる」
「特に米amazonあいつらマジでなんでも買ってく」
「家でポチポチしながらできるのにみんなやらない謎」
「なんでみんなやんないの?ってくらい割がいい」
「ダイヤモンドラウンジ使ってる」
「家には商品一個も置いてないよ俺は商品みっけてポチるくらい」
「日本で安く買えるけどアメリカではプレミアになってたり、その逆もある」
「探してみると価格差ってほんと色んなところにあるぞ情弱がそれだけ多いとも言える」
「俺は家から一歩も出てない」
「俺も英語できない」
「FBAってサービス使って管理から納品まで全部amazonにやって貰ってる」

 

 それに対してこんな記事も上がっていたので

blogs.itmedia.co.jp

アメリカは人口3億人、世界一富裕層の数が多い(貧乏な人も多い)、情弱もバカも多いし、日本より平均年齢が10歳若い国。 一方で日本は人口1億人ちょっと、富裕層の数はアメリカの1/4、情弱もバカも多いが日本の情弱はネットに弱くクレカも持ってない、3割がジジババということを考えると、前述の記事の転売警備員が言うように「特に米amazonあいつらマジでなんでも買ってく」というのも、あながち嘘ではない気がします。

多分これって、自分の行くような田舎の話だろうなと思うので、思ったところを書いてみます。

 

広大な田舎、アメリカ

アメリカは世界最大の経済大国で、国土も日本の約25倍。でも人口比では日本の1.26億人に対して3億人と、三倍弱。つまり人口密度は日本よりよっぽど低いです。

先進国はどこも都市人口が多いのですが、アメリカの場合はざっくり2/3が都市に住んでいると考えると、郊外・田舎に住む人口は約1億人。

(都市人口の推計については統計により差があります)

つまり非常に乱暴にまとめると、「日本の人口とほぼ同じ数が、アメリカの郊外に住んでいる」ということ。

 

 で、それってどんな場所?というと、おそらく私が行くような、こんな場所。

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あるいはこんな場所。

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基本、だだっ広すぎてよく分からないです。 

 

道は広い。そして長い

広いとどうなるか。

日本で自動車で客先に移動する場合、鉄道と組み合わせるなら駅から、長くても3時間で行けるところがほとんどじゃないでしょうか。

私も青森から鹿児島までは仕事で移動したことがありますが、地方の工場でも、ほとんどの場所は駅から1時間程度で移動できました。

ところがアメリカではいち営業マンのテリトリ内移動で3時間掛かることも普通にあるとのこと(現地代理店の営業曰く)。

最長では5時間の移動距離がある、ということで、日本だと東京ー名古屋より遠い距離を普通に移動することがあるということでしょうか。(NAVITIMEだと東京-名古屋間が車で4時間半)マジか・・・

 

実際アメリカに出張しても、飛行機を乗り継いでからIS(Inter State: 日本の国道に当たるそうですが日本の感覚だと高速道路。無料。)を走って移動するイメージしかありません。

また住む街は日本の感覚だと「村」というサイズの所も多い、というかISから見かける限りはそんなところばかり。例えばGoogle Mapで適当に拾ったところだとこんな感じ。

一応これでもアイオワ州州都で、街の中心部・IS入り口・国際空港のどれからもほど近い、なかなかの場所です。

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このサイズの街には個人商店クラスのお店しか無く、ガソリンスタンドに併設されたコンビニ的なお店がある程度。

じゃ、どこで買い物するの?といういわゆる「Mall」になるそうです。

でも日本のショッピングモールとは違って、日本だとアウトレットモールのような、店舗が並んだ構造の物が多かったです。

こっちの記事では日本と同じ、建物型のモールが取り上げられてますので、そういうのも当然あるんでしょうが、こうした建物はお金が掛かるので、そこそこの人口密度がある地域だけなのでしょう。

www.ted.com

で、私が行ったMallはどんなのかというと、こんな感じ。

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ちょっとだだっ広すぎてよく分かりません。でもとにかく駐車場が広いのが特徴です。

日本の感覚だと広すぎる感じがしますが、向こうだとこれで標準的なサイズのようです。

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近づくとこんな感じ。

遠近感で分かりにくいですが、看板の横にある簡易トイレに注目。「TARGET」の文字一つで人間と同じか、大きいぐらいあります。

 

店が大きい分商圏も広く、店まで来るまでIS(高速道路)をかっ飛ばして一時間、とかもザラなわけです。

「アメリカでは土日に一週間分の買い物をまとめて行うことが一般的」という記事がありましたが、こうした生活事情を聞くとさもありなん、と思わされます。

 

広いことでの生活感覚の違い

 広すぎるためかアスファルトのひび割れもよく見かけました。

制限速度が110km/hを超えるIS(高速道路)はさすがに良く整備されていますが、駐車場はこんな所も多いです。

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店舗内も品切れしている棚が普通にあったりするのは日本とは感覚の違う所。

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この辺は日本との価格差を考えると良いのだと思います。

日本では土地代=テナント代が高いので、特に店舗内の棚の無駄は許されません。

しかし、土地の安いアメリカでは相対的に優先順位が低いのでしょう。

棚を保全する従業員を確保するとコストが合わない、という判断かと思われます。ぶっちゃけ、日本のバイト店員はこうした細かいところまでちゃんと出来る高いスキルがあるのに、ろくに仕事をしないアメリカの従業員より安い時給なんじゃないでしょうか。日本の最低時給が安すぎるのと、日本の消費者が高いレベルを求めすぎというのは、この棚一つ見ても思います。

 

で、商品の一つ一つがやたら大きいのもアメリカの特徴ですが、「広すぎるのでまとめ買い」という購買特性と、「家も広いので置く場所はある」という住宅事情に合うのだと思います。

ちなみにこれは「1ドルショップ(日本の100円ショップ)」での品揃え。

これが100円というのは・・・大丈夫なのかな?

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で、そんな豊富な住宅事情にも関わらずモノの置き場には困っているのか、増えているのがトランクルームだそう。

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日本では一番面積あたりで安い土地の利用法がトランクルームだそうですが、アメリカでも増加の一途をたどり、全米で8000店舗以上、約4万室。簡単に言うとファミレス並みにある、という状態だそうです。

分析記事だとやはり都会への人口流入に伴う居住面積の縮小に伴う物では、となっていましたが、いや~、バッファローのこんな田舎にそういう問題は起きないと思うなぁ。

この写真と違うところでは、同じようなコンテナサイズで「月20ドル(2200円)」とあったので、まぁとにかく土地は広くて安いですよね。

「2000円ぐらいなら払っとくか」という感覚じゃないでしょうか。

 

世界の田舎に住む人たち

さて、こんなアメリカの田舎に住む人たちの感覚はどんなものか。

アメリカと一言で言っても面積は日本の25倍、都会・田舎の比較の他に50州を50の国と考えなければいけないほどの多様性があり、一概には言えません。

それでも「広い土地の狭い村」という感覚で総括できる部分はあるかと思います。

例えばアメリカ人のパスポート取得率は約35%、お隣のカナダの60%と比較すると大幅に低いそうです。(ちなみに日本は24%でもう一つ低く、日米が「世界の田舎」と言われる所以だったりします)

アメリカのバッファローはナイアガラの滝の近く、カナダまで車で一時間のところにありますが、今回出張の中継でそこのホテルに泊まって驚いたのは、フロントのお兄ちゃんが「パスポートも持っておらず、カナダに行ったことがない」と行ったこと。旅行者を相手にするホテルのフロントで働く人が、車で一時間のカナダの有名観光地に行ったことが無いのか。

彼一人を取り上げてどうこう言うのは話を大きくしすぎですが、しかし住んでいる町で完結してしまっている人は一定数いるそうです。(同行したDarrylに言わせると「アメリカ人の90%」ですが、彼の言い方も極端なので「一定数」としておきます)

「町から近隣都市 or Mall」 の次のジャンプが大きすぎるので、生活圏がここで完結してしまう、というわけです。

 

ここで最初の話に戻ります。

「日米で転売したらいい稼ぎになる」という話。

これって両国とも世界的にもパスポート取得率の低い国なんですよね。

要は自分の生活圏が狭い人たちがターゲットというわけです。

これで稼げるならどんどんやって、経済を回してくれればいいと思うし、逆に「自分も高く買わされてるんじゃないか?」と色々調べて見るのもいいと思います。

日本は島国なので海外から買うとそれなりに郵送費が高くなりますが、それを考えても異常に高く買っている物がまだあるかもしれません。

例えば私はゲーム製作で使うダイスを海外から輸入していました。

Dice | eBay

最初はアメリカから。それが廃盤になったので次はeBayで探してイギリスから。

郵送費や税金を払っても、日本で買うよりは安価でした。

大量購入で直接交渉するならともかく、そのまま購入するなら学校で勉強した英語力があれば十分かと思います。

英語力は高ければ高いに越したことはありませんが、正直なところ「英語が出来ない」という人は難しく考えすぎて、中学レベルの英文法が疎かになっていることが多いです。(例えば動詞の時勢や三単現のsが抜けている)

また英語では主語が無いことは通常無いので、日本語から直訳しようとすると「主語は何を付けたらいいんだ?」となることも多いようです。この辺は慣れが必要かもしれませんが、こうした購買関係でメール連絡するぐらいなら「英文 メール ビジネス」で検索するとたくさん参考になる文章例が出てくるので、まずはコピーから始めてみてはどうでしょうか。

 

色んな人に見てもらう

そんな訳で「ペンとサイコロ」作品は当初からずっと日本だけでなく、海外での販売を狙っています。

penanddice.webcrow.jp

人口一億人の日本を狙うより、人口75億人の世界を狙う方が、たくさんの人に見て貰えるじゃないですか。

ボードゲーム製作においても、例えば沖縄のサークルさんだと、東京に行くより中国や台湾に行く方が面白いと個人的には思います。移動・輸送費は同じか、むしろ安くて市場性はあるし「日本人」という新規性も狙えるし。

実際に台湾・韓国の企業では最初から世界市場を狙って起業される方も多いです。これは国内市場が小さいからですが、そうした視点で動く人が、日本にももっといてもいいと思います。

 

あとゲーム製作という観点だと「売る話ばっかりするな」とか言われることもあるんですが、私はむしろもっとみんな儲かればいいと思います。

こんな先の不安定な世の中だから「副業として」ゲームを作れればいいと思うし、それで儲かるのって、よく分からん所に投機するよりよっぽど健全だと思います。そうしてみんながお互いに購入し合えば市場も活性化する=みんな儲かるのが市場原理ですから、安売りする必要も無いし、みんなが買っていけばいいんです。

過去にも引用しましたが、市場原理のものすごくよく分かる解説があったので改めて紹介します。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

私はとりあえずここまで細々と利益を出してゲームを作り続けていますが、本当は「こんなに儲かってるんだぜ」と自慢して、憧れられるデザイナーがいることが理想ですよね。有名なデザイナーさんのインタビューでも、「デザイナーは儲かりません」で終わってるのは、むしろ良くない、悲しいことです。

そんな訳で、色んな人が色んな試みをやれば面白いと思うので、これを読まれた方も今までより少し外側に目を向けられてはどうでしょうか。