僕らはマニア化していないか?同人ボドゲの近況
ゲームマーケット2014秋(東京ビックサイト)に参加しました。
参加された皆様、お疲れ様でした。
写真は準備中のもの。始まったらバタバタで撮る余裕もありませんでした。
来場者は7200人(公式発表)だそうです。へぇ。
会場として盛況だったと思うので、良い話で終われたら良かったんですが、気になったのはこのツイート。
この間のゲームマーケットの時も春の時も思ったんだけどゲームマーケットのパンフレット見ても何が売ってるか分からないし、スペース行ってもパッと見じゃ分からないから何のゲームかよく分からないし、試遊台はどこで何やってんだか分からないし人集り凄くてよく分からない。あの即売会は濃すぎる。
— 【邪神】蘭鋳@冬2日目東セ47a (@rantyu_xx) 2014, 11月 19
説明聞いてても他のボードゲーム知ってる前提で話されるから分からない。ゲームマーケット来るくらいだから知ってて当然なのかしら?○○みたいなゲームに近いですって云われても分からない。
— 【邪神】蘭鋳@冬2日目東セ47a (@rantyu_xx) 2014, 11月 19
自分含め、出展するような人はみんなボドゲが好きなわけで、複数のゲームを知っているわけです。
ゲムマでの試遊卓の風景
もちろん入場料を払ってまでやってくる人達も、それだけの意思と情熱があるのだから多くはボドゲに詳しいわけです。
でも。
でも、「そうじゃない人」も絶対にいるわけです。
こんなツイートもありました。
仕事柄、メディアのお偉いさんと打ち合わせをする機会が多いのだが、お互いの趣味の話題になるとボードゲームとは何かから説明しないといけないことに。 私のTLの9割がボードゲームの話題で埋め尽くされてるので麻痺しているが、ボードゲームの認知度はまだまだなんだとその度に痛感する。
— 紗羅(JSS) (@JSS_sa_ra) 2014, 11月 20
この感覚は非常に大事だと思います。
ボドゲをやっている人の多くが言うのは、
「ボドゲがもっと広まればいいのに」
「一度やれば面白さが分かるのに」
実際そうだと思います。
複雑なハードの要らないボドゲは、子供から高齢者まで一緒に遊べる可能性がある。
でも、それはあくまで「可能性」の話で、それを伸ばすも殺すも今ボドゲを遊んでいる先達である我々なんだろうと。
ゲーム作者として尊敬するちゃがちゃがゲームズのかわぐちさんはこう仰ってました。
職場で新しい仕事の引継ぎをうけてますが、これってボドゲのインストと一緒だなあとおもいます。いきなり手順を話されてもチンぷんかんぷん。全体イメージを話してもらって、「じゃあ次にこの部分をこまかくいうよ」としてもらえるとたすかる
— かわぐち(ちゃがちゃがゲームズ@福井) (@guchi_fukui) 2014, 11月 18
そう思うと、ボドゲのインストをたくさん実施しているボドゲユーザーは、きっと「説明能力」っていうのがめっちゃ磨かれているとおもいます。
— かわぐち(ちゃがちゃがゲームズ@福井) (@guchi_fukui) 2014, 11月 18
「インスト」というのは「インストールインストラクション」の略で、ボドゲ界隈では「ゲームのルール説明」ということです。
こういう業界用語を使う辺りが新規参入者への障壁になっているんだろうけど。
「どうしろ」というつもりは無いです。
ただ、段々と慣れてくるほどにこうした「普通」の感覚から離れるのはどんなジャンルについてもあることで、それが新規参入を阻む要因になるのは気をつけなければいけないようなぁと。
ボドゲ同人界隈の現状について
ボドゲの人口は増えているそうで、ゲームマーケットでの新作発表数も年を追って増加傾向だそうです。
今回ゲームマーケットに参加して思ったのは、「優勝劣敗」が明確に鳴り始めているのかな、ということ。
元々ボドゲは同人誌と違い、面白さの見極めに時間が掛かります。(1プレイに時間が掛かるため)
そのため、新作数が200を超える現在の状況では、全てのブースをしっかり見て回ることは困難で、自然と情報のあるところを回るようになるのかと思います。
「同人誌で年収何百万、何千万」という話は市場の拡大で聞くようになりましたが、その周辺にはほとんど売れない同人誌が大量に生産されているわけです。
これは市場の拡大で必然的に発生することで、情報が多くなると自然に二極化が発生しやすくなります。
これが商業主義・マーケティング・分析と連携するとその差はもっと極端で、音楽業界では上位1%の曲が売り上げの77%を占める状況だそう。
ビッグデータが音楽を殺す? 1%のスターが楽曲売上の77%を独占 : ギズモード・ジャパン
だから、トップアーティストが「配信だけになっても食っていける」と言ったとしても、新人アーティストがそれを夢見ちゃいかんという事になるわけです。
ボドゲの市場はまさにその優勝劣敗の加速が始まりつつあるのかもしれません。
私は行けなかったので伝聞なのですが、「北陸ボドゲフリマ」はその辺の仕掛けが素晴らしかったそうです。
例えば「午前中は販売禁止」。
午前中は試遊だけにして、色んなゲームに触れて頂くことをメインにする。
また、参加されたサークルでも「複数購入は2個まで」など、「裾野を広げる」ことに注力されている様が伺えました。
「ボドゲ市場を盛り上げる」というのは簡単ですが、
- プレイヤーの裾野を広げる
- ヘビーユーザーにもっと買って貰う
- 新規制作者でも売れる仕組みを作る
それぞれは似ているようで、実際に取るアプローチが微妙に異なります。
(例えばスマホのソシャゲはほとんどが明確に「2」の戦略です)
どうしろ、というわけではないです。
嬉しいのは、別々のアプローチを取るイベントが日本の中で複数存在していること。
私のような弱小ボドゲ制作者はそれを見て選ぶことができます。
だからイベントを主催される方には、「こうなって欲しい」と明確に打ち出して頂けると、参加する側としてもよりよくサポートができるのかなと思います。
あくまで「同人」な訳で、お客様では無く参加し、盛り上げる一員でなければいけないと思うので。
宣伝
最後に宣伝です。
「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」の委託販売が決定しました。
『三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい』入荷いたしました! pic.twitter.com/Vh0x5niw55
— Role&Roll Station秋葉原 (@R_R_station) 2014, 11月 17
東京、大阪各一店舗です。
キウィゲームズには来週並べて頂けるかと思います。
また、試遊頂ける所も増えていますので、改めて列挙させて頂きます。
・ボードゲームカフェ渋谷:東京・渋谷