年賀状は電子化できるか
今年、というか来年も多分年賀状は送りませんので
皆々様におかれましては来年もよろしくお願いします。
年賀状 #shoot1230 / chidorian
準備だけならすぐにできるけど、
(壊れたプリンタを買い換えなきゃいかんという話はあるとして)
どうせ送るならそれなりに凝った物にしないと自分が許せないんだよなぁ。
しかも親戚一同と友人関係と、両方に向けてのネタとなると・・・
もうそう考えただけで色々ハードルが高い。
印刷する写真の市場が減少して、町の写真屋さんが困っている現在においても、
減少傾向とは言え年賀状は平成24年向けで36億枚以上と結構な数が出ている。
ちなみにピークは平成15年(2003年)の44.6億枚と意外に最近。
ネットの普及で減少傾向の年賀状だけど、そもそも枚数が増えたのは
個人の家庭にワープロが普及したから、というのはちょっと皮肉で面白い。
写真を印刷するのは
「印刷する写真の市場」も似たような傾向にあって、
技術の進歩による低価格化、特に「写ルンです」で気軽に写真が撮れるようになったことで
写真の枚数は増えたけど、更に気軽に撮れるようになったデジカメの普及で、
今度は印刷しなくなったというのはなかなか皮肉な話だと思う。
今どき写真を送ることの価値は極端に低下していて、
携帯やスマートフォンで写真を撮るのは日常だから、
入学式や成人式のセレモニーも、街の看板も時刻表も同列に並んでしまう。
この「大事な写真」の付加価値を高めることには十分な市場がある。
最高級写真という市場
実際に「高価な写真」という市場は「スタジオアリス」をはじめとする
写真スタジオが成長していることから注目されていることが分かる。
「高いお金を払ってでも、特別な写真は特別な形で残したい」
という市場はしっかりとある、ということだ。
特別な写真には写真を撮るという技術だけでなく、
雰囲気や背景から、印刷された物の装丁までこだわりたい。
そうして一枚何千円、何万円という写真が作られていく。
この手の市場はまず高級品から入るのが王道。
このあと、新規参入で低価格化が進み、既存のスタジオアリスなどは
さらなる高級市場へ進まざるを得なくなるんだろうけど、それはまた先の話。
新規参入組の低価格案としては、既存とは違う路線を打ち出すとやりやすい。
例えば、台湾で複数のスタジオがあるという「衣装付き撮影スタジオ」は
その「ローコスト路線」にちょうどマッチすると思う。
「コスプレ撮影スタジオ」なんて言われるけど、
日本の、漫画などのキャラクターを真似した、趣味のコスプレとはまた違う。
台湾と日本は距離も文化も近いし、輸入は簡単そうなんだけどまだ入ってこない。
結構、穴の市場だと思いますよ、こういうのやりたい方。
中間層の写真という空白市場
今、この「最高級の写真」とケータイによる「無料の写真」の間に挟まれた
「今までの写真」の市場は空白領域になっている気がする。
年賀状が生き残っているのも正にそれで、
「写真ならデータを送れば良いけど、少し重み付けをしたい」
というニーズに年賀状の50円(+印刷代)という「重さ」が凄くマッチしていると思う。
2013年賀状作成中…ぺたぺた。 / gleam_df
NTTや郵便局は、今となってはそうした「重み付け」のために役立っている気がする。
メッセージなんて今どき電話一本でも良いし、LINEをはじめとするメッセンジャーなら
すぐに、無料でメッセージが伝えられる。
でも、結婚式では20代、30代に向けてわざわざ「電報」が打たれる。
それに対して「なんで今どき電報?」という意見が聞かれないことがむしろ意外なんだが、
この電報を打つという手間と費用が、「重要なメッセージである」という事を伝えるのに
役立っているのは間違いない。
安価なディスプレイは、写真の市場を切り崩せるか
「写真の重み付けをする」というニーズも市場もあるはずだが、
電子機器はこの市場を未だにうまく攻略できていない。
一番近いのは「デジタルフォトフレーム」だろう。
ディスプレイをフォトフレーム(写真立て)の形にし、内部に結婚式などの写真を入れて
「写真に付加価値を付ける」という提案をしている。
でも、今ひとつ普及しているという話を聞かない。
それは高級感と価格の問題だろうか?
今どきは、実は2,000円〜3,000円ぐらいから買おうと思えば買えるんだけど。
個人的には、ディスプレイが安くなるんならとことん安くして、
「紙の代わりにディスプレイを使う」ぐらいになれば面白いと思っている。
なんだそりゃ?と思われるかもしれないが、近いイメージはスタートレックの「PADD」
・リンク → 『新スタートレック』が提示した未来と今! | APPGIGA!!(アプギガ)
写真の転載はアレなのでリンク先をご覧下さい。
このページ、よくまとめられている。時間が無い方は写真だけでも。
「PADDって今のタブレットじゃないの?」
と思うかもしれないけど、ちょっと違う。
一番は、艦のクルーがレポートをPADDごと「提出する」ということ。
つまり、あれはタブレットの代わり、というより「紙の代わり」として使われている。
これは今のタブレットより進んだ、非常に洗練されたアイデアだと思う。
Sharpが「電子ノート」を発売してネットで(ネガティブな)話題になっていたが、
確かに想定価格1.5万円じゃダメだろうなぁ。
機能をとことん削って、一枚500円とかで発売できれば、世の中変わる可能性は無いかな。
使い方は正に紙の代わり。
写真やレポートを入れて、そのまま渡す。
中身の入れ替えはできても良いけど、容量よりも安定性重視で。(記録媒体として使用するため)
この辺、できることより「できないこと」をどう設計するかがキモだと思う。
家電メーカーよりも、今ならキングジムに丸投げした方が面白いものができそう。
家電メーカーはテレビが「家電の王様」なんかじゃないことを本当に自覚して、
大量生産・ローコストを追求するなら、「いかに大量に安い物を作って市場を作るか」
という発想も十分アリだし、そうして新規需要を作りつつ先行者利益を取らんと厳しいでしょ、まじめな話。
そうして、そんなディスプレイがそこら辺に転がっている情景って、結構未来な風景だと思うんだけど。