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ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

ボードゲーム制作を行う「ペンとサイコロ」のブログです。公式サイトはこちら→http://penanddice.webcrow.jp/

二月の読書日記

もう三月も終わりですが二月の読書日記。
ブログを全く違った方向で再開しようとしていたのですが、なかなか踏ん切りが付かず。
一つには準備に時間が取れないことと、一つにはあまりに方向性が違うためにそれで良いのかという迷いが。
とはいえ一年間もブログを休止していれば以前の内容など関係ないのですが。


2014年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3027ページ
ナイス数:30ナイス

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)感想
塩野七生さんのチェーザレ・ボルジア愛が余すところなくだばだばと溢れ出で漏れ出す一冊。 史実に徹底に正確に、丁寧にチェーザレを描き、しかし迸る異国の偉人への愛を生暖かく見守るのが正しい楽しみ方かと。 まぁ、冷静に考えりゃこの人、明らかにサイコパスだよね、と思うけど。 それにしても殺すに殺せない、攻めるに攻められないとか、裏切りと計略がはびこる当時のギリギリの常識・良識が分かると更に面白く楽しめたかな、というのが口惜しい。
読了日:2月27日 著者:塩野七生
鬼灯の冷徹(13) (モーニングKC)鬼灯の冷徹(13) (モーニングKC)感想
この巻数を重ねているギャグマンガでまだ面白くなるのは凄いな。 新キャラ荼枳尼天が男性諸君大喜びな造詣は良いとして、個人的に好きなのは座敷童子の回。 あの表情は大ゴマ使うわ。 そして娘(5歳)のヒットは紅葉する金魚草。早速「やきいも〜」とだみ声で叫んでいた。怖ぇ!
読了日:2月22日 著者:江口夏実
山月記・李陵 (集英社文庫)山月記・李陵 (集英社文庫)感想
まとめて読んでみると、山月記木乃伊・文字禍・名人伝まではちょいとした怪奇譚で、クトゥルフ的。個人的には大好きだけど。こっちを突き詰めりゃそれはそれで良い作家になったんではなかろうか。 弟子・李陵はゴリゴリと来る硬派作品。中島敦としての完成形はこちら。 解説で言う「硬文学」「ますらおの文学」であり、「括約筋」の入った文章。重い。読みにくい。でも目が離せない。 そして読むだに、この作家が三十三でなくなったというのが何故か必然であったかのように感じられる。
読了日:2月21日 著者:中島敦
猫を抱いて象と泳ぐ猫を抱いて象と泳ぐ感想
純文学なのか、ファンタジーなのか、ジャンルすらもよく分からないけど面白かった。 ストーリーのディテールが破綻していることは気にも留めないのに、描写のディテールは丁寧。 話が進んでいないのかと思わせて、ピースがしっかりと填め込まれていく。 本質を際立たせるために、登場人物はどれも不格好で、偏っていて、誰も本名を持たない。何もかもが噛み合っていないようで、全てが収まるべき所に収まっていく。この人が作品で言いたかったこと自身が、作中で言われる「美しいチェス」そのものなんだと思った。よくこんなの書けるなぁ。凄い。
読了日:2月20日 著者:小川洋子
ICO-霧の城-(下) (講談社文庫)ICO-霧の城-(下) (講談社文庫)感想
後半はゲームから離れて独自の展開、だけど詰め込み過ぎ感は否めないか。 それにしても難しすぎず、簡単すぎずと言うバランスは流石流行作家という感じ。うまいなぁ。 上巻はゲームに近く、下巻はオリジナル要素が強い、という構成はゲームやってる人向けという感じ。ゲームやってない人の評価が低いのは仕方ない気も。ゲームに寄るならもっと会話を少なく、手を引く描写を強く書いて欲しいところだけど、そうすると地味だしね。
読了日:2月14日 著者:宮部みゆき
ICO-霧の城-(上) (講談社文庫)ICO-霧の城-(上) (講談社文庫)感想
上巻の感想。 原作の踏襲具合が素晴らしい。 特にイコが城に向かう部分。淡々とした雰囲気が原作を彷彿とさせてうまい。 原作通りに書くだけなら難しくないだろうけど、あの作品は基本会話がないので、小説にすると空っぽになってしまう。 その処理や話の広げ方には感心した。よくもこれだけ原作を潰さずに形にできるもんだ。 原作も大分やりこんでるなあと思われる描写も多数。二週目の裏モードとかね。逆に言えば原作を知らなきゃなんのこっちゃという作品かもしれない。先に原作を、というタイプの一作。
読了日:2月13日 著者:宮部みゆき
イタリア遺聞 (新潮文庫)イタリア遺聞 (新潮文庫)感想
長編より短編やエッセイの方が面白いという変わった作家、塩野七生さんのエッセイ集。 別に貶している訳じゃなく、「事実」に拘りすぎるまじめな姿勢が、歴史小説では叙情的な部分を「こうであると思われる」と一々注釈を付けさせるためだ。 エッセイではそういった制約もなく、塩野節がのびのびと炸裂するので読んでいて痛快極まりない。 それにしてもこの人の性格や書くスタイルは妙に自分と似ている気がする、と親近感を感じたのは何故だろうか。 個人的にはダヴィンチへの熱い思いをぶちまけた最終章が好き。「勝てない人」は居るモンだよな
読了日:2月12日 著者:塩野七生
冥談 (幽BOOKS)冥談 (幽BOOKS)感想
素晴らしいな。 国語力の問題で理解し切れてないなという作品がいくつかあったけど、ともかく文章が素晴らしい。 どれも凄いが、個人的には「予感」が好き。 このレベルになるともう、細かい書評とかは蛇足にしかなりませんな。
読了日:2月9日 著者:京極夏彦
火の島 (新潮文庫 に 2-8)火の島 (新潮文庫 に 2-8)感想
一貫したテーマは「科学」と「恐怖」からの「狂気」。 どの作品もものすごく面白かった。 火の島の会話文なんて、どうも硬い感じもするんだけど、そんな枝葉末節がどうでも良くなるほどの恐怖がロジカルにゴリゴリと迫ってくる。 科学と観察を積み上げることが小説に於いても力を持つことを認識させてくれる名作。
読了日:2月7日 著者:新田次郎
図説 フランスの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)図説 フランスの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)感想
フランスが大陸の中にあって早くから王政を引いて国体を守れた理由の一つは「ローマを目指さなかった」からかな、と思った。 日本なら「京を目指さない戦国大名」かな。島津家が九州統一した感じ。 だから「フランス王」が国体そのものとなり、国は分裂せずとも内戦ばかり。この構図は日本に近いかな。 それにしても、革命後の王政と共和制の優柔不断さ、ストとクーデターの多さはなんだ?クーデターの鎮圧で1万人死亡ってそれ、立派な内戦だよね? まだまだ国の体制がひっくり返りそうな匂いのする国だとよく分かった。
読了日:2月5日 著者:佐々木真
女王陛下は海賊だった: 私掠で戦ったイギリス (MINERVA歴史・文化ライブラリー)女王陛下は海賊だった: 私掠で戦ったイギリス (MINERVA歴史・文化ライブラリー)感想
十六世紀後半の英国の「私掠(しりゃく)」についての一冊。 「半ば公認」の海賊行為、私掠が国家単位で行われたのは、弱小国イギリスが安価に大国スペインと闘うためだった。違法行為を公認化するという図式は常備軍を持たず、宣戦を布告せずに戦争するという奇妙な国際秩序を生み出す。しかし民兵の掠奪は国の威信低下と、賄賂・横流しの横行に繋がる。 面白いのは無秩序な掠奪が結果としてイギリスを優位に導いたこと、低下した女王の地位が、むしろその簒奪の意欲を削いだように見えること。 こんな国のトップは大変だ。
読了日:2月2日 著者:櫻井正一郎

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