香港のボードゲーム事情の調査として、何店舗かプレイスペース巡りをしたので簡単にご紹介。
とはいえこんな雑居ビルの何階かに入っているお店、という感じでしか紹介出来ないので、正式な店舗紹介などはなしで、ザッと雰囲気だけ紹介という感じで。
ちなみにこのビルだけでプレイスペースが3店舗も入っています。
まず一店目。卓遊倶楽部さん。
プレイスペースの利用料金は最初の二時間は35HK$(約500円)、以後1時間ごとに10HK$(約150円)。
街のサイズがコンパクトなこともあり、値段はどのお店でもこのぐらいでした。
日本と比べてどうか?はご判断下さい。
ちなみに昔はよく指標として使われたマクドナルドのビッグマックは21.3HK$(308円)。地下鉄などの交通手段はやはら安いんですが、それ以外の物価は日本と同じぐらいかな、という感覚です。
次はFunCrazy。
「終日60HK$パック(約870円)」があるのが特徴。
台湾で出版された書籍も置いていました。
香港と台湾は繁体字同士だから、書籍が融通できるのはいいですね。
窓を大きく取ってあって、カップル向きという感じ。
大人気のようで、プレイスペースが拡張されていました。
「卓遊学習中心」とありますが、こちらはプレイスペースとイベントスペースを兼ね備えたような場所だそう。
中には大画面でTVゲームが出来るようにもなっていたり、ちょっといわゆるボードゲームの「プレイスペース」とは違う感じでした。
次は「Game On」。こちらは重たいゲームの専門店。
他のプレイスペースは私のゲームを知ってくれていたんですが、ここの店長は「誰?」という反応でした。すいません、軽いゲームしか作ってないもんで・・・
こんなに密集して大丈夫?
香港のプレイスペースは日本と違って「友達とお店に来て遊ぶ」スペースなので他にどんなお客が来るかはお店選びにはあまり関係ありません。
この点が日本のプレイスペースと違う所で、「他のお客さんがいないと遊べない」とか気にすることが無いんですね。だから小規模でもやっていけるんだと思います。
ではどうやって差別化するか。
そこで香港の「狭さ」が効いてきます。
物価の高い香港では、上記の特性もあって小規模なお店ばかりで、お店に置けるゲームも限られます。そこで、「軽いパーティゲームに強いお店」「重たい戦略ゲームに強いお店」といった品揃えで差別化する戦略が成り立ってくるわけです。
ちなみに、香港の人達は写真に撮られることを気にしないので、許可無く顔入りで写真を撮っていても全然気にしません。
だからプレイ写真を撮っても良かったんですが、あまりに気にされないので気が引けてしまって撮れませんでした。プレイスペースの写真がないのはそういう理由です。
また、店内はどこも狭く、カメラの画角が十分に撮れないという理由もあります。
(4人掛けの机3~4つ程度というお店が多い)
より特色のあるお店へ
ビルを変えて、こちらは「Maniac Workshop」
Maniacなんて名前が付いてますが、むしろ中は子供向けがメイン。
店長は保育士だそうで、副業としてプレイスペースをやる傍ら「子供の保育で使えるボードゲーム」のワークショップを行っているとか。
あ、なるほど。「『ボードゲームという』マニアックな趣味のワークショップ」なわけね。
同じ駅とはいえ少し離れるからか、店内は他のお店よりはかなり余裕がありました。
保育園向けと言うことで正面にHABAの黄色い箱が並んでいるのが特徴。
そして今回訪問した唯一の「パーティプレイス」であるParty Ideas。
(左が店長、右が私。私の制作ゲーム「陰陽賽」を持っての一枚です)
店長は日々の仕事の傍ら、ゲームイベントを行っているということですが、この店長、日本のゲームが大好きです。
分かりますかね?この棚。
「枯山水」とか話題になったゲームは分かるんですが、「じゃぱらん」も。
日本の地理をテーマにしてるのに、分かるのか?香港人。凄いな。
まぁ、窓際にガンダムとダルマが置いてて、日本のPS4ゲームが置いてるぐらいだから大丈夫、なのか?
土曜ということもあってか、店内は大盛況。
みんなでルールブックを読み合わせていたり、知らない人同士がプレイしている感じが我々のよく知る「プレイスペース」という感じです。
(香港ではこれを「パーティスペース」と言うそうです)
ちょうど時間が取れそうだったので、私もプレイさせて貰いました。
遊んだのは、KickStarterでゲーム化された「TORTUGA1667」。
5人でプレイしましたが、フランス側で圧勝!
遊んで頂いた方、ありがとうございました。
で、このプレイですが、全て英語で行いました。
カードもKickStarterでリリースされたところなので当然英語。
私以外はみんな広東語が母国語なのに、Mr. Walkerが英語で説明して、みんなそれをふんふんと聞くわけです。
これは大したもんだなぁと思います。
香港って、別に英語が話せなくても普通に生活できるんですが、趣味でストレスなく使える程度にそこいらの若者が英語を使いこなせるわけです。
ぶっちゃけた所、20年前の返還前の香港ではここまでみんなが英語を話せた感覚はないので、その点はこの20年の大きな変化だと感じました。
最後の一店は場所は変わって「銅鑼湾」。
「日本で言えば原宿」とは友人の談ですが、そんな良い場所か?ここ。
今までは九龍半島側、ここだけ香港島側と場所が大きく変わります。
とはいえ狭い香港のこと、移動時間は30分強?というところでしょうか。
私にとっては自分の住んでいた、思い出深い場所です。
そんな銅鑼湾にある、唯一のショップ(Mr. Walker談)が「CAPSTONE Boardgame」。
ゲームの販売数は香港随一。
逆に言えば他のお店の販売数はコレより小さいと考えてください。
(写真を撮っている背面にもう一面棚があります)
プレイスペース。
先にも書いたように、プレイスペースは「連れ立って行った人と遊ぶ場所」なので、私がウロウロしてもビックリするぐらい誰も気にしません。
そりゃ、喫茶店で他の人から話かけられるかも・・・とか考えませんもんね。
なんというか・・・そういう点でみんなの意識が違うから、雰囲気が違うんですよ。
上手く伝えられませんが。
そういえば、ここもボードゲームのセミナーをやっていました。
ザッとですが香港のショップ案内でした。
内容が駆け足ですが、実際もかなりバタバタした店舗訪問でした。
(なにせこれだけの店舗巡りを土曜の1時~6時で一気にやっているので)
日本と「プレイスペース」の営業スタイルが異なるので単純な比較は難しいのですが、コストの高い香港らしく、日本の感覚からしても狭い店舗が印象的でした。またセミナーやワークショップという言葉が頻出するあたり、普及にみんなが熱心である印象です。
これは、日本のゲームマーケットのようなイベントも少なく、同人文化も弱いため、店舗や小規模イベントで積極的に普及を促進していかなければならないからだと思われます。(Mr. Walkerも定期的に日本のボードゲームで遊ぶイベントを開催しています)
全体としてはボードゲームは日本よりも更にマイナーな感じで、ゲームとしては軽めのパーティゲームが受ける、というのがMr. Walkerの分析です。
また友人と連れ添って遊びに来るため、グループが分裂するのを好まず、10人で遊びに行けば「10人で遊べるゲームは無い?」といった問い合わせが多いとのこと。
まとめると「2~10人で遊べる軽いパーティゲーム」が理想ということで、アヴァロンやニムト、Dixitあたりが定番、というのもこの背景を聞けば納得ではあります。
確かにParty Ideasでは阿瓦隆(アヴァロン)が2つありました。相当使用頻度が高いんでしょう。
残念ながら市場として見た場合は美味しい感じはあまり受けない香港ですが、面白いと感じて頂ければ幸いです。