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ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

「風立ちぬ」感想

思ったこと

風立ちぬ」が面白かった。

風立ちぬ [DVD]

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録画していたテレビ放映を見終わった。 

純愛の映画とか夢の映画とか言われるけど、結局「人生」の映画なんだと思う。

 

カプローニ伯爵から堀越二郎へ。

堀越二郎から宮崎駿へ。

そして宮崎駿庵野秀明へ。

人一人の生き様をバトンに後進が続く、そんな人類の営みが主軸に感じた。

 

映画は二郎少年の夢から始まり、成長した二郎の夢で終わる。

ことあるごとに思い出す幼少時代の夢。

自分にとってはそれを思い出させてくれる映画、だった。

 

思い返せば、自分にとってそれはナウシカであり、宮崎駿監督だったりする。

風の谷のナウシカ [DVD]
 

 中学二年の頃、映画のナウシカを見て、ナウシカの乗る飛行機「メーヴェ」に感銘を受けて工学を志した。これは以前にも書いたと思う。

風の谷のナウシカ 02 メーヴェとナウシカメーヴェ

高校の時には現国・古文・漢文の教師から「お前文系に来たら?」と言われ、苦手教科が数学だったにも関わらず工学部に拘ったのは、「飛行機を作りたい」という思いがあったからだ。

結果、飛行機造りにも、設計者にもなっていないが、精密機器の企画屋はその夢から大きくズレちゃいないと思っている。

 

ただ、自分でも今まで気付かなかったが、ナウシカを見てガンシップに憧れることは無かったし、「メーヴェに乗りたい」という気持ちもそれほど無かった。

FORMANIA ガンシップ風の谷のガンシップ

ナウシカに感銘を受けても「アニメを作りたい」とも「あんな作品を書きたい」とも思わなかったし、声優も俳優も志さなかった。

そう並べてみれば、やっぱり「物づくりがしたい」という指向はそもそもあったんだな、と今更ながら気付いた。

それも映画を見ていて、気付いたこと。

宮崎駿翁に道を示された気でいたけど、「その道は自分で選んだんだよ」と言われた気がした。

 

菜穂子さんとの関係は儚いが、病気の妻を持つ身には共感できる部分が多々ある。

自分も家族を置いて出張に行きたくないときはあるが、そうも言っていられない。

出張の時の荷物には、必ず娘の名前が入ったサイコロを持って行っている。

妻がイベントで見つけて、珍しいと買った物だ。

妻はそれを「旅行の時のお守り」としてプレゼントしてくれたが、自分としては家に残した家族の安全祈願のお守りだと思っている。

二郎は飛行試験で泊まり込みになると告げるとき、一瞬、ごくほんの一瞬言葉が詰まる。家を空けるリスクの分からない人ではないが、自分がいなければ進まない仕事もある。

古い時代だから。

会社がブラックだから。

そんな理由で全て片付けられるほど世の中は単純じゃ無い。

今の時代、結核には薬があるが、妻の躁鬱が改善することは当面の間、ないだろう。

妻が買い物先で倒れるリスクがあるからと言って、仕事を辞めるわけにもいかない。

過呼吸で倒れて食事の用意もできないかもしれないが、そのリスクのために出張を止めるわけにもいかない。

仕事がブラックなのとは違い、介護や家族の体調が悪いのは「日常」なのだ。ほどほど働いたところで根源的には解決しない。

史実はどうか知らないが、映画に出てくる人達は皆理解があるし気遣ってくれている。黒川氏なんかもう、家族ぐるみだ。

それでもどうにもならない。

だから堀越二郎を責めるのも無茶だし、時代が悪いわけでも、会社が悪いわけでもない。いつの時代にも、何処の場所にもある、当たり前の日常を描いただけだ。

理想通りに生活できることなんて、少ない。

その中でどう生きて、どう幸せになるか。

そういう話だからこそ、この作品で長編を引退すると言ったんじゃないだろうか。

 

と、なんだか後半グダグダになっちゃいましたが。

見てて色々思ったわけですよ。

だから、そう、結論は

「生きねば」

なんだよな、と。

 

映画は宮崎翁が庵野監督に無理矢理バトンを渡す作品だったんじゃないか、と勝手に思ってる。

老監督の最後の我が儘、という所だろうか。

随所の書き込み、効果音一つ取っても素晴らしい。

飛行機よりも、むしろ会社で始めて設計を始める瞬間の二郎の動きの見事さに寒気が走ったんだが、そういう物を「遺し」たかったんじゃないかと。

だから、この作品を見て、「ああ、宮崎駿は本当に長編を引退するつもりなんだな」と思った。

今までの作品の良さ、凄さとは違って、そういう覚悟のような物を感じた。

 

なんか久しぶりにボドゲでも、ビジネスでもない事を書いたな。

とにかく、面白かった。

また、何度か見直すのかな、これは。