ゲームマーケットに出展しないので、カタログも手に入れてないんですが、
なんか今回は分厚いらしいですね。
ボードゲームはそもそも見て、理解するだけでも時間がかかるので、こうなると売れる売れない以前に、「知ってもらう」ことが大事になるでしょう。
Cygnusさんがこう仰ってますが、
お若い方、ゲムマで「その他」カテゴリーは良いぞ。まず出展者が圧倒的に少ないんじゃ。ライバルが少ないのは自分が活躍するチャンスなんじゃ。。ただしレーザーカッターはだめじゃ、その理由はわかるな…? https://t.co/0x6jx1SudM
— Cygnus T-13委託@GM春 (@Cygnus_games) 2017年4月19日
私も本当に賛成です。レーザーカッターは置いておいて。
というか、そもそもボードゲーム自体が「その他」なジャンルだったんですよね。
少なくとも私はそのつもりで参入したんですが、どんどんカテゴリが大きくなって、このままでは埋もれるばかり。
「和」をテーマにしたゲームを作り、即売会では着物や浴衣を着ているので、ある程度認知はされていると思っていますが、これだけたくさんが参入されるなら、「自分の売りは何か」は各自が立ち止まって考えておくと良いと思います。
そもそもモノを売るには様々なステップがあります。
(同人は「頒布」だって話は一旦置いておいて)
AIDMAとかいろんなフレームワークがありますが、私は「マインドフロー」で考えます。
モノが売れるには、この7つの段階がある、という考え方です。
- 認知
- 興味
- 行動
- 比較
- 購買←
- 利用
- 愛情
この中で「購買」は5段階目。
買った後で実際に使う(ゲームの場合は「遊ぶ」)のが6段階目。
それを気に入り、ファンになるのが7段階目、ということです。
買って積むのは5段階止まり、ということですね。
誰とは言いませんが、誰とは。
で、どこに力を入れるか、どうやるか等はマーケティングの話になりますが、たくさんのゲームがあるなら「比較」は避けて通れません。
(本当は各項目について一冊本が書けるレベルですが今回は省略)
「このゲームが面白い」だけでなく、「なんで他のゲームじゃダメなのか」を考えられれば良いと思います。
A+B+C+・・・
「大きくする」「小さくする」「組合わせる」「違う使い方を考える」・・・
発明などのアイデア発想法として「オズボーンのチェックリスト」ですが、私はその中でも「9.結合(くみあわせてみたらどうか?)」が好きです。
- 和風ゲームは世界にもたくさんあります。
- 日本のボードゲームデザイナーはたくさんいらっしゃいます。
- 日本語・英語で遊べるゲームはたくさんあります。
- 中国語で遊べるゲームはたくさんあります。
- カードゲームでない、コンポーネントに拘ったゲームはたくさんあります。
では、それを全部満たすゲームは?
「ペンとサイコロ」のゲームはこれをほとんど、あるいは全部満たします。
まずはそこからスタートです。
一つ一つはありきたりでも、それを組合わせるほど、それを全部満たすものは減っていきます。
「ターゲットを絞ると狭くならない?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、自分のやりたい事がボヤっとしていると、誰にも刺さりません。
それより「この人には刺さる!」とターゲットをはっきりした方が、確実によいモノが作れます。
ほら、シュージンも言ってたじゃないですか。
「20%のアンケートを取れれば、ジャンプでトップになれる」って。
私はゲーム業界にも、印刷業界にも居た事はないし、絵も描けません。
でもマーケティングの仕事をして、幼少期を海外で過ごして「外から見た日本」を知っている。この辺は自分のレアリティでしょう。
ほんの少し、小さい事でも良いので、「ここは人と違う」「ここは人に負けない」を見つけて、それを育てられれば、ゲームに限らず、良い物が作れるかと思います。
それはゲームのシステムや難易度、デザイン以外の部分かもしれません。
例えば「ペンとサイコロ」のゲームは最初から海外の方をターゲットにしています。
「和風」も、「海外で喜ばれる和風」を考えながら、日本でも受け入れられる和風を狙っています。
だからニンジャ・サムライでなく、「維新の志士」であり「妖怪」なわけです。
日本に興味がある人にとって、ニンジャは既に確立されたアイコンでしょうが、「維新の志士」は調べなければ分からないでしょうし、「妖怪」も海外の方が作ると、よほど詳しい方でないとニュアンスが決定的に違うモノができあがるでしょう。
こうしたモチーフを日本人が作るからこそ、海外の方には珍しく、だからこそ欲しいと思っていただけると思っています。
例えばゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド。
今回の祠などのモチーフは「縄文式土器」である、と開発陣が明言しています。
日本人にとって縄文式土器は共通言語ですが、意外に海外では知られていないと。
作る人間にとっての共通認識は完成度を高める役割をし、見る側にとって新しいものは新鮮な驚きを与えます。
実際に「縄文式土器」の検索数がアメリカで急増したそうです。
世界的大ヒット中のゼルダと比べるのはおこがましいにも程がありますが、「百怪夜行」における妖怪デザインはアマヤギ堂さんにほぼ一任し、ほとんど直しを入れる事はありませんでした。それでも私の望んだ以上のモノができあがったのは、私とアマヤギ堂さんの間に「妖怪」の共通認識があったからであり、逆に台湾では、すぐ「仕入れたい」と言っていただきました。
こうした考えに正解はありませんし、あくまでこれは一例です。
ゲームマーケットが盛り上がるのは良い事ですし、様々な考え方、スタンスがあって良いと思います。
ただ、既存のゲームシステムに絵を変えただけのゲームばかり増えるのはなんとももったいないので、いろんなアイデアの飛び交う場所になればいいなと思います。
なんにせよ、今回は出展しないので私は気楽なモノです。
自分が出す側になると、多かれ少なかれ、やっぱり周りはライバルですからね。
あんまり言わないようにしてますが、そりゃ「今回はこれが話題」とか、気にしますよ。
それでは今回のゲームマーケットの成功をお祈りします。
最後になりますが、既報の通り、拙作「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」の台湾バージョン「Crows over kill -三千世界の鴉を殺し-」がTBD(Tiawan Boardgame Design)ブースで販売となります。
こちらもよろしくお願いいたします。