ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム・3Dプリント作品・3DCG制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

今の電子書籍が、苦手です

神は死んでも紙は無くならないもので、未だに紙の本から抜けられません。

閑話休題(それはさておき)。

AmazonがKilndle Unlimitedをスタートして早々に対象の本を引き上げるという「異常な」措置に出た事が少し前に話題になりました。

nlab.itmedia.co.jp


原因は「原稿料の支払いすぎで大赤字になるから」。
とそれ自体はAmazonの制度設計と、日本の出版事情の理解不足から出た話ですが、
私が電子書籍に今ひとつ手を出せないでいる原因は二つあります。

  1. 本を「買った」ことにはならない
  2. 作者にいくら入るか不透明

本を買うとは何か

なんだか哲学的な話になりそうですが、ほとんどの電子書籍では
本を買うのではなく、「その書籍データへのアクセス権」を購入します。
たくさんのデータを読めるように、クラウド上にデータを保存し、そのデータへの自由なアクセス権を購入します。

 

そうすると一番問題なのは「そのサービスが終了した時」です。
すでにいくつか国内のサービスが終了して問題になっていますが、サービスが終了してアクセス先が無くなれば、その書籍は実質的に消滅するわけです。

 

赤松健さんの「マンガ図書館Z」は購入するとPDFデータをダウンロードでき、「実物としての本」を電子的に提供してくれます。

www.mangaz.com

もちろんサーバー側に個人認証データも残っているため、パソコンの破損などでデータが死んだ時には再度ダウンロードできる。
これが100%正解だと言うわけではありませんが、そこまでしないとデータを「所有する」ことにはならないんじゃないかと思ってしまうわけです。


作者にお金を落としたい

こんなもん言わなくても、と思う向きがあるのは承知で言いますが、やっぱり本を買って、そのお金がどこに行って欲しいかと言えばその作者です。
紙の書籍は著作物の再販制度(再販売価格維持制度)により定価が維持されているので
書店で買えばそのいくらか(6~12%?)が作者に入りますが、電子書籍になると気軽に「期間限定40%OFF」とかなるわけです。
販売価格がこんな下がってしまえば・・・
と心配になってしまうわけです。

 

ネットの時代の読書方法

音楽もゲームも映画も書籍も無料化が進み、デジタルデータに「なんでお金を払うの?」という感覚になっていくのは止められないと思います。

Amazon Primeビデオがあれば映画も見られるし、無料でマンガが読めるアプリが氾濫していれば、マンガを買う感覚も減っていくでしょう。

「他がやっているからうちも」

と追従しなければいけない事情は分かりますが、そうして業界全体で自らの首を絞めつつあるのは厳しい状況です。

 

「最初は無料、これ以上は有料」

というスタイルはすでに古くなりつつあり、時代はNetflicsやAmazon Primeなどに代表される「一定期間見放題(聞き放題・読み放題)」にトレンドが移行しつつあります。

最初はそのハードルが高いものの、プラットフォームとして魅力のあるコンテンツが
あれば顧客を囲い込めるため、プラットフォーム間の戦いである事がより鮮明化しています。

 

個人的にはプラットフォームに絡み取られるのが好きではないですし、「一定以上見なければ損」という状態もイヤです。

 

この状況を打破するアイデアは、前にも言ったのですが「従量課金」だと考えています。
簡単に言うと「そもそも所有するという考え方を無くす」ということです。
音楽・映画・ゲーム・書籍、どのジャンルでも良いですが、例えば音楽なら、一曲流すごとに課金します。
ただし、そのお金は少額にする。
例えば一回4円なら、そこまで目くじらを立てて怒る人も多くはないでしょう。
ただし、「所有」という考え方がないので、一回流すごとにお金が掛かります。
 10回流せば40円。
 100回聴けば400円。
気に入って何度も見て・聴くほどお金が掛かり、「作者にお金が入る」ことになります。
映画の場合は視聴時間ベースで課金してもいいかもしれません。

 

この考え方では少額の課金制度を構築する必要があり、何年か前では厳しかったと思いますが、スマホの決済を使うなどすれば、非常に少額でも決済が可能になってきました。
あるいはポイントによる決済なら、独立系の会社でもプラットフォームを構築できます。
DMM.comPlayStation Storeなどと同じ仕組み)

 

もう一つ、時代が追いついてきたと感じるのは「シェア文化」です。
昔のように大画面で映画を楽しんだり、物理的な本を貸し出すのに比べると、
デジタルデータのレンタルはむしろ以前より困難になっています。
つまり人に勧めるのが難しい。
いくらお勧めのマンガでも、「とりあえず2,000円払って読んで!」とはいいづらいでしょう。
しかし一回数円という少額なら「読んでみて」というハードルも低い。
むしろ面白いものなら、SNSで爆発的にヒットする可能性がある上、それがダイレクトに収益に繋がるわけです。
(もちろんそれを狙ったスパム的なコンテンツへの対策は必要でしょう)

 

実現しなければ価値はない

このアイデア、個人的には素晴らしいと思っていますが、残念ながら私にはそのスキルがありません。

Googleではいくら良いアイデアを提案しても、自分で作って提案しなければ価値を認められないそう。
実際にそうだと思います。
面白いと思う方がいらっしゃればぜひ実現してください。
私がローンチカスタマーにもなりますので、ぜひご連絡を!