ペンとサイコロ -pen and dice- BLOG

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ネットスーパーに足りない、敷居の低さ

カバンの肩紐の金具が、度重なる出張で壊れた。
さて、どこで買えば良いのか。
結局大阪に出る用事があったついでに東急ハンズで買ったが、
こういう「どこで買えば良いか分からないもの」とか「棚を見て思わず買う」っていうのは、
やっぱり店舗に行く魅力だよなぁと、個人的には思う。

東急ハンズ / shibainu


Amazonのレコメンド等のシステムはどんどん発展してほしいけど、
現状のネットスーパーを利用していて、便利さは感じない。
やっぱり、店舗が何十年かけて設計してきた「ぱっと見せる」作りは良くできていると思う。

Supermarket / yumtan

個人的にはネットスーパーが普及して、うちの嫁のような病人や、
祖母のような歩くのが大変な老人も、家で気軽に買い物できれば便利だと思う。
そんな老人でも使えるネットスーパーって、夢の夢なんだろうか。

ネットスーパーは儲からないのか?

ネットスーパーは既存の店で「ついで」でやると事業的に難しいと言われる。
そりゃそうだ。
顧客が自分で来店し、袋詰めをしてくれる実店舗で、今のスーパーはギリギリの利益率でやっている。
そんな店舗の中で、店員が陳列された商品をわざわざ集め直して、配達までするシステムが儲かるわけが無い。
今後は物流倉庫で直接ピッキング・梱包を行い、配達する
「ネット専業スーパー」が出てきて市場を取りに行くだろうし、今いくつかは建設されている。
その時にネットスーパーは既存の店舗に変わる、「儲かるビジネス」になり得るのだろう。


ではネットスーパーの注文システムはどうか。
現状のネットスーパーは、普通のネットショップと同じような作りになっている。
もちろんそれも良いが、ネットで買い物をしたことの無い高齢者層には、現状の仕組みは辛い。
第一ネットショップは「同じ物をなんども続けて、定期的に購入する」という
実際のスーパーの購入形態に合っているとは、あまり思わない。
そこでネットスーパーに適した、かつ高齢者にも優しいシステムを考えた。


例えば倉庫内に店舗(陳列された棚)を作り、そこでリモコン+カメラを入れて、
あたかも買い物しているようにネット経由でカメラを操作して貰うのはどうだろう。

RoboBoriss / DoNotLick

(写真ではモニタがあるが、モニタは不要。移動はレールにすれば安く作れる気がする)
店舗にはお客様は入らず、あくまでディスプレイ用。
店舗内はこのリモコンカメラだけが何台もうろうろする。
顧客はネット経由で画面を見て、好きな物を画面上でタッチすると、それが買い物カゴに入る。
買い物カゴは仮想的な物なので、店舗の棚は補充しなくて良い。
これなら店舗は小さくて良いし、補充も不要、冷暖房も不要、照明も暗めで良いので安く作れる。
物流倉庫の片隅に、こういったディスプレイスペースを作り、それで買い物をしてもらうのはどうだろう。
操作が高齢者にも優しくさえなっていれば、今までのネットスーパーに比べればかなり直感的だと思うんだが。


もちろん操作はパソコンでは難しいので、専用端末を用意して、希望者に購入して貰う。
(無料で配っても良い)
NintendoDS等を専用端末代わりに使えるのなら、それでも良い。
WiiU、触ったこと無いけど、この専用端末としては良いかもしれない。
Wii U ベーシックセット (WUP-S-WAAA)

ネットスーパーに「リアルさ」は必要か?

「なんでネットなのにわざわざ実店舗まで作るの?」と言われそうだが、
冗長で無駄に見えても「今までと同じ感覚でできる」というのは凄く大事だと思う。
「ネットなんだからパソコンの画面とマウスには慣れて貰わないと」
というのは作る側の理論でしかない。

Using Keyboard And Mouse B-Roll Stock Footage / Dave Dugdale

ネットスーパーの利用者はネットに慣れている人達から始まっていると思うが、
「スーパーの開いている時間に買い物に行けない」という人だけではなく、
スーパーまで行けない買い物難民に光を当てなければ、本当の普及は難しいし、
社会的意義としても、事業を続けるには避けては通れない所だと思う。
その意味でも、「パソコンを知らないおばあちゃんでも使えるネットスーパー」
目指さなければいけないと思っている。
ここに挙げたのは、この命題に対する自分なりのアイデアだ。


中国のネットショップでは、ネットショップの機能として「チャットによる問い合わせ」が必須だと聞く。

The Ultimate Bluetooth Help Guide / digitaljournal.com

ネットではなかなか商品の特徴が伝わりにくいだけで無く、
中国だから偽物があったり、見た目以上に大きな品質の差が隠れていたりする。
そういった意味合いもあってか、疑問に思ったことがなんでもすぐに確認できる音声チャットが
非常に重要だとのこと。
ネットだからとシステム的に効率を求めるのでは無く、必要なところには人を使ったサポート体制を設ける。
この点では、中国の方がネットショップの本質に近い気がする。


日本でネットスーパーは話題になってはいるが、本格的な普及はあと数年先、
巨額の投資をする企業が二〜三社参入し、競争が出てきてからだと思う。
この手のネットスーパーには巨額の投資が必要なので中小企業の参入が難しいと言われる。
でも参入するのなら、その母体は「スーパーマーケットの会社」である必要は無い。
食品の配達に慣れているピザ屋でも良いし、

What's your delivery capability? / Lars Plougmann

配送のプロである物流会社でも良い。
もちろん、ネットで野菜を販売している「らでぃっしゅぼーや」なども相性が良いだろうし、
端末を一番の差別化とするならPanasonic任天堂が参入したって構わない。
購入や端末の通信に関わる特殊なプランを提案するなら、ネットプロバイダやNTT等の
通信会社でも良いかもしれない。
とにかく、アタマを柔らかくして考えてみれば、ネットスーパーの黎明期って、
結構、大手企業の新規事業としては面白い領域なのでは?とも思ったりする。
少なくとも「電子ノート」とか「タブレットになる電話の子機」よりは事業として面白いと思うが。