ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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たいせつなことは、どうぶつのもりでまなんだ

嫁がどうぶつの森がやりたい」Nintendo 3DSを買って以来、ハマっている。
嫁が楽しそうにやっているのを見て5才の娘も一緒にやり出した。
「とびだせ どうぶつの森は、言わずとしれた任天堂の大ヒットソフト。
とびだせ どうぶつの森
5歳児には難しいかと、最初は嫁のアカウントでミニゲームや作業をさせていたが、
「自分でもやりたい」と言うのでアカウントを作ってやった。

5歳児でも分かる作り

どうぶつの森は、スマホをよく使うであろう若い女性層に受けていることが
任天堂の岩田社長の分析で出ている。

・リンク → 任天堂・岩田社長が語る“本当の”ソーシャルゲーム :日本経済新聞
今までのゲームプレーヤーと明らかに比率が異なるので、
操作性やゲームの作りは非常にわかりやすくしているのは分かる。
でも、二十歳を過ぎた大人がやるゲームと、5歳児がやるゲームは違う。


うちの娘は2歳ぐらいからタブレットスマホで遊んでいるし、
3才頃にはPlay Station3 → torne を起動して自分の好きな番組を見つけて再生する
生粋のデジタル世代なので、操作はあまり不安視していなかった。
ワイヤレスコントローラ (DUALSHOCK3) ディープ・レッド
でも、そういった機器を使わせて分かったのは、
大人が当たり前に使う「アイコン」「説明」が子供には難しいということ。
いくら絵柄が可愛い「子供向け」をうたったソフトでも、
「TOP」や「TITLE」で戻る操作だったり、「!」で出る説明に漢字があると意味がない。
子供用ソフトのキモは「いかに知識の無い子供が直感的に使えるか」にあるのがよく分かった。


そんな5歳児が、どうぶつの森は何の説明も無しに普通に遊んでいる。
道具も使いこなすし、配達もできる。
お金や数字がよく分かっていないので、「雑貨屋に売る」が
今ひとつ理解できないが、これはうちの娘の問題。

とにかくこれって、凄いことだと思う。
大人が楽しめて、5歳児も楽しめるゲーム。任天堂って、本当に凄いんだな。

どうぶつの森で、しつけを学ぶ

「親が言っても聞かないのに、人に言われたらちゃんと聞く」
というのは子育てでは良くあるけど、
どうぶつの森の「仮想の人付き合い」も結構そういう状態になっている。


手紙の配達を頼まれて、途中で読んだら「読んじゃったんだ・・・」と悲しい顔をされる。
これが娘には相当ショックだったらしい。
親に怒られても、何分かしたら涼しい顔をしている娘が、
「ごめんなさい」コマンドがないどうぶつの森では、謝ろうと必死になる。
「〜をしたら悪いこと」「悪いことをしたら嫌われる」
これを明確に見せつけるゲーム、これはなかなか良い。
今では必死のコンタクトとプレゼント攻勢もあって仲直りできたらしい。
むしろことあるごとに「ジュペッティさんがね・・」とその羊を気にするので、
飼い慣らされているのは娘の方という気もするが。


ゲームなので、決まったルーチンをこなさないと絶対にステップアップできない。
どうぶつの森ではその差は、家の家具や部屋の広さで明確に出る。
これは親がサポートできない(できてもやらない)ので、
「泣いてもどうにもならない」「頑張ってじぶんで何とかする」ことを理解している。
子供って3才ぐらいまでは何でもできると思っていて、徐々にできないことを知るって話を
以前聞いたけど、ゲームは指標が明確だからできないことを知るにはちょうど良い。
家族でボードゲームとかやると負けて大泣きするんだけど、
ゲーム機じゃ泣いても意味がないのが分かるみたいで、静かなのは親にはありがたい。

どうぶつの森で、勉強する

自分が小学校の時も、学校の勉強はろくにしないクセに、ファミコンの裏技とか
ドラクエの敵のパラメータとかは異常に覚えていた記憶があるけど、
あれって今何かの役に立っているんだろうか・・・
とにかく興味があることについては勉強するというのは子供から大人まで変わらない。


嫁はゲームを進めるにあたり、鈍器にしか見えない分厚い攻略本を買ってきたが、
嫁が読んでいるのを見て子供も読み始めた。
とびだせ どうぶつの森 ザ・コンプリートガイド
(↑厚さはちょうど単三電池並み)
さすがに五歳児に辞書のような攻略本は難しかろうと思って放置していたが、
「あ、今日日曜日だ。カブ買わないと!」
とか言い出したのは驚いた。
「お母さんに教えてもらったの?」と聞いたら、「ううん、本に書いてあった」と。
スゲェな、五歳児。
親が必死に「本を読みましょうね」と勧めるより、読書の習慣を付けるにはよほど良いな。
まぁ、アレを読書というかはともかくとして。

マイクロソーシャルゲーム

どうぶつの森はデザインした服をあげたり、人の村に行ける、ソーシャルゲームだ」
というのは任天堂社長のお言葉。
大人にとってはそういう楽しみ方ももちろんあるが、さすがに子供にそんな世界はない。
でも、ソーシャルゲームが「人との繋がりを楽しむゲーム」というなら、
我が家の使い方は究極のソーシャルゲームだ。
嫁と子供は一台のゲームを同じレベルで奪い合い、
お互いに手紙を出し合って、アイテムを交換している。

というか「お母さんが大事に育てた黒いバラ、どこやったの!」
と子供と同じレベルで怒ってるんだが。
いや、楽しそうだから良いけどさ。
(ちなみにこの花は「黒いお花が怖いから取った」だそう。これは怒るに怒れないわな)

箱庭療法」としてのどうぶつの森

何度も言っているが、嫁は精神疾患だ。
とりあえずはやれることをやってストレスをためないことが一番なんだが、
一日寝込んで、何もできないことが多いので、それも難しい。
どうぶつの森」はゲームとして気に入ってやっているが、嫁に言わせれば
「やったことが形になる達成感は、精神にも良さそう。箱庭療法みたいなもんかな」とのこと。


達成感には単純作業をこなすということの他に、「約束を守れる」というのがある。
どうぶつの森」は時間に厳しい。
人との約束には決まった時間に決まった場所に行かなければいけないし、
夜には店が閉まるし、特定の日にしか出ないお店もある。
精神疾患では「先の予定を入れる」というのが良い場合が多いが、
自分にストレスのかからない予定をたくさん入れて、それをこなす達成感を味わえるというのは
精神疾患ではなかなか味わえないことなので、良いらしい。


あとは何より、子供とのコミュニケーション。

普通に子供と遊んでいても、ふとしたことで子供が大声で泣きわめいたりすると、
パニックになってしまう。
過呼吸になったり、嫁が大声で叫んだり、結果として寝込んでしまう。
神経か過敏なので単純に大きな音も苦手だし、
子供が泣くのを「自分が悪い」と思ってしまう精神状態だからだ。
どうぶつの森では、基本的にそれがない。
子供はゲームという「作られた世界」では、自分が泣いても意味がないことが分かっているらしい。
また「どうぶつの森」というゲーム自体はそれほど「成功」や「失敗」というシビアなものがなく、
じっくりやっていけば達成できる作りらしいので、それもかんしゃくを起こさない理由みたい。

どうぶつの森」に見た、ゲームの未来

これだけ「どうぶつの森」を賛美したが、自分自身は嫁に誘われて触ったぐらいで、ハマッていない。
任天堂信者でもないし、3DSの3D機能は大失敗だと思っている。
ただ、子供や精神疾患患者に「どうぶつの森」は良いソフトだと素直に思う。
これを「女子供のゲーム」とかろくな分析もせずに言ってると、足下掬われるぞと。


どうせ100人が100人楽しめるゲームなんて無いし、不要でしょ。
娯楽商品なんて、楽しむ人がきちんと楽しめれば、それでいい。
実際、囲碁が楽しめる人なんて全人口から見ればごく少数だけど、プロもいて市場もある。
どうぶつの森は幅広い世代、ユーザーに受けた巨大ヒットソフトだが、
ミクロに見れば、今までと違う、どんな層を取り込んだかの分析は凄く重要だと思う。
高齢者・自閉症向けにぬいぐるみロボットが作られているが、
特に精神疾患の患者向けには、医療用ソフトなんて未来もあるかもしれない。

Paro / happysteve

・リンク → http://paro.jp/
(実際に軍事訓練用、PTSD対策用ゲームソフトはそれぞれ実用化されている)
「高齢者向けゲーム」が記事になっていたが、こんな今までにないゲームの形を作って、
世界に広げられれば、ユーザーも楽しいし、メーカーの未来もまだまだ夢があるよね。
・リンク → http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013010802000091.html
というか、そんなゲームが増えて、嫁が気楽に遊べるものが増えてくれたらいいなぁ。