出張でアメリカに行ったのは5回目ですが、今回初めてお店を回る時間が出来ました。
いや、違うな。
正確には今までの宿が田舎過ぎて、徒歩圏内ではホテル併設のレストラン以外に食事する場所が無いというぐらいの場所だったので、何もすることがなかったという・・・
(余りに何もないので写真もない)
今回は同行者がアメリカ人で凄く優しい人だったので、「ボードゲームに興味があるんだけど」という話をしたら、近隣で回れるところを回ってくれた、という流れです。
本当に感謝です。
Walmart
言わずと知れた超巨大チェーン。
アメリカサイズの、スーパーマーケット。
外観はこんな感じ。
といっても実感が掴めないと思うので、遠景。
普通にトラックが止まっているのが分かると思います。(右中央)
日本の高速道路SAみたいに「トラック用駐車場」があるわけではなく、普通の駐車スペースにトラックが止まれるあたり、駐車スペース自体が日本より全然でかいと分かると思います。
まぁ、普通に走ってる車もPRIUSみたいな普通車じゃなくピックアップトラックな訳で。
中に入るとこんな感じ。
日本人からするとスペース感を消失する大きさ。
確かにここならゾンビが攻めてきても当分立てこもれるな・・・
その中で おもちゃスペースはこんな感じ。
写真の左端まで数十メートルずーっとおもちゃなので大きいんですが、店のサイズからすればごく一部。
更にその中でボードゲームはこの棚一つ。
日本の量販店でこれだけ棚スペースがあれば「十分扱いがある」という印象だけど、Walmartのサイズからしたら「ほとんど取り扱っていない」という印象でいいんじゃないかな。
同じ棚の奥側を拡大した写真。
カタンやラミーキューブも見えますが、ドイツの名作ゲームは少なく、ボードゲームの中でもアメリカ産のゲームがほとんどという感じ。
あとワード系のゲーム(スクラブル)や、パーティゲームが多い。
じっくり遊ぶドイツに比べ、皆で騒ぐアメリカという印象。
意外だったのがドミノ。
こちらで需要が大きいのか、これだけは充実していました。
買いたかったんだけど、デカくて重いんだよね。
持ち帰ることを考えるとちょっと厳しくて、断念。
一応仕事に来てますので・・・
ということでアメリカに来られた方はドミノを買って帰られることをオススメします。
ゲームショップ
同行していたアメリカ人がネットで調べだしてくれたお店。
「地域の評価No.1のゲーム店で、ボードゲームの扱いがあるお店」らしい。
そういうのがちょちょいとネットで探せる人で、助かった。
外観はこんな感じ。
反射で飛んでいますが。「Mtg /ミニチュアゲーム/ボードゲーム&コミック」とあります。
店舗の中はこんな感じ。
- 1/4 :カードゲームのデュエルスペース
- 1/4 :カードゲーム(ほぼマジック・ザ・ギャザリング一色)
- 1/4 :レトロテレビゲーム
- 1/8 :コミック
最後の1/8がボードゲームという店の造り。
お店の人に聞いても「ボードゲームを遊ぶ人はちゃんといるよ。週に一回はプレイ日があって、みんな集まってプレイする」とのことで、常設でデュエルスペースのあるカードゲームに比べれば全然シェアが小さいことが分かります。
意外だったのは「集まってプレイする」という話で、これ、ドイツじゃ見かけないです。
ボードゲームが既に普及し、各家庭で遊ぶドイツではプレイスペースという感覚がなく、普及しはじめのアジア圏ではプレイスペースが伸びているのは市場性の違いですが、アメリカは後者に入る事がこの一言からも分かります。
ゲームの数は少ないのですが、それもアメリカ産のゲームに偏っている感じ。
英語だから翻訳は簡単に手に入ると思うのですが、輸入してまで売るモチベーションは低いようです。
あと、こんなものがありました。意外。
講談社のロゴがあるから公式ですね。
ドイツの物も少ないのに、なんでよりによってこれが・・・?
人気がどうこうの前に、物流に載せる部分でかなり頑張ったんだと思います。ご苦労様です。
アメリカ事情
アメリカって国土も広けりゃ人口も多いし、「合衆国」なので州ごとに法律も違うし、そもそも「アメリカって国」で話すること自体が難しいです。
「近頃外国に行った?」
「行ったよ、テキサスに」
なんて会話をする人が居るぐらい、他の州が「外国」と思ってる人が居るし、アメリカから出たこと無い人も多い。
もちろん世界最大規模の市場なので、国内市場だけでほぼ何でも回るわけで、「全てがNo.1のアメリカが、安い物ならともかく、なんで外国から買わにゃいかんのだ?」という意識もあると思います。それは個人レベルの話だけでなく、流通や小売りの各レベルの会社であっても。
ドイツからのゲームが少ないのは、輸入実務や税金関係の面倒くささが、それを超えてまで取り扱おうという気にさせないのだろうなと感じました。その意味でも「進撃の巨人」が際立つわけです。
とはいえ、都心を出れば基本は田舎。
ちょっと道を渡るったってこんな広さで、道を歩く人なんて当然いないわけです。
こんなところなら、今でも自動運転は出来るでしょうね。
メシの選択肢はとりあえずステーキかハンバーグ。
ハンバーグはこういう形とサイズね。伝わってるかな?
いや、本当はもうちょっと選択肢があるんだろうけど、向こうの人が「あそこ行こうぜ」って言うと本当にまず「肉」なんですよね。毎日はキツい・・・
全体的には「ボードゲームは日本よりも流行っていない」という印象。
アメリカはとにかく国土も人口も消費意欲も大きい上、国が大きいのでそれぞれの人が交流出来ないこともしばしばです。
そうすると、他の国ではマイナーな趣味であっても、その尖った、ごく少数のマニアだけでも世界最大の市場を作ってしまったりします。
例えばテレビ番組で大会の中継をする「(スポーツとしての)バス釣り」、サバイバルゲーム、芝刈り機によるレース、等々、等々。
先の「流行ってる?」という質問に対して答えにくそうだったのも、アメリカではあまり「流行」という意識がないからだと思います。未だにアーミッシュ(伝統的スタイルで生活を続けるカトリック系の一派)がいるのも、そうした生活スタイルをしても変わりが干渉しないという個人主義、それが周りに迷惑を掛けないだけの十分な国土の広さがなせる物かと思います。
(もちろん最先端の音楽やファッション、映画などでは流行があるでしょうが)
世界最大のボードゲームのコミュニティサイト「BGG(BoardGameGeek)」がアメリカ発なのも、こうした事情を鑑みればさもありなんと思いますし、買い物に行く不便さを考えるとAmazonが発達した理由もよくわかります。
BGGがネット販売のBGG Storeに力を入れたがっているのも、BGGから販売への導線がeBayぐらいしか無い場合が多いからなんだろうなぁ。Amazonにあればいいけど、それがなければ「近所の専門店」はおそらく絶望的な品揃えだろうし。
また、最後になりますが今回の記事内容はアメリカでも田舎の地域をごく一部、二店舗回っただけの感覚で書いた物です。アメリカの人口はカリフォルニア・テキサスなど人口の多い上位の州でほとんどが占められていますし、更にその一部の都市で人口も消費もかなりのシェアが占められています。市場を語るのなら本来はその部分を確認しなければいけないのですが、その点に関しては今回は全くの未調査であることをあらかじめお断りしておきます。
他と違うなと思った物で言えばもう一つ。
本屋にマンガが本当に少ない。
そもそもマンガのコーナーも少ないんですが、とある書店では「Graphic Novels」となっていました。日本からは何故か東京喰種(トーキョーグール)1巻のみが販売。
本も印刷が日本ほど良くない割には高いんですよね。
これも単純にマンガを輸出するだけでなく、そもそも棚を作って貰うよう「文化」自体を育てなければいけない。アメリカとしては「そんなものが必要だと思っていない」と思われるわけで、それを勧めていくのは大変だろうなぁと人ごとながら思ってしまいました。